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気づいたら変身してました。

なかなか書けずに日が空いてしまいました。ということで皆さん、お久しぶりのヨウブンです。そして遅くなってごめんなさい。

ミーアと別れた後、俺はある部屋にナウラを案内した。

この部屋はいわゆる研究室だ。ていっても薬作ってるだけだけど。俺の唯一のプライベートルームだ。ほら、寝室はプライベートも何もないからね、うん。


「うわー瓶がいっぱーい」


「あ、触っちゃったダメだよ。危ないやつもあるから」


「はーい」


椅子を持ってきてナウラを座らせる。さて、何からしようか。


「まお様ー、どうやったらナウラは変身できるの?」


するとナウラが椅子の上で揺れながら聞いてきた。とりあえず危ないからやめようか。


「うーん。ならまずはちょっと話を聞いてくれるか?」


「どんなお話?」


「君の色に関することだよ」


「色って………お花の?」


俺は頷く。するとナウラは目を伏せた。まぁ気にしてたことを話されるのにいい気分ではないよな。


「嫌かもしれないけど大事なことなんだ。だから聞いてくれないか?」


今度はしぶしぶといった感じでナウラが頷いた。よし、それじゃあ話して行こうか。


「アルラウネの花の色にはちゃんと意味があるんだよ」


「どんな意味?」


「花の色って言うのはアルラウネの持つ魔力量によって変わるんだ。魔力量の多いアルラウネと魔力量の少ないアルラウネでは全然違う色なんだよ」


「………じゃあナウラは魔力が全然無いんだね」


シュンとナウラは落ち込む。だがそんな彼女を見て俺は笑顔でこう言った。


「逆だよ」


「え?」


「ナウラは魔力量がとても多いんだ」


「どういうことー?」


「アルラウネの花の色っていうのはね、色が濃くて暗いほど魔力量が多いっていう証拠なんだ。そしてナウラの花は何色かな?」


「えーっと」


ナウラは頭に手を伸ばすと、花びらを一枚抜き取り俺に見せてくれた。


「こんな色!」


「紺色な。 まぁそういうわけでナウラは魔力がいっぱいあるんだ」


「えへへへ」


笑顔で喜ぶナウラを見て少し胸が痛む。何故かって?皆さん、アルラウネの特性は覚えていますか?

アルラウネの第二の姿は人間を誘惑するための姿だ。花に誘い込むことによってツルをからませて魔力を吸収したりする。

しかし今は吸収することよりも誘惑することに注目して欲しい。

アルラウネの誘惑とは、その、せ、性的なアレなわけなのですはい。まぁ何が言いたいかというと、花の色はそのアルラウネ個人のそういう才能に影響されるところもあったりするのだ。つまりナウラは紺色の花のため、かなりその………エロいということになってしまう。あくまで理論的な話だけど。

補足として付け加えると、最強(色んな意味で)のアルラウネの花の色は桃色らしい。色の法則無視とかどんだけエロ…………うん。


「でも魔力がいっぱいあるのにどうしてナウラは変身できないの?」


「たぶんそれはナウラがまだ成長しきってないからだよ。花の色が濃くて暗いほど変身の時に必要な魔力多いんだ」


思考を切り替え、彼女に説明する。こんな無垢な子の前で変なことを考えるな俺。


「じゃあ大きくならないと変身できないの?」


「いや、たぶんただ単に魔力が足りてないだけだと思うんだ。だから」


俺は机に置いてあったある瓶を手に取った。その瓶を見てナウラが首を傾げる。


「それなーにー?」


「ふふっ、聞いて驚け!なんとこれは魔力増強剤だ!!」


実は俺の寝不足の原因がこれだ。昨日すぐに城に帰ってアルラウネのことを調べたまではよかったのだが、原因が魔力不足のためどうするか悩んだ。そこである考えに至ったのだ。無いなら作ればいいじゃない、と。

そういうわけで徹夜して出来たのがこの魔力増強剤というわけだ。


「まぞくぞうきょうざい?それなーにー?」


思わずずっとこけてしまった。うん、今の難しかったよね。なんかきめて言ったのが恥ずかしい………。


「まぁ簡単に言うと、この薬を飲めば魔力がいっぱいになって変身できるようになるんだよ」


「わー!すごいんだね!まりょくぞうきょうざいって!」


もうその名は出さないで。恥ずかしいから。


「それを飲めばいいの?」


「そうそう。ちょっと待ってくれよ」


瓶の蓋を開けた。液体状の薬のため近くにあったコップに薬を注ぐ。


「薬って真っ白なんだね」


「そうなんだよ。濁るぐらい真っ白…………ん?」


真っ白?濁ってる?液体?…………oh………


「ふん!」


突然ドゴン!という鈍い音が俺の頬から響いた。


「まお様?どうして自分で叩いたの?」


「ちょっと俺の中の悪魔を取り除いていたんだよ」


落ち着け俺!変なことを考えるんじゃない!ていうか自分で殴っといてなんだけどめちゃくちゃ痛い!!


