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4 アマネ姉とハゲテール夫妻

 私とカナ姉、ミケにゃんとタマ吉の二人と二匹(・・・・・)は、階段を降りてリビングに着いた。


 リビングに入ると、既に一人、だらしなくソファに寝そべってテレビを見ている姿があった。――アマネ姉だ。


 アマネ姉は、サクヤ姉が居なくなってから半年くらいした頃に『異世界(オモテの世界)を救済し終えた』と言って、この亜空間に拠点を置くようになった『天使から人へと転生した女性』だ。

 人間としての年齢は二十歳で、サクヤ姉やカナ姉の一つ年下にあたる。


 アマネ姉のだらしない姿を見つけたカナ姉は、アマネ姉を咎める。

「ちょっと、アマネ。テレビを見るなら座って見なさい、寝るなら自分のベッドで寝なさいっていつも言ってるでしょ?」


 アマネ姉は、カナ姉のほうを見ると、面倒くさそうに言い返す。

「え〜、いいじゃない。このリビングって凄く広いから、私がソファを一つくらい独占してても誰も困らないでしょう」


 よく見るとアマネ姉は携帯ゲーム機を片手にポテチを食べながら寝転んでテレビを見ており、さらに器用なことに天使の羽で足の爪を切るという芸当までこなしていた。

 なんというか、この人は凄い人なんだかダメ人間なんだか、ホントよく分からない。


 そういえば、アマネ姉が今見ているテレビは、昔はアマネ姉の行動を把握するモニターだったんだけれど、今は色々な世界を監視するモニターとして使われている。

 つまりアマネ姉は一見、テレビを見ているように見えるが、――――あれ? これサクヤ姉がいつも観てた魔法少女アニメ映画のブルーレイだ!


 私はアマネ姉の隣に座ると、テレビに映っているアニメを一緒に見た。


 ◆  ◆  ◆


 テレビ画面はブルーレイの映像を流し終えると、いつものように他の世界に設置された監視カメラの映像に切り替わった。

 アマネ姉は、私の隣で気持ち良さそうに寝ている。アマネ姉にとって、このアニメは退屈だったのだろう。私は結構面白いと思ったのだけれど……。


 私は、アマネ姉を起こさないように、そっと自分だけ隣のソファに移動すると、顔の斜め前でパンパンッと手を二回叩く。――下僕を呼ぶときの合図だ。

 この合図は召喚魔法のようなものなので、音が聞こえない場所にいても呼び出すことが出来る。


 バサバサッと、目の前に蝙蝠の群れが現れたかと思うと、見た目五十代の男と見た目二十八歳前後の女が抱き合ったまま一枚のシーツに(くる)まれた状態で現れた。二人とも先ほどまで何も着ていなかったようでシーツの中で慌てて服を着ている。


「あなた達。こんな真っ昼間から、何してたの?」

 私がそう聞くと、男のほうが答える。


「そうは言うがナギサ様よ、吾輩とマリエルは夫婦なのだ。愛し合う二人が同衾(どうきん)するのは至極当然のことであろう。

 それよりも、いつもこのタイミングを狙ったかのように二人を呼び出すのは、こちらとしても止めて頂きたいのだが……」


 下僕のくせに妙に太々(ふてぶて)しい、この男の名はハゲテール。かつて別世界で魔王をしていた吸血鬼だ。

 彼の話によると、魔王の職務が退屈だったため、神様に頼んで転生したのだとか……。

 生まれ変わっても吸血鬼なのは変わらず、以前私たちに負けた代償で下僕になったのだ。


 ちなみに、実際の年齢は千歳を超えているとのことだが、名前とは裏腹に髪の毛はフサフサだし、物凄くダンディでイケメンだ。


 私はハゲテールの発言に文句を言う。

「ちょっと! 狙ったかのようにとは失礼ね。二人がエッチなことする時間くらいちゃんと把握してるわよ」


 すると、ハゲテールと一緒に居る女が、正論を返してくる。

「いや、ナギサ様。それは妾たちが愛し合うのを知ってて呼び出しておる……ということではないかのお?」


 この少し古風な女の名は、マリエル。ハゲテールの妻で、彼同様私たちの下僕だ。

 彼女はハゲテールと一緒に転生をした淫魔(サキュバス)だ。

 前世でハゲテールに滅ぼされた『淫魔の国』の皇女だったそうで、そのときにハゲテールの嫁になったという話だ。

 彼女の実年齢は、以前私がコッソリ聞いたところ、二百年ほど生きているが年齢という概念は持っていないという話だった。


 私はマリエルの正論に文句を垂れる。

「てゆーかさ、二人がエッチしてるところ、いい加減私に見せてよ。どんな風にプレイしてるのか凄く興味あるんだけど……」


 私だって二人の主人(あるじ)なのだ。下僕なら主人の命令は絶対遵守しなきゃダメでしょう。


 すると、ハゲテールが言った。

「たとえナギサ様でも、それは出来ぬ相談だ。サクヤ様の命令でお主らに性交渉を見せることが禁止されておるのは、ナギサ様も知っておろう。」


「むうぅ〜。いいもんっ、サクヤ姉が帰ってきたらその命令撤回してもらうんだからね」

 私は、いつの日か絶対に彼らの営む姿を見てやることを誓うのだった。

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