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第十六話 温泉旅行その二

 私たち女性陣はエレベーターに乗り込むと最上階まで上がって行った。

 このフロアは二組のスイートルームだけで構成されているようで他の階と比べると宿泊スペースがかなり広い。


 私たちはフロントで受け取ったカードキーをかざして部屋の中に入った。

 部屋の灯りをつけてから少し探索してみたところ、リビング、キッチン、サウナ付きのバスルーム、書斎、寝室などがあり、全体的に私たちの家よりは若干狭い(・・・・)ようだが、四人でちょっとした寝泊まりをする程度なら申し分無いかなという感じだった。


 部屋の広さだけを見るとそんな感じなのだが、リビングの一角にある全面ガラス張りの展望スペースから見える景色は非常に美しく、さらに各部屋にはお高そうな調度品が幾つも置いてある為、そこそこリッチな気分に浸ることができる。

 これで一泊百万円ちょっとで泊まれるのだと思えば安いものだ。私は部屋の調度品を眺めながら、自分の家にもこういうのを置いてみようかなと思案していた。


「わ、わたしたち、こんな高そうなおへやにとまっちゃっても、いいのニャ? サクヤおねえちゃん、お金なくなっちゃうんじゃないのニャ?」


 リビングから見える絶景に興奮した様子のナギサちゃんが突然お金の心配をしだした。


「お金の心配はしなくても大丈夫だよナギサちゃん。これくらいなら私の一日のお小遣いで充分払えるから」


 私はここ数日タクローの能力をフル活用してインターネットでかなりの大金を稼いでいたのだ。こんなホテルの部屋を借りる程度でお金が無くなったりするようなことはない。


 マリエルが私たちの会話に入ってくる。


「うむ、妾の住んでいた王宮と比べても随分とみすぼらしい部屋だし、それほど高価な部屋とは思えぬのじゃ」


「いや、元王族と一緒にされても困るんだけど……」


 マリエルの一般的とは言い難い感想に私は思わずツッコミを入れる。


「咲耶ちゃんも、あんまり普通じゃないんだよ〜。普通の人はこんな高そうな部屋泊まろうとしたりしないんだよ〜」


 華菜が私の発言に対して多分一般論だと思われる発言をする。


「う〜ん、最近お金の感覚狂ったような気はしてるんだけど、自分ではいまいちよく分からないんだよねぇ〜」


 私は頭をコツンとやりつつ片目を瞑り、舌をペロッと出して見せた。


 しばらく部屋からの景色を眺めていたが、そろそろお腹が空いてきた。お腹からグーという音を出しながら私はナギサちゃんに提案する。


「さあ、ナギサちゃん。そろそろ一緒にお風呂入りに行こうか」


「サクヤおねえちゃん、おなかがグーグー言ってるニャ。まずはごはんを食べるほうがいいニャ」


 ナギサちゃんは御飯にしようと提案してくる。


 ……お風呂にする、御飯にすると来たら当然答えは――


「そっか、ナギサちゃんは私が食べたいんだね。いいよナギサちゃん、私のこと好きにして……」


 私はいそいそと服を脱ぎだす。私がショーツに手をかけたところでナギサちゃんが珍しくツッコミを入れてきた。


「どうやったら、そうなるニャ? サクヤおねえちゃんが何考えてるか分からないニャ」


「んもぅ〜ナギサちゃんってば、私たちもうお互いキスした仲じゃない。今更恥ずかしがらなくても……」


 私がそう言うと、ナギサちゃんは顔を真っ赤にして俯き、そのまま上目遣いで私に言う。


「わたし、サクヤおねえちゃんのこと、だいすきだよ。でも……今はいっしょに、ごはん食べよ……ね」


 うおおっ! ヤバい、これは萌え死ぬ。

 わたしは目を逸らしながら「うん……」と応えるのが精一杯だった。


 私たちはとりあえずディナーを楽しんでからお風呂に入ることにしたのだった。

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