「よ、よし。これで飲みやすいだろう」


なんとか平常を保ちナウラにコップを差し出す。


「ありがとう!それじゃあ」


「あ、言い忘れてけど美味しくないから気をつけ━━」


「いただきまーす!」


俺が静止の言葉を言う前に、ナウラは勢いよく薬を飲み出した。


「ッ!?!?」


すると一瞬にしてカッ!と目が見開かれと思ったら、その目が突然潤みだした。それと同時にコップから口を外すナウラ。


「大丈夫か?ナウラ」


「うぅ………まお様これ苦いよぉ……それになかなかごっくんできないよぉ………」


涙目でそう言ってくるナウラ。ごっくんできないってことは飲み込むにくいってことか?ん?ちょっと待て………苦くて……飲みにくい………?しかも涙目…………


「ふん!」


ドゴン!


「まお様?また悪魔さんが来たの?」


「あぁ、なかなかしぶとくてな」


ホントしっかりしろ俺!これ以上やったら完全アウトだから!そしてこれ以上殴ったら俺の顔もヤバイ!


「うぅ………まお様どうしよう………?」


コップの中身と睨めっこするナウラ。『変身したい、でも苦いのは嫌だ』という葛藤中なのだろう。

俯いたナウラの頭を俺はそっと撫でてやる。


「頑張れナウラ。一人が嫌なら俺も一緒に飲むからさ。一人より二人の方が苦しいことも乗り越えられるしな」


「………ほんとぉ?」


「あぁ、だからもう一回試してみないか?」


「………うん、やってみる」


そう言うとナウラの目に覚悟の色が見えた。なので俺もコップに魔力増強剤を注ぐ。


「準備はいいか?ナウラ」


「………うん!」


「よし!なら行くぞ!」


コップに口をつけ薬を一気に流し込む。

うっ、試しに一回飲んだけどやっぱり苦いなこれ。大人の俺でこんな感じなんだからナウラは相当辛いだろう。

横目でナウラを見てみると、思いっきり目を瞑り涙が今にも零れそうだが、コップからは口を離さずに飲み続けている。

そしてとうとう俺たちは魔力増強剤を飲み干した。


「「ぷはーっ!」」


俺たちは同時にコップから口を外した。あーまずかった。


「やった!飲めた!飲めたよまお様!ナウラえらい?」


「あぁ、とってもえら━━うおっ!?」


思わず叫んでしまった。なんとこちらに笑顔を向けてくれたナウラの口元に白く濁った液体が━━


「ふん!!!」


バキッ!!


「悪魔さん強いね。あ、まお様鼻血出てるよ」


「だ、大丈夫、大丈夫だから」


全然一切何も大丈夫じゃない!そしてもう痛みが段々感じなくなってきたヤバイ!


「あれ?なんかポカポカする………」


俺が悶えているとナウラがそんなことを呟いた。その次の瞬間、


「うわっ!?」


突然淡い緑色の光が彼女の身体を包みこんだ。つまり彼女の変身は成功したことをしたことその光は示している。

光は段々大きくなったと思った瞬間、霧が晴れるかのように消えた。

そしてそこには━━


「まお様!」


真の姿のナウラがいた。

頭にあった紺色の花が今では何倍も大きくなり、ナウラの足元に咲いている。いや、彼女自身が花から咲いていると言ってもいいだろう。ナウラは文字通り一糸まとわぬ生まれた姿で花から咲い━━


