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気づいたら巻かれてました。

またまたペースが落ちてしまった……。連日投稿はレベル高いです。

ムニエル事件の数時間後、俺は目を覚まし執務室のような場所に連れられていた。


「メディス様、これをどうぞ」


ドンッ!と目の前に大量の資料が置かれた。


「これで魔界について勉強しましょう」


確かに俺は魔界のことを何も知らない。ゲテモノ料理が出てくるくらいしか知らない。魔王になる以上魔界のことを知っておく必要があるだろう。


「私に構いながら勉強しましょう」


「静かにしてなさい」


そう言って俺はしばらく資料に目を通していった。知らないことがたくさんあり頭がパンクしそうだ。ちょっと簡単に整理していこうか。

・もともと人間と魔族は同じ世界にいた

ある時までは人間と魔族は共存していたのだ。しかしお互いがお互いを迫害し合うこととなり人間と魔族の間に亀裂ができてしまった。

・魔界はもともと人間界だった

人間と魔族が共存していたのは今の人間界だ。しかし人間は魔族よりも圧倒的に多かった。当然魔族は劣勢となった。しかし魔族は人間よりも魔力が多いため、魔法で大陸を切り離し異空間に飛ばしたのだ。それがここ魔界なのである。

・今でも人間界と魔界は繋がっている

今でも人間界と魔界は行き来できている。ミーアが人間界に行ったり俺が魔界にいるのがその証拠だ。それは人間界と魔界を繋ぐワープポイントがあるからだったりする。これは魔界を作ったと同時に魔族が作ったものらしい。

・人間と魔族の魔力は違う

魔力には濃度があり魔族の魔力は人間よりも濃い。魔力が濃いと魔法の威力が上がったり、魔法をたくさん使えたりできる。ワープポイントも魔族の魔力を持たないと視認することができない。なので人間は自分から魔界に来れないのだ。

今のところはこれぐらいか。


「ふぅー、ちょっと休憩」


「お疲れ様です。次は私に構ってください」


「まだそれ言ってるの?」


まぁ静かにしてたしちょっとぐらいはいいか。


「ではまずキスを」


「却下」


「なら接吻を」


「却下」


「なら口づけを」


「却下」


「何なら許してくれるのですか!」


「とりあえずキス以外で!」


ていうか


「何故そんなにキスにこだわる?」


「だって愛を感じられるじゃないですか!お互いが一つになり愛を確かめ合う!愛したもの同士しか許されない行為!相手を感じることができる営み!」


「本音は?」


「気持ちいいからです!………はっ!?」


命令してないのに言っちゃったよこの子。


「で、でもさっき言ったことも本当ですから!一番の本音を隠してただけで!」


「隠すなよ。まぁでも本当のことも言ってたみたいだしそこは褒めておこう。だから」


「私ってお利口ですよね?なのでご褒b━━ 」


「罰を与えよう」


ピタッとミーアの動きが止まった。こういう反応って面白いよね。


「ど、どうして罰を?」


「思い返して見たんだよ。色々と。するとどうだろう。一応主である俺に君は何をした?」


「そ、それは配下として当然の行動を………」


「つまりなんだ。起きてる時に襲ったり寝ている時に襲ったり、挙句の果てに鎧着せて勝手に操ったりしたのも配下として当然の行動だと?」


「……………」


ダラダラと大量の汗をかき目を泳がせるミーア。完全に動揺しているご様子。


「被告人、何か異論はありますか?」


「…………ありません」


「では判決に移ります。判決は………無視です」


「………え?」


キョトンと俺を見てくるミーア。俺何か変なこと言ったか?無視ってされたら傷つくし罰として正解じゃないか。


「それだけですか?」


「どんなの想像してたんだよ………」


「ムチでぶたれたり火で炙られたり膝の上に石を何個も乗せられたりするのかと」


「ただの拷問じゃねぇか!」


こいつは鬼か。


「まぁそういうわけで一時間は無視するから」


「はい。こんなの全然大丈夫なのでどうぞどうぞ」


「そうか?」


ミーアはそう言うので俺は再び資料に目を通し始めた。が、その瞬間、


(これはいわゆる放置プレイというものですね!)


