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3 ねこさん

「……こほんっ」

 私が、わざとらしく照れ隠しの咳払いを一つすると、それを合図にカナ姉が、私を撫でていた手を止めて正面に向き直った。


 私はカナ姉に指輪のことで分かったことを説明しはじめる。


「カナ姉、どうやらこの指輪に書かれているのは、魔法の呪文みたい。

 でもその肝腎(かんじん)の呪文は、私とカナ姉と、おそらくサクヤ姉の持っている三個の指輪(・・・・・)が揃わないと完成しないみたいで、今のところ良く分からないってのが結論かな。

 ただ、三個の指輪が揃うことで、いろんなことが出来そうっていうことだけは分かるよ。

 要するに、この指輪は『三個セットで使う魔法の指輪』ってのが、分かったことの一つ目――」


 私はそう言うと、カナ姉の顔を一度窺った。カナ姉には少し難しい話かなと思っていたが、なんとかついてこれているようだ。


 私はそれを確認すると、さらに続ける。

「そして二つ目は、この指輪一つ一つにも単体で使える魔法があるということ。

 具体的に言うと、私の指輪にはサクヤ姉の万能召喚魔法と似たようなことが出来る『創造魔法』が、カナ姉の指輪にはアマネ姉の消滅スキルに似ている『削除魔法』が、それぞれ指輪単体で使えるようになっているみたい。

 こちらは、単純にそれぞれの指輪に向かって私の指輪なら『クリエイト』、カナ姉の指輪なら『デリート』と唱えれば使えるようになってるの」


 私はそう説明を終えると実際に「クリエイト」と唱えて魔法を使う。


 私はカナ姉に指輪の効果を良く分かってもらえるように、昔サクヤ姉がしたことがある『温泉街へのゲート』を開いてみせた。


 開かれたゲートを見たカナ姉は、最初は驚いていたが、私がこの指輪を使えば、昔サクヤ姉がしていたことと同じことが出来るというのを理解出来たようだ。


「で、カナ姉がデリートをすれば、このゲートは多分消えると思うんだけれど……」

 私がそう言うと、カナ姉が指輪をはめた手を顔の前に差し出して「デリート」と唱えた。


 すると、さっきまで目の前にあったゲートは一瞬にして消えた。


 カナ姉は、ゲートが消えた空間を見ながら、納得がいったように「へぇ〜」と言った。


 指輪の効果を確認した私とカナ姉は、いつまでも私の部屋に居る訳にもいかないので、一度リビングへと向かうことにして部屋を出る。


 部屋のドアを開けると、そこにはミケにゃんとタマ吉が居た。


 ミケにゃんは、私――実は魔法少女なのだ――の、マスコットキャラにあたる、ピクシーの羽で空を飛べるエセ関西弁使いの三毛猫の名前だ。

 三毛猫なので、メスなのだろうと思っていたら、実は三毛猫としては珍しいオスだったことが最近判明した。


 一方、タマ吉というのは、私が前世に助けた猫の名前だ。こちらは普通の猫なのだが、私と融合していた時期があったため、語尾に『ニャ』が付くが人間の言葉を喋ることが出来る。

 はじめの頃は、この猫と融合しているままでも構わないと思っていたのだが、猫には発情期があり、すごく大変なことになったので、カナ姉に分離してもらった。

 あの時のことは一生思い出したくない。


 ちなみに、タマ吉もオスである。ミケにゃんとオス同士で交尾のようなことをしている光景を時々見かけるが、きっと気のせいだろう。


 私の魔法少女の衣装はサクヤ姉がご丁寧に尻尾穴を開けてくれちゃったせいで、変身する時にはタマ吉と合体する必要がある。

 合体というと語弊があるので言い直すと、私のなかにタマ吉が入ってくるというか、魔法でポンッと私と再融合するイメージだ。


 つまりタマ吉は私が魔法少女に変身するのに必要な存在なのだ。


 ミケにゃんが私とカナ姉の姿を見ながらゲスなことを言う。

「グヘヘへ……。ナギサはんとカナはん、さっきは随分とお楽しみやったみたいでんな」


 私は無言でミケにゃんを蹴り飛ばす。

 ミケにゃんは「おおきに〜」と言いながら画面端にぶつかる。

 私はすかさず空中でコンボを繋ぎミケにゃんに追撃を喰らわし続ける。

 画面に表示されたコンボ数が次々と数値を増やしていき、やがて九十九コンボを超えると数字が増えなくなった。


 その様子を見ていたタマ吉が私に言う。

「ナギサ、もうそろそろやめてあげてほしいニャ。ミケにゃんもワルギがあったわけじゃないニャ」


 まあ、私もコンボ数が増えるのが面白くなってちょっとやり過ぎたかなと思っていたので、攻撃を止める。

 すると、ミケにゃんが――


「ナギサはん、甘すぎでっせ。超必殺猫騙しキーック」


 と、言って攻撃を仕掛けてくるが、そうなることを私は読んでいたので、華麗にブロックしつつカウンターでガード不能のアッパーを放った。


「ふふっ、今回も私の勝ちだね、ミケにゃん」

 私は倒れているミケにゃんに言う。


「くそぅ、絶対勝てるおもてたのに〜」

 ミケにゃんは悔しそうに言った。


 私とミケにゃんは、いつもこんな風に技を競い合っているのだ。

今回、指輪の説明の中に、量子力学とかオーパーツとかシュレディンガーの猫の話とか失われた文明とか色々織り込もうと思ってたのだけれど、調べてたら難しすぎてついていけなかったのでバッサリ切り捨てました。結果、大分わかりやすくなったと思うので、これでよかったかなぁ〜って思いました。

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