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第十話 幼女とリュウちゃん

 アマネのスライム討伐を観戦し終えた私たちは茫然としていた。


 以前私が「アマネ一人でも充分人類救えそうなくらい強い」と卑下してみせたのに対して、アマネは『私一人でも人類を救うことは可能』と言っていたのだが、その時はまさかこんなチート能力を隠し持っていたとは思ってもいなかった。


 彼女は本当に一人でも人類を救うことが可能であると同時に、その気になればいとも容易く人類を滅ぼすことが可能だということを私たちは知ってしまったのだ。

 つまりオモテの世界はアマネの裁量次第で救うことも滅ぼすこともできる為、私たちはアマネが悪い方向に暴走しないように監視しないといけない。


 おそらく私たちが転生した本当の理由はアマネが暴走してしまった時に無理やりにでも抑える為なのではないだろうか。

 私が深く考え込んでいると突然テレビ画面が乱れた。


 私たちが画面の乱れに慌てていると、どこからか『でんぱじゃ〜っく』というなんとも間抜けな音声が聞こえてきた。

 次の瞬間、画面は真っ白な空間に切り替わり、スピーカーからとても荘厳な声が聞こえだす。


 ――堕天使アマネリス(・・・・・・・・)の転生体に宿りし異界の者共よ、聞こえるかね。我は神の遣い『龍族の王』なり。我が(あるじ)が直々にお(ぬし)らに御神託を授けて下さる為にまもなく顕現される。平伏せよ。


 突然、テレビからの音声と映像が消えたかと思うと、どこからともなく室内に光が集まり出し、私たちの目の前には、見た目五歳くらいの幼女が現れた。

 幼女の首元には先程の龍だと思われる一体の龍がまるでマフラーでも巻いているかの如く巻きついている。


 幼女は龍の頭を軽く小突きながら喋り出した。


「もぉ〜っ! リュウちゃんてば威圧しすぎだよぉ〜。みんなビックリしちゃってるじゃん。

 えっと……みんな驚かせちゃってゴメンね。あたいが神様だお!

 咲耶ちゃんと華菜ちゃんは久しぶりだけど覚えてる?」


 え? この幼女が私たちを転生させてくれた神様? なんかイメージ違うけど、そういえばこんな喋り方もしてたような気がするかも。

 でもさっきの……龍の王様? の方が神様っぽかったかも……と、私が首を捻っていると目の前の幼女がこう言った。


「咲耶ちゃん〜? ちょっとその考えは失礼だと思うの。あたいは確かに神様だお。あとリュウちゃんはあたいのペットなの。可愛いでしょう〜」


 いやいや、その龍は結構怖いんですけど……というか、この娘もしかして人の心が読める? すると幼女神の首元に巻きついていた王龍がギロリとこちらを見て言った。


「我が主は万能である。今もお主ら四人と同時に別の会話をされながら数多の世界から厄災を排除されておられる」


 へえ〜、その一環で心が読めちゃったりするのか。それは凄い。


「そうだよ、あたいは凄い神様なんだから……まあ、それは置いといて今日は咲耶ちゃんにお願いがあって来ました。聞いてくれるよね」


 うーん、いくら神様からのお願いって言われても内容聞かなきゃ流石にねぇ……


「そうだよね。でも、とりあえずあたいの話を聞いてね。

 先ずは、さっき咲耶ちゃんが思ってた『アマネリスちゃんの暴走を止める為に転生させた』ってのは半分正解。

 もしアマネリスちゃんが暴走しちゃったらみんなで頑張って止めてあげて欲しいの。最悪、止められなかっ場合は、あたいがアマネリスちゃんを消滅させるけど、そうなるとみんなも巻き添えで消えちゃうから覚悟しておいてね。

 あ〜解ってるとは思うけど、『消えちゃう』ってのは死ぬことじゃなくて『産まれてきた事実も含めて魂の存在自体を完全に無かったことにする』っていう意味だから……」


 どうもこれは避けては通れない道のようだ。さらに幼女神の言葉は続く。


「あたいがみんなを転生させたもう半分の理由はね〜、天界を追放されたアマネリスちゃんのお友達になってあげて欲しかったの。

 あの子あんな性格だから天界ならともかく他の世界では寂しい思いをすると思うの。

 あんまり寂しい思いをし続けると暴走しちゃう危険性があるからね。これがあたいからのお願いだお」


 成る程、アマネとお友達になれば暴走を抑制できるのか。それなら無理ではなさそうだけど、一つ問題があるな……


「アマネリスちゃんとみんなが同じ身体に転生していることだよね。でもそれは大した問題じゃないよ。

 現にみんなそこのテレビでアマネリスちゃんと会話が出来るじゃない。

 話し相手になってあげるだけで良いの。簡単でしょう?」


 う〜む、アマネと会話をもっとして仲良くなる……か、それなら何とかなりそうかな。


「じゃあ、伝えたいことはだいたい終わったからあたいたちはもうそろそろ帰るね」


 私は、幼女神が帰ろうとするのを引き留める。

「あっ、神様。最後に一つだけ気になったことが……」


「ん? アマネリスちゃんの天界追放の理由かな? 残念だけどそれは教えられないの。

 それが神様の掟なの。まあでも、悪い理由じゃないよってことだけは言っても良いことになってるから安心していいよ。

 じゃあ、もう帰るからみんな頑張ってね。ばいば〜い」


 そう言うと幼女神と王龍はパッと消え、同時にテレビがアマネの世界を再び映し出した。


 テレビの向こうではソロでスライムを退治したアマネが、飛び級でAランクに昇格してギルドで儀式を受けている最中だった。


 友達になって欲しい……か。私たちは神妙な面持ちで昇格の儀式を眺めるのだった。

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