変な声が聞こえてきた。十中八九ミーアだな。罰が思ってたよりも軽かったためか、気が緩んでしまい心の声が漏れてしまっているんだろう。しかし俺は無視すると決めたのだ。ここで注意をするわけにはいかない。


(もう、メディス様も結局はお好きなのですね。こういうの)


いや、全くの誤解なんだけど。っと、集中しなければ。


(でも罰とか関係なく無視されるようになったらどうしましょう………倦怠期というやつですね)


それは夫婦の話だろ。っとダメだ。集中集中。


(まぁ私たちには関係のない話ですね。でもちょっと想像してみましょうか……………………)


あれ?いきなり声が聞こえなくなったぞ?


(いやあああぁぁぁああああああ!?!?)


うお!?一体なにがあったんだ?


(嫌です!そんなの絶対に嫌です!メディス様が目も合わしてくれないなんて………もう無理です!生きていけません!)


なんというか………想像豊かで何よりです………。

すると突然、ミーアが俺の腕にしがみついてきた。


「こ、こらミーア!まだ命令して五分も経ってないぞ!」


そう言いながらミーアの方を見ると、なんと泣いていた。え?え!?


「うぅ、ひぐっ、メディス様ぁ………」


「どうしたんだミーア!?まさか持病があってそれが再発したとか………!待ってろ、今すぐ薬を作って━━ 」


急いで席を立とうとしたらミーアの俺の腕を掴む力が強くなった。そして、


「捨てないでくださいぃ……」


突然そんなこと言ってきた。


「は?」


「私ちゃんとしますから………いい子にしますからぁ………一人にしないでくださいぃ」


なんでいきなりこんなことを………もしかして。


「そんなことまで想像しちゃった、とか?」


「…………はい」


「苦しくなるならそんな想像しなきゃいいのに」


「だ、だってぇ……」


声を震わせながら俯くミーア。


「別にそんな心配する必要もないよ」


「え?」


「主と配下は一心同体なんだろ?」


「は、はい」


「それって家族みたいなものじゃないかな。少なくとも俺はそう思う。家族はいつまでも一緒にいるものだからそんな心配は必要ないよ」


「家族………」


「あぁ、家族だ」


そして俯いているミーアの頭を撫でた。ユメはこれで元気になったからやってみたけど………さて、どうだろうか。


「私と……メディス様が……家族……えへへ」


よかった。笑顔になってくれた。これで一安心だな。


「さて、それじゃあ俺は続きに戻━━ 」


その時、俺の中で戦慄が駆け抜けた。俺の身体は数秒前までは自由だった。なのに気がついたら俺は身体の自由を失っていた。理由は明らかだった。


「えへへへ、私とメディス様は家族です」


この天使のように微笑んでいる女の子、ミーアが俺に全力で()きついていたからだ。


「メディス様?家族なら離れることはないのですよね?」


「ずっとくっついてるってことではないかな?」


「はぁ………家族っていいですね」


「ねぇ、俺の話聞いて。お願い」


「まさか合法で抱きつけるなんて」


「本音が漏れてる!ちょっと頼むからほどいてくれ!資料見れないから!」


俺の胸に顔をうずめながら『ふふっ』とミーアは笑った。


「資料が見られればいいのですよね?」


するとミーアは尻尾で器用に資料を掴むと、俺の目の前まで持ってきてくれた。


「これで大丈夫ですね」


「つまり解放なし?」


俺の問いにミーアは笑顔を向けるだけだった。無言は肯定の証ですか?

俺だって抱きつかれるのは嫌じゃない。でも俺も男なのです。柔らかい感触があれば我慢できなくなってしまうこともあります。しかしそういうことをするのには責任を持たなければなりません。なので責任を取れるようになるまではそういうことをしてはいけないのであります。


「つまり責任を取れるようになれればOKということですね」


「また漏れていただと!?」


何故このタイミングでテレパシーが!?


「ふふっ、心が乱れている証拠ですよ?」


「乱れているからこそ敬語にしたのに!」


「ところでメディス様。もうメディス様は魔王なのです。なので責任を取れる地位は持っているということです。ですから新しい家族を作りましょう!」


「いい事言ってるはずなのに一個も賛成できない!」


「我慢なされてるのでしょう?私は一向に構いませんからど・う・ぞ♡」


「天使な笑顔で悪魔の囁きをしてないで!」


こんなやりとりは夕暮れまで続き、結局資料に集中することはできなかった。


メディス「身体が痛い……長時間巻きつかれて変な跡ができてしまった」

ミーア「私の証、刻めましたね♡」

メディス「もうやめろとは言わないから痛いのはできるだけやめてほしい」

ミーア「なら鎖骨あたりにキスマークを」

メディス「やっぱりこっちでいいです!」

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