「って!なんて格好してんだナウラァァァアアアアアア!?!?」


叫びながら思い出す。変身後のアルラウネは人間を誘惑するため服を着る必要があまりない。なので魔力で服を生成ことでしか、服を着ることできないのだ。

そして彼女は今日初めて変身することができた。そんなことを知っているはずがない。


「すごいよまお様!ほんとに変身できた!やった!!」


俺の推測通り全く気にしている様子はなく、さっき魔力増強剤を飲み干した時以上に喜んでいる。そんなナウラを見ているとこっちまで嬉しくなり、自然に笑みが浮かぶ。だからといって服を着させないのはまずい。主に俺の精神衛生上的な意味で。


「よかったなナウラ。でも今はまずを服を━━」


ガチャ


「し、失礼します!メディス様!!幼女に手を出さず私に━━」


突然ミーアがものすごい勢いで部屋に入ってきた。そして、


「」


その場で固まった。心のなしか目に光がなくなっているような気が。


「………メディス様?」


するといつものミーアからは信じられない程低い声で俺は呼ばれた。いきなりのことで返事し忘れる俺。


「メディス様」


「は、はい!」


ミーアの雰囲気に押されつい叫ぶように返事をしてしまった。


「事後ですか?事後なのですか?」


「は?事後?」


いったい何のことだ?


「ごめん、何のことかさっぱりなんだけど」


「つまり幼女に手を出した後かと聞いているのです」


「してるわけないだろそんなこと!」


「ならアレは何ですか?」


ミーアは指差した。その方向にいたのはナウラ。


「何故彼女は裸で口元に白い液体が付いていてそんな彼女といたメディス様は鼻血を出していらっしゃるのですか?」


「………………」


………何故でしょう……


「ミーア、とりあえず弁解させてくれ」


「弁解?我慢できず滾る情欲を吐き出してしまったということですか?」


「違うから!そんな今にも捕まりそうなことしてないから!」


「でもメディス様は先程おっしゃいましたよね?『開発する』と。あ、もしかしてそれについての弁解ですか?」


「アレそういう意味じゃないよ!?ほら俺って植物から薬作ってるだろ?だからちょっとそういう風な感じで言っちゃっただけなんだって!!」


そう俺が弁解すると、『はぁ………』とミーアは深いため息をついた。


「ど、どうした?」


「私は我ながら好意を抱いている方には淫らになるところがあると思っています」


あ、自覚あったんだそれ。


「なので殿方を誘うことにあまり戸惑いはありませんでした。しかしいくらは私でも『この格好』は躊躇したのに、メディス様は一切反応してくださらないのですね………」


「この格好って…………ッ!?」


そこで気づく。ミーアの入ってきた時の威圧的な態度のせいで目が行ってなかったが、彼女はとても奇抜な服を身につけていた。

水着なのか下着なのかは分からないが、とにかく紐だった。ミーアの大きな胸の頂きを最低限見えないようにしているだけの服だった。少しでも動けば見えてしまいそうだ。ていうかこれもう服って言っていいのか?


「私がこのような格好をしても反応して下さらないということはつまりそういうことなのですね」


「ち、違うって!ちょっと見えてなかっただけで━━」


「まお様ーーー!!」


「え?うおッ!?」


突然ナウラに呼ばれたと思った瞬間、俺の身体にツルが絡まり彼女のもとまで連れて行かれた。


「ナ、ナウラ?今忙しいからとりあえず離して━━」


「あのねまお様。ナウラはね、今ありがとうの気持ちでいっぱいなんだ!」


今のミーアとは対照的な輝く笑顔を浮かべるナウラ。


「だからね。まお様にお礼するね!」


「い、いや好きでやったことだし気を遣わなくていいよ。それより今は離し━━」


「ありがとね!まお様!」


俺の言葉が遮らたので再び言おうとした瞬間、


チュッ♡


それを防ぐよう何かが触れ、ってえ?え??


「えぇぇぇええええええ!?!?!?」


「ナウラの初めてとまお様からもらった魔力がお礼ね!」


少し頬を染めながらナウラは笑顔でそう言った。って、え、ちょっと待っ、え!?これぐらいのことでファーストキスくれちゃったのこの子!?!?女の子の初めてはもっと大切にしないと!


「ん?」


そんなことを思っていると、俺の腕にある異変が起きているのに気づいた。なんと俺の腕が光っていたのだ。まさかこれって!


