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気づいたら作ってました。

この世界の食文化は適当なので気にせず読んで頂ければ嬉しいです。

夜、夕食時、俺はとある人物を訪ねた。


「マキー?ちょっといいかな」


「ま、魔王様ぁ!?どうしてここにぃ?」


俺が訪れた人物とはマキのことだ。彼女はずぶ濡れで料理を作っていた。


「ちょっと頼みたいことがあって」


「な、なんでも言ってくださぃ。朝の件のお詫びもしたいですしぃ………」


「いや、あれは俺が悪かったんだよ。歌まで歌ってもらったのに気絶なんかしてごめんな」


「い、いぇ、もともとは私の料理が原因だったのでぇ……」


「いやいや俺が………」


「い、いえいぇ私がぁ………」


………話が進まない。


「よし、謝るのはここまでにして、頼みを聞いてくれる?」


「は、はぃ!」


「人間界の食べ物って何かある?」


朝食べたカエルは確かに人間が食べるものじゃなかったが、カエル自体は人間界のものだった。つまり他にも人間界の食べ物があるかもしれないというわけだ。


「人間さんの食べ物ですかぁ?ちょっと待ってくださいねぇ」


するとマキは奥の方に消えていった。数分後、彼女はさまざまな食材を持ってきてくれた。

カエルにトカゲ、イモリに幼虫…………俺の推測は間違ってなかったけど失敗した。いや、待て。あれは…………


「なぁマキ。それってもしかして………」


「これですかぁ?ちょっとこれは調理の仕方が分からなくてぇ……魔王様はこれ知ってますかぁ?」


「知ってるも何も俺はほぼ毎日これを食べてたよ」


『これ』の正体。それは米だ。マキが持ってきた食材の中になんとお米があったのだ。


「どうやって手に入れたんだ?」


「私はお料理が好きで人間さんの料理にも興味があったのでぇ、思いきって買ってきたのはよかったんですけどぉ………」


作り方が分からなかった、というわけか。でもマキなら濡れてること以外は普通の人間に見えるから、人間界の街に買いに行けるのも頷ける。


「よし、なら『ご飯』の作り方を教えよう」


「ご飯って何ですかぁ?」


「お米の完成形かな?俺も上手く説明できないけど。まぁ今はいいか。とりあえず作っていこう!」


俺たちは魔界で人間の料理を作り出した。


「まずはお米を洗うんだ」


「どうして洗うんですかぁ?」


「汚れを落とすんだよ」


「なるほどぉ」


俺は米と水を容器に入れ洗い出す。水が白くなると流し、同じことを二、三回繰り返した。


「次はお米に火をかけて炊くんだよ」


「炊くって何ですかぁ?」


「煮るに近いかな」


「なるほどぉ」


さっきとは違う容器に米と水を目分量入れ、蓋をして火にかける。


「よーし、これであとは待つだけだよ」


「これだけなんですかぁ?」


「あぁ、炊きすぎには注意しなちくちゃいけないけど」


じっと待ってるのもアレなので俺はマキに気になることを聞いた。


「マキ、一つ聞いていいか?」


「なんでしょぅ?」


俺はいつもマキが使っているであろう調理場、の上を指差す。


「あのバケツってどうしてあるの?」


キッチンやオーブンなどの上にバケツが設置されていた。何か魔族特有の調理の仕方でもあるのかな?


「あぁ、これはですねぇ」


マキはバケツの下まで行くと、バケツから伸びる紐を引いた。すると、


「こうするためですぅ」


バケツから大量の水が降ってきた。もちろん下にいたマキはずぶ濡れになってしまった。


「だ、大丈夫かマキ?」


「大丈夫ですよぉ。私は人魚族ですからぁ。私はこれが無いとずっとお料理できないんですよぉ。火を使ったりすると乾いちゃうのでぇ」


なるほど。人魚族も大変だな。料理するのにも水が必要なのか。ある意味人魚族(まぞく)特有の調理の仕方だな。

そんな話をしていると、そろそろいい具合の時間になってきた。俺は火を止め中身を確認する。


「お、炊けてる炊けてる」


真っ白なふっくらとしたご飯が炊けた。なんか見るのも懐かしいな。


「わぁ……これがご飯ですかぁ」


目をキラキラさせてご飯を見るマキ。意外と好奇心旺盛な子だな。


「食べてみる?」


「いいんですかぁ!」


「うおっ!?」


ぐいっとマキは顔を寄せてきた。近い、近いよ。


「ぁ、す、すいません!」


「いや、大丈夫だよ。それよりほら、どうぞ」


俺はご飯を皿によそい彼女に手渡した。それを受け取りマキはフォークを使ってご飯を口に運ぶ。


「お、おいしぃ………」


「だろ?俺たちはこのご飯が主食なんだよ。あ、そういえば塩ってある?」


「お塩ですかぁ?ありますよぉ」


一瞬魔界の海で取れた塩、なんてものを想像したが出てきたのは俺が知る塩だった。


「最後にこの塩を使ってアレンジしよう」


手を濡らしご飯をてを収まる程度にすくい上げる。そこに塩をまぶし三角に形作っていく。


「おにぎりの完成だ」


「おにぎりぃ?この三角のご飯がですかぁ?」


「そうそう。食べてみる?」


「はぃ!」


本当に料理のことが好きなんだな。笑顔が眩しい。

俺が作ったおにぎりをマキは頬張る。


「〜〜〜〜〜〜ッ!おいしいですぅ!」


「だろ?中に具材を入れるとまた味が変わっておいしいんだよ」


マキを見てると作った甲斐があったな、と自然と思えてくる。


「そうだ、マキ」


「どうしましたぁ?」


「今度さ。俺と一緒に人間界へ買い物に行かないか?」


「へぇ?」


人間の料理をおいしく食べてくれるマキに知ってほしいし作って見てほしい。その旨をマキに伝えた。


「わ、私なんかいいんですかぁ?」


「もちろんだよ。それにマキが作った料理をちゃんと食べてみたいんだ。一緒に行ってくれるか?」


「………よ、喜んでぇ!」


そう言ってマキは笑ってくれた。そうか、そんなに新しい食べ物が知りたいんだな。本当に料理好きな子だな。


「よし、なら残りのご飯も食べてしまおう!」


「はぃ!」


その後俺たちは炊けたご飯をそのまま食べたりおにぎりにしたりなどして夕食を終えた。

マキ「おにぎりっておいしいですねぇ」

メディス「梅干しとか昆布を中に入れて食べたいよ」

マキ「私はですねぇ……イモリやヤモリ