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ぼくのおよめさん

ぼくのはつこい

作者: アラタ

「ぼくのおよめさんになってください!」と合わせて読むとよりわかりやすいかと思います。



それではどうぞ、お楽しみください!


ぼくにはとっても小さな頃から好きな女の子がいる。


その子と初めて会ったのは小学2年になったばかりの頃だった。


新しいクラスは、友達が誰もいない上に乱暴なタケシくんもいた。だからぼくは、まだ1回も行っていないのにもう学校に行くのがいやで仕方なかった。


そうして、初めて新しいクラスへ行く朝。

ぼくは途中で立ち止まってしまった。

やだな。行きたくないな。タケシくん怖いし、ほとんど知らない子だし、担任の先生だって2年生だから、厳しいのかもしれないし...。

考えていくうちにどんどんいやになって足が石になったみたいに動かない。そのうち、ぽたぽたと涙もこぼれてきた。

どうしよう。行かなきゃいけないのに。泣きやまないといけないのに。考えれば考えるほど体は言うことを聞かなくなっていって、どうしたらいいかわからなくなる。

そんな時、頭の上から声をかけられた。


「どうしたの?どこか痛いの?」


見上げると制服を着たお姉さんが1人、立っていた。心配そうな顔でぼくを見ている。


「違うっ...の。学校...ひっく。いっいやだから。」


「学校が?そっか…。どうして?」


お姉さんは微笑んでぼくの頭を優しく撫でる。その笑顔に安心して、ぼくはいろいろ話した。新しいクラスがいやだとか思いついたままにいっぱい。話している間、お姉さんは詰まってもせかしたりしないで、ずっと聞いていてくれた。全部言い終わった頃には涙は引いて気持ちも落ち着いた。

すると今度は初めて会ったお姉さんの前で泣きじゃくって話したことが恥ずかしくなってきた。お姉さんには泣き虫で弱虫な子って思われてるだろうな。そう思っていたのにお姉さんはぼくが考えていたことと全く逆のことを言った。


「たくさん話してくれてありがとうね。それにボクはすごいね。いやなのにここまで来れるなんて。とっても強い子だ!」


そう言って、ぼくを見て笑いかける。その笑顔は今までみた中でいっちばんステキだった。ステキなんて使ったことはなかったけど、それがピッタリくる本当にキラキラで可愛くってきれいな最高の笑顔だと思った。そしてなぜか見ているとドキドキして、ほっぺたが熱くなっていく。


「お姉さん!ぼく学校、行く!」


気がつくとぼくはそう言っていた。不思議とお姉さんに会う前の行きたくない気持ちは小さくなっていて、今は学校に行って頑張ろうと思えた。このお姉さんのおかげだ。...このドキドキもお姉さんのせいなのかな?


「本当に?うわぁ。すごい!あっ!それじゃあ...」


また同じ笑顔でそう言うと、今度はなぜかガサガサ鞄をあさり始めた。どうしたんだろう?


「はい!これっ!!」


「...?チョコレート?」


ぼんくの手に乗せられたのは透明なフィルムに包まれた1粒のチョコレート。


「そう!!でもただのチョコレートじゃないんだよ?これは魔法がかかってるんだから。」


えっへん!!と胸を張って得意げに言う。まるでお姉さんも子供になったみたいでちょっぴり変な感じがする。


「魔法って?」


「学校が楽しくって仕方がなる魔法!」


ほら食べて食べて!!と勧められ口に放り込む。とっても甘くておいしい。そして確かに学校に行きたくなって来た気がする。本当に魔法がかけてあるんだ。すごいなぁお姉さんは。


「おいしい!ありがとう。お姉さん。ぼく学校に行って来るね!」


「おお!頑張れ!!応援してるよっ。」


そうして、またあのとびっきり素敵な笑顔で手を振る。


見送られながらぼくは走って学校に向かった。


学校に着いた時、ぼくは気がついた。


ぼくはお姉さんのことが好きなんだ。


胸がドキドキするのも顔が熱くなっちゃうのもそのせいなんだ。





そう気がついた次の日から、会うとお姉さんと手を振りあうようになった。毎朝それだけでも、幸せだったし嬉しかった。


そしてお姉さんの魔法のおかげで、本当に学校が楽しくなった。友達はいっぱいできたし、タケシくんは話してみると案外気が合って、今では1番の仲良しになった。担任の先生はちょっと厳しかったけど、クラスの子みんなを大切に思ってくれてる優しい先生だった。


全部、全部お姉さんのおかげだ!


けれど毎日、決心するのにありがとうってまだ言えてない。お姉さんの顔を見るとドキドキしてそれどころじゃなくなるから。


どうしたらいいんだろ。

ぼくは家にいる時も休み時間も授業中も一生懸命、考えて考えてやっと思いついた。


そうだ!手紙を書こう!

手紙なら素直に気持ちを伝えられる!!


そうしてぼくは手紙を書き始めた。

でもなかなか上手く書けない。本当に言いたいことが出てこなくってじれったい。


そんな時、お母さんがビーズで指輪を作っているのを見てまたひらめいた。


手紙でぼくがお姉さんを好きってことを伝えて、指輪も渡そう。きっと喜んでくれる。あっ!指輪って言ったら結婚だよね?じゃあ文章も...。

その夜は楽しくなって一気にビーズの指輪を作って、手紙も書き終わった。内容はこんな風になった。



おねえさんへ


まいにちおねえさんをみてました。

かわいいとことかぜんぶがすきです。


ぼくのおよめさんになってください!




ゆびわはぼくがつくったよ。

きにいりましたか?


2ねん2くみ   かわもり  しょう







明日、これをお姉さんに渡そう。指輪、喜んでくれるといいなぁ。


ちなみにお姉さんと結婚式を挙げる夢を見ちゃったのはないしょだ。








お姉さんと思いが通じ合いこの日見た夢のように結婚式を挙げるのは、もっともっと後のお話でこの時のぼくはまだ知らない。




今もこの時もお姉さんのことが好きなことは変わってないけどね。

いや、でもこの時よりも好きで好きでたまらなくなってるかな。



あの日、ぼくに声をかけてくれたのがお姉さんでよかった。勇気を出して手紙を渡してよかった。



大好きだよ。


ぼくのおよめさん。

ありがとうございました!



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