「契約魔法!?」


気づいた時には俺の腕に三つ目の刺青、花の形をした刺青が刻まれた。



「よかっですねー幼女の初めて貰えてー」



俺が呆然としてると、まるで死神が語りかけてくるようにミーアの声が耳に入ってきた。


「しかも契約魔法まで済ませましたし命令し放題ですねー」


「あの、ミーアさん?これは違うんですよ」


「あー私急に魔法使って魔力発散したくなってきましたー」


「違うんだって!俺も急なことで何が何だか」


「なら嬉しくなかってのですか?」


「いやそりゃ嬉しくないわけな━━」


「発射よーい」


「せめて最後まで聞いて!」


しかしどうする?このままではミーアにヤられてしまう。巻きつかれて気絶なんかあったけど、魔法を受けるなんて今までなかったし…………でも喜んでいいのか分からないけど、ユーリのおかげで痛みに大分慣れてしまった気がする。そして幸いにも今ここにはユーリは居な━━


「あー丁度いいところにいました。ユーリ」


「え''?」


突然ミーアが振り返り、ドアの方を見てそんなことを言った。ハ、ハハ、ま、まさかそんなことあるわけ………。


「ユーリー、ちょっと頼みたいことがあるのですがー」


ミーアがそう言うと、ドアが開かれ誰かが入ってきた。


「ミーア殿?頼み事とは一体…………分かりました。殺りましょう」


「弁解の時間すら与えてくれない!?」


入ってきたユーリは一瞬にしてミーアと同じ目になり俺に殺人予告してきた。

ど、どうしよう。このままじゃ確実に死は免れない。魔王より魔王っぽいオーラを纏った二人にフルボッコにされる未来が目に浮かんでしまう。でも俺の言葉は届かない。こ、こうなったらナウラに状況をしてもらうしかない!


「ナウラ!」


「なぁに?まお様?」


この場には合わないとても可愛らしく首を傾げるナウラ。


「あのお姉さんたちに今日あったことを話してきてくれないか?」


「うん!いいよ!」


快く返事をしてくれると、ナウラは二人のもとに駆けて行った。て、足場が花なのにどうやって動いてるんだアレ?


「お姉さん!」


「何ですか?」


「何だ?」


ギロッ!と音が出そうな程の目つきでナウラを見る二人。しかしナウラは気づいた様子もなく話を続ける。


「今日ね!とっても楽しかったんだ!」


よしよし、その調子で頑張ってくれナウラ。


「まお様と会えたのも嬉しかったしチューも嬉しかったよ!」


ピクッと眉が動く二人。そ、その辺は避けてくれ!


「でもちょっと嫌なこともあったんの」


ん?


「えーっとね、名前は忘れちゃったけど白くて苦い飲み物を飲んだんだぁ」


「「は?」」


は?


「でもまお様も一緒に飲んでくれたから全部飲み込めたんだよ!」


ナウラの色々と端折った今日の出来事を聞いて、


「「」」


絶句する二人。そして、


「」


俺も絶句。


「そうだ!まお様、今からここ探検しよ?」


しかしここでナウラのナイスバトンが飛んできた。これを理由にこの部屋から脱出するんだ!


「も、もちろんいいよ」


そう返事しナウラのもとに向かおうとした瞬間、


(もし今この部屋から出て行けばどうなるか分かっていますか?)


頭の中に背筋が凍るような声が響いた。さらに、


(この城がなくなってもいいのか?)


さっきとは違う、しかし背筋が凍りつくような声が流れてくる。どうしよう、もう泣きそうなんだけど。


「まお様どうしたの?」


「え?いやぁ………」


((さぁ!早く断れ!!))


………はい……


「わ、悪いナウラ。ちょっと用事を思い出したし先に探検しといてくれるか?」


「えー、まお様来ないの?」


「用事が終わったらすぐに行くよ」


「ほんと?終わったらすぐに来てくれる?」


「もちろん。だから早く行っておいで」


「うん!」


そう言うとナウラは元気に走りながらこの部屋を出ていった。


「さて………」


ふぅ、と俺は一旦深呼吸をして自分自身を落ち着かせる。そして意を決して振り返った。そこには━━



その後俺がどうなったかって?察してくれると嬉しいかな。ただ一つ言うならナウラに会った瞬間、俺の姿を見た彼女が顔を真っ青にして泣いちゃったってことを付け足しておくよ。




マキ「みなさんお久しぶりですぅ。色んな意味で私はお久しぶりな気がしますぅ。それよりもぉ、何故かそろそろ魔王様がボロボロになって運ばれてくる気がしてきましたぁ」


数分後、彼女の予測は当たった。

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