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気づいたらトップでした。

ミーアのキャラがだんだん壊れていってるような気がします。下ネタ苦手な人ごめんなさい………。

『魔王だって?』

『いったいどういうことかしら?』

『でもミーア様が控えてるってことは結構な身分の方かも』


魔族たちは困惑していた。そりゃそうだ。いきなり出てきたやつが魔王になるなんて言い出したら驚くに決まっている。しかし驚いてるのはそれを言った張本人である俺もだ。何故か口が、いや身体が勝手に動いてしまう。


(聞こえますか?)


俺が困惑しているとミーアがテレパシーで話しかけてきた。


ミーア!聞いてくれ!俺の身体勝手に動くんだ!


(知っています)


え?


(何故なら私が操っているからです)


え”


(メディス様、自分の格好に疑問を持ちませんでしたか?)


そ、そりゃあもう持ちまくったけどこれが魔族の正装だって言われたし………。


(いえ、それは私が頼んで用意してもらった鎧と王冠です)


やっぱりか!俺は何も間違っていなかったのか!


(それもただの鎧ではありません。この鎧は魔力を流すことによって装備した人物を魔力を流した者が操ることができるのです)


も、もしかして………


(ご察しの通り、私は先程魔力をその鎧に流しました。この効果が切れるのは半日です。まだまだ時間はあります。そして王冠もまた同じものです。これは対象者が話すこと、つまり口を操れる代物です)


そうか、だから俺は自分の意識がちゃんとあるのに動けないし喋れないのか。って!納得してる場合じゃない!


ミーア!俺が魔王ってどういうことだ!?


(私は現在、この魔界ではほぼトップの地位にいます)


え?ミーアってそんなにすごかったの?


(失礼ですね。魔界では魔王がトップなんですが、今は魔王は存在しません。魔王となる者がいないのです)


ならミーアがなればいいんじゃないのか?


(私の一族は魔王の側近として役割があります。なので高い地位にはいますが、それは決して魔王となることができないことと同義なのです)


でもなんで俺が魔王に……?


(お忘れですか?メディス様は私のマスターなのですよ?)


だからって魔王になる必要はないだろう。そもそも俺って人間だし。


(正直に言います。私はもう貴方から離れるつもりはありません。しかし人間のメディス様と魔族の私では本人同士が良くても周りは認めない者も多いでしょう。なので誰もが認める地位に、つまりメディス様を魔王にすれば全て解決することに気づいたのです)


思考がぶっ飛びすぎてついていけない!人間界で過ごすっていう選択肢はなかったのか?


(人間の中には魔族を探知できる者もいます。なのでいつかはバレてしまいメディス様にご迷惑をかけてしまいます)


俺人間ってバレたら今ヤバそうなんだけど。


(大丈夫です。今から私が説得します)


そんな簡単にできるのか?


(魔族というのは人間よりも感情的な生き物です。つまり丸め込んでしまえばこっちのものです!)


プランがアバウトすぎる!?


(見ていてください!私とメディス様の身体の勇姿を!)


勝手に人の身体使うな!!!


俺の願いも届かず、俺は喋り出してしまった。


「まず最初に言っておく。俺は人間だ。魔族ではない」


『何!?人間だと!』

『人間が何故この世界にいるの!?』

『捕虜かなんかじゃねぇの?』


民衆がざわめく。まぁ普通に驚くよな。


「驚くのも無理はないだろうし、納得もできないだろう。人間である俺が魔王になるだなんて」


一番納得できてないのは俺です。


「しかし納得して欲しい。俺は魔族を毛嫌いなどしないし差別もしない。魔族だろうが人間だろうが生き物だ。種族の違いは些細なことだと俺は思っている」


これは俺が言ったのと同じことだ。


『どうせ綺麗事だろ』

『信じられないわ。そんなこと』

『どうせ心の中では見下してんだぜ』


魔族たちの印象に好意的なものは感じられない。やっぱり無理があるんじゃないだろうか。


「皆の意見もよく分かる。でも認めて欲しい。後ろにいるミーアのように!」


『ミーアのように!、だと!?何様だアイツ!!』

『ミーア様を呼び捨てにするなんて………』

『今すぐにでも殺してやれ!!』


民衆がさっき以上にざわめく。あれ?実質俺何もしてないのに命の危機?


「皆さん!話を聞いてください!」


ここでミーアが入ってきた。しかし俺の身体はまだ動かない。まだ操られているということか。


「確かにメディス様は人間です。私たち魔族の宿敵です。でも!この方はだけは!メディス様だけは他の人間とは違います!メディス様の言っていることは本当です!」


『いくらミーアが言うことでもねぇ……』

『やっぱり信じられないよな』

『証拠みたいなものがあれば信じられるのに』


「………皆、これを見てくれ」


今まで黙ってた俺が突然手を振り上げた。民衆の目に『蛇人族の加護』が晒される。


「これは俺がここにいるミーアと交わした主従契約の証だ」


『『『『『『『『ッ!?!?』』』』』』』』

「これは私からした契約です。私は人間の巧妙な罠により二度囚われてしまいました」


巧妙って………ただ食べ物につられただけだろう。


「しかしそんな私にメディス様は手を差し伸べてくれました。その後、ある人間に私は見つかってしまったのですが、メディス様は私を見捨てるどころか、手を引いて一緒に逃げてくれました。そして私を守るため悪漢へと立ち向かってくれました。その時に私は思ったのです。この人は違う、この人だけは違う、と。だから私は契約すること決意しました」


