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第十一話 全貌

 神様は私に「アマネと友達になって欲しい」と言っていたが、王龍の話では他の三人は『神様と別の話をしていた』らしい。

 そのため、私たちは改めて神様の話についてお互いに内容を確かめ合うことにした。


 神様は、わざわざアマネに聞こえない状況を作って私たちと会話をしていた。

 その為、話し合いにはアマネを参加させるべきではないのだろうと判断した私たちは、リビングを離れタクローの寝室で話し合うことにした。

 この部屋にしたのは(ひとえ)にうら若き乙女の寝室に男を入れるなんてとんでもないと判断したためであり、決して私が男の部屋に興味があったわけではない。

 私はいたってアブノーマルなのだ――あっ違う、今の無し。私が好きなのは華菜とナギサちゃんだけ。あとこれからアマネのことを好きになる予定だけどタクローには興味無いのだ。


 ナギサちゃんはタクローの実娘のため、タクローの部屋に入っても問題はない。

 華菜だって自分の父親と然程(さほど)歳の離れていないタクローの部屋に興味を持つことは無いだろう。

 そう言う意味でこのメンバーの中では一番安全そうな人物の部屋としてタクローの寝室を選んだのだ。


 部屋に入ってみると私が撮ってあげたナギサちゃんの写真が数点飾ってあったが、他にはベッド以外何も置かれていないようだ。


 私は、えっちな本でも見つけてタクローを弄ってやろうと意気込んでいたので拍子抜けした。


「何だか殺風景な部屋だね」


 私がそう言うとタクローは苦笑していた。


 私はとりあえず部屋の真ん中に丸テーブルと椅子四脚を用意してリビングから持ってきていたお茶とお菓子を並べてミニ座談会を開始した。


「では、みんなが神様とどんな話をしたかの発表会を始めましょう。まずは私からね……」

 私はそう言うと先陣を切って神様と話した内容をみんなに伝えた。


 ◆  ◆  ◆


 私の話が終わると、華菜は少し溜息をついてから話を切り出した。


「はぅ〜、アマネさんとお友達になって暴走を止めて欲しいかぁ〜。咲耶ちゃんは神様と凄い話をしてたんだねぇ〜。

 じゃあお友達になる為にこれからは私もアマネちゃんって呼ぶことにしようかなぁ〜。

 ん〜と、それでね、私が神様と話したのはねぇ〜、この家『サブ人格の控え室』のことかなぁ〜。

 えっとね〜、この家ってずっとアマネちゃんの心の中なんだと思ってたんだけど実は違うんだって〜」


 えっ? 何それ? 此処ってアマネの内側の世界じゃなかったの? 


 そう思っていると、華菜が話を続ける。


「あのね〜、この家は私たちが住んでた『地球』やアマネちゃんが今居る『異世界』や神様が住んでる『天界』とかとは全く別の『亜空間』? とかいう一つの世界だって神様が言ってたの〜」


 う〜ん? いまいち良く分からないんだけれど? 私は華菜に疑問を投げかける。


「ねえ、いまいち良く分からないんだけど、華菜は神様の話を聞いてちゃんと理解したんだよね?」


 すると華菜は当然といった感じで答える。


「えっとね、ちょっと説明が難しいんだけど〜、私たちが使っているスキルは、『亜空間』っていうところに居るおかげで常識では考えられない使い方が出来ているの〜。

 普通は『召喚魔法』は生き物くらいしか呼べないスキルだし、『白魔法』も治癒とか浄化くらいしか出来ないものなんだけど〜、咲耶ちゃんは『概念』だって召喚できちゃうし、私だって『天使っぽいことなら大抵出来る』よね〜。

 それが出来ちゃうのは『亜空間』という常識が通用しない世界だからってことみたいなの〜」


 成る程、亜空間についてはそれで良しとしよう。でも『アマネの心の中とは別の世界』ってのはどういうことなのかな……。

 私が疑問に思っていると華菜がさらに続ける。


「それでね、この『亜空間』ってのは神様が私たちの転生の為だけに用意してくれた世界で、アマネちゃんとは元々関係のない世界だったんだって〜。

 だから、実はアマネちゃんをこの世界に身体ごと連れてくる(・・・・・・・・・)事が可能(・・・・)だって神様が言ってたの〜。

 これが私と神様がしていた話の全てだよ〜」


 華菜の話が終わった。凄い新事実を突きつけられた感じだったが、私の話と合わせるとアマネを此処に連れてきて普通に友達として暮らす事が出来るってことになる。


「うん、華菜の話も大体わかった。次はタクローの番かな。タクローは神様とどんな話をしたの?」


 私が聞くと、タクローが話し始める。


「僕の話は大した内容じゃなかったよ。

 神様から『元の世界に戻るか、この世界に残るか』と、『スキルを変えて欲しいか、今のままで良いか』という二つの選択を迫られたから、どちらも『今のままで良い』と答えて終わっただけ。

 ナギサさえ居てくれたら僕はそれだけで充分だからね」


 うん、本当に大したことなかった。

 どうせならスキルを変えて貰えば良かったのにとは思うけど、本人が良いというならそれで良いのだろう。ナギサちゃんのおかげで私たちをエッチな目で見たりすることも無さそうだし……


「じゃあ、最後はナギサちゃんだね。ナギサちゃんは神様とどんなお話をしたのかな〜?」


 私はナギサちゃんに話を促す。するとナギサちゃんはやっと出番が来たとばかりに椅子の上に立ち上がり拳を振り上げて話し出した。


「やっとわたしの番が来たニャ、待ちくたびれたニャ。

 えっとね、わたしはかみさまに『てんせい』のメンバーに入れてあげるって言われたニャ。

 なんかサクヤおねえちゃんやカナおねえちゃんやパパと同じようにオモテの世界に行けるようになるんだって言ってたニャ。

 あとアマネおねえちゃんのお手伝いもできるようになるんだって言われたニャ」


 えっ? それは凄いけど転生者の枠はどうなるの? 一人増えたってことで良いのかな? これはあとでアマネに聞いてみるしかないかな。それはそれとして…………


「おめでとうナギサちゃん。これからは一緒に頑張ろうね」


 私はナギサちゃんの正式な転生を精いっぱい祝福した。


「それでね――」ナギサちゃんの話はまだ終わってなかった。

「かみさまが『てんせい』の『とくてん』で一つスキルをあげるって言ったから『まほうしょうじょのスキルをこのままにしてください』ってたのんだんだけど、これでよかったかな? サクヤおねえちゃん……」


 うん、ナギサちゃんがそれで良いと思ったのなら私はそれで良いと思うよ。私たちに文句を言う理由は無いからね。

「はあぁ〜っ、ナギサちゃんは本当に素直で可愛いなぁ。」


私はナギサちゃんに伝えた。


「咲耶ちゃん〜、心の声がだだ漏れになってるよ〜」と華菜が指摘した。


「あれ? 思ってることと言おうとしたことが逆転してたみたい……」


「ふふっ、咲耶ちゃんってやっぱり変態さんだねぇ〜」


 もうすっかり華菜の中では私のことは変態ということになってしまっているようだった。

 私が必死に誤解を解きながら、なんだか有耶無耶のうちに座談会は終了した。

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