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気づいたら道を外れてました。

テスト終わったーーー!!!二重の意味にならないことを祈ります。

ナウラと会った次の日。

どうにかやることを終えた俺は寝不足のため、フラフラとした足取りで廊下を歩いている。今日はユーリとの特訓も無しにしてもらった。こんな状態でやったら怪我は避けられないからな。ただでさえこの頃怪我することが多いのに………。

すると寝不足の俺でも一気に覚醒する出来事が起きた。なんと子どもぐらいの大きさの葉っぱが歩いていたのだ。なんだ?新手の魔族か?とりあえず近づいてみよう。

動きは遅いのですぐに近づけた。目の前まで行きしゃがみ込む。そしてじっくり観察。新たなる植物系魔族かもしれな………うん?

よく見ると葉っぱは掴まれていた。その証拠に葉っぱの両端を緑色の手で………緑色?


「…………」


俺は無言でじょうろを取り出すと、その葉っぱの後ろにいるであろう人物に水をかけた。すると、


「おーいしーーー!」


葉っぱが声を出して喜んだ。おーい、隠れてるんじゃないのかー。


「ハッ!ナウラは葉っぱ、ナウラ葉っぱだよ〜」


今更気づいた様子の葉っぱ、ていうかナウラは自分に言い聞かせると再び動き出した。俺のことは気づいていないようだ。


「葉っぱさんこんにちは」


だから知らない体で話しかけてみた。


「こんなところで何をしているの?」


「………葉っぱに言葉は通じないよ〜」


いやすでに喋ってるし。まぁ口には出さないけど。


「葉っぱさんはお水好き?」


「大好き!」


おい通じないんじゃなかったのかよ。


「なら美味しい水があるけど飲まない?」


「飲みたい!ちょうだい!」


「なら本当の顔を見せて欲しいなー」


「いいよ!」


すると葉っぱをどけてこちらに笑顔を向けてくるナウラ。うん、おバカさんこんにちは。


「ハッ!」


「今更気づいたのかよ」


「あれ?まおさまどうしてこんなところにいるの?」


「いやそれこっちのセリフだよ」


ていうかなんで葉っぱ?


「もー!昨日のこと忘れたの?」


「覚えてるけど、どうしてそんな格好してるんだ?」


「お城に入ろうとしたら兵隊さんに入っちゃダメって言われたから変装してきたんだぁ」


「逆にその格好で入れたんだ………」


大丈夫か?ここの警備。


「それにほら!今日はおしゃれしてきんだよ!」


嬉しそうに服を見せてくれた。

彼女の服装は葉っぱでできたワンピースだ。昨日もそうだったのだが、今日のワンピースの葉は日の光を浴びた綺麗な緑色でとても新鮮ものだった。そして胸のあたりにはナウラと同じ青色の花のブローチが付けている。


「どう?似合うかな?」


「もちろん似合ってるよ」


「えへへ、ありがとー」


にっこりと微笑むナウラ。そうか、この子が天使か。


「それじゃあ行こうか」


「うん!」


彼女より前に出て歩き出す。するとナウラは駆け寄ってきて俺の手を握ってきた。ナウラを見下ろすと目が合い、彼女はさっきのようににっこりと笑った。だから俺も笑え返した。



***


時を同じく魔王城の廊下。ミーアはうきうきとした様子で歩いていた。その手にはティーセットがある。


「フフッ、たまにのんびりお茶もいいですよね」


美味しい紅茶をマキからもらったため、ミーアはメディスを探していた。しかし紅茶はもちろん魔界製のため、メディスが美味しく飲める保証はどこにもないわけなのだが………ミーアはたぶん分かっていないだろう。

すると向こうの方からメディスが歩いてくるのを見つけた。


「あ、メディスさ━━!?」


すぐに駆け寄ろうとしたミーア。しかし言葉だけじゃなく身体まで止まってしまった。理由は今メディスと一緒にいる人物にあった。


「まお様まだー?」


「もうすぐ着くから我慢してくれ」


「はーい」


ナウラという幼い少女を見て、まずミーアはこう思った。


(また浮気なのですか!?)


と。すぐに彼女は近くの柱に隠れナウラを観察した。しかしよく考えてみると相手は完全に子どもだ。まさかそんなわけないと思いながらも不安を拭いきれないミーア。

そんなことを考えているうちに二人は目の前を通り過ぎようとしたので慌てて声をかけた。


「メ、メディス様!」


「うん?あ、ミーア。そんなに慌てて大丈夫?」


「あの、一緒にお茶でもと思いまして………」


「美味しそうだけどごめん。今からちょっとやることがあるんだ。な?」


「うん!」


断られたのは少しショックだったが、そんなことよりもミーアは気にしていることを口にした。


「メディス様………その子は一体どこからお越しになったのですか?」


無駄に丁寧になってしまったのは仕方がない。ミーアもいっぱいいっぱいなのだ。


「どこから?うーん………森に一人でいたから連れてきたんだよ」


「えぇ!?」


(まさかの誘拐発言!?)


もうこの時点で浮気だなんだという考えはミーアの中では消えていた。何故なら愛する主が幼女誘拐の犯罪者になりかけているからだ。


「今度一緒にお茶しような」


そして再び二人は歩き出した。


(やることってたぶんあの子に関係があるんでしょうけど………ん?ヤる?ハッ!?)


恐ろしい考えに到達してしまったためミーアは慌ててメディスに尋ねた。


「ああああ、あの!メディス様!今から何をなさるおつもりなのですか!?」


「え?うーん………この子を大人にしてあげるんだよ」


「…………は?」


その言葉を聞いた瞬間、ミーアの中で自問自答が始まった。


(え?は?え!?は!?!?大人してあげるってなんですか!?普通女の子を大人にしてあげるって…………いぃぃぃやぁぁぁあああああああああ!?!?!?!?)


顔が真っ青に倒れそうになるミーアだったが、なんとか踏ん張り再びメディスに尋ねた。


「あの………大人にするってナニをするのですか?」


「なんて言ったらいいんだろう…………開発?」


「か、かか開発ぅぅぅううううう!?!?」


とうとうミーアは嫌な汗までかき始めた。


(もうこれ確定的じゃないですか!?メディス様がそんな………そんなぁぁぁあああああああああ!!…………お、落ち着きなさいミーア。主を正すのも配下の役目です。メディス様を真っ当な道に戻すのです)


ミーアは覚悟を決めた。主を真人間に、あわよくば自分だけを見てくれるようにすることを。


「メディス様。それはその子のためにならないと思います。それにきっとその子はそんなことを望まないと思いま━━」


「いや、ナウラがして欲しいって言ってるんだよ」


「え………えぇぇぇええええええ!?!?」


(まさか幼女側からのお誘い!?)


「それにこの子の周りはみんなもう済ませてるらしいし」


「はぁぁぁああああああああああ!?!?」


(い、今の幼女たちはそんなに爛れているのですか!?!?)


もうミーアは呆然と立ち尽くすしかなかった。


「そろそろ俺たちは行くよ。誘ってくれてありがとうなー」


そう言うとメディスとナウラは去っていた。

その数分後。


「………ハッ!」


ミーアは意識を取り戻した。


「メディス様があの子と…………」


すぐにさっきのことを思い出す。その瞬間、


「こ、こうしてはいられません!」


ミーアは駆け出した。


「私はまだ諦めません!メディス様をこの手で救ってみせます!!」


ある準備をするためとある部屋へとミーアは向かった。愛する主を悪い道から救うために。

ミーア「………どうしましょう。メディス様の好みが分かりません。清楚系?セクシー系?クール系?大人け…………忘れてました。子ども系でした………」

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