「俺はミーアとの出会いを通して人間と魔族は互いに手を取り合えるということを実感した。これが俺たちのあるべき姿だと。だが実現することもまた難しい。なので俺は皆を導く者となり、人間と魔族が手を取り合う第一歩目となりたい。残念なことに人間は頭の固い奴らばかりだ。だから是非ともここにいる者たちに力を貸してほしい!!!」


俺の、いやミーアの長い演説はここで終わった。しかしそんな簡単に魔族たちが賛同してくれるとは思えない。寧ろさらにこの場を荒らしてしまったんじゃ…………。

だが、


『ええ話や……』

『なんて素晴らしい方なの!』

『万歳!メディス様万歳!』


そんな簡単に魔族は賛同した。あたり一面に歓声が響き渡る。


(驚きました?)


ミーアか。なんでこんな簡単に納得してもらえたの?


(先程も言いましたが、魔族とは人間よりも感情的な生き物です。つまりそれは人間よりも感情に流されやすいということです。こちらに引き込んでしまえば後は思い通りになる、ということです)


結構黒いな、君。


(なので私が本能的に貴方を求めて仕方ないのです。私は魔族なのですから)


さりげなく自分のフォローを入れるんじゃない!


(では、仕上げといきます)


「改めてここに宣言する!俺は今日から魔王となる者、メディスだ!!」


『『『『『『おおぉぉぉぉおおおおお!!!!』』』』』』


先程より歓声が強くなる。これは正式に俺が魔王に認められてしまったということですか?


(正解です♪)


ハ、ハハッ………。俺は動けないから心の中で乾いた笑みを浮かべながら歓声を受けていた。


***


俺の講演(実質ミーアの一人芝居)が終了後、俺はベッドや机など、誰かの個人部屋のような場所に通された。


「ここがメディス様と私の愛の巣です」


「厚かましいかもしれないけど俺だけの部屋ってないの?」


「私とメディス様は主従関係です。言わば一心同体なのです。なのでメディス様個人の部屋というのはもれなく私が付いてくるということです」


「俺のプライバシーは守られないと?」


「メディス様のプライバシーの中に私も入っているのです、きゃ♡」


きゃ♡じゃないよ、きゃ♡じゃ。


「そんなことよりお疲れ様でした」


「結局俺何もしてないけどね」


「いえ、ここまで来て頂いたことが何より嬉しいです」


「君が勝手に連れてきただけだよね。と、そうだ。ユメのことって結局どうなの?」


別に忘れていたわけじゃない。色々あったから話す機会がなかっただけだ。決して忘れていたわけじゃない。


「ユメさんのことはご心配いりません」


「なんでそう言える?」


「いずれここへ訪れるからです」


は?ユメが魔界に?


「不思議ですか?理由は簡単ですよ。お兄ちゃんが大好きだからです」


あれ?おかしいな。理由が簡単なはずなのに全く理解できないぞ?


「今は悩んだって仕方ありません。時が来るのを待ちましょう、魔王様」


「魔王様、か………」


俺って本当に魔王になったんだよな。実感はないけどもう引き返すこともできない。これはもう諦めるしかないんだよな。


「はぁ、仕方ない。これからよろしく頼むぞ。秘書のミーア」


「はい!我が主にして魔王のメディス様!」


ここから俺は魔王としての道を歩き出した。


「ではとりあえずベッドインします?」


「この部屋から出てけ」


***


メディスの講演後民衆が盛り上がる中、一人静かに魔王城の廊下を歩く女性がいた。


「………認めない」


その人物の見た目は人間とさほど違いはなかった。ミーアの鱗よりも紅い長髪を一つに束ねたポニーテール。立派な鎧で身を固めた女性は、一目見ただけでは人間の騎士と間違えてしまっても仕方がない。


「人間が……魔王だと?」


しかしここは魔界。メディスがイレギュラーな存在なだけでもちろん彼女も魔族だ。それを示してるのは頭に生えた鋭い二本の角。そう、彼女は伝説の種族━━ 竜人族。


「認めない。私は絶対に認めない」


ドンッ!という音がすると同時に壁にヒビが入った。彼女が壁を殴りつけたのだ。


「人間が魔王だなんて私は絶対に認めない!」


彼女は再び歩き出す。端正な顔立ちを怒りの色に染めながら。


メディス「それにしてもよかったよ」

ミーア「何がですか?」

メディス「てっきりあの装備で変なこと言わせたりやらせたりされるのかと思ってよ」

ミーア「……………そ」

メディス「そ?」

ミーア「その手があったああああぁぁああ!!!」

メディス「(よし、あの装備は絶対に俺が封印しよう)」

ミーア「もう一回着てください!お願いします!」

メディス「絶対に嫌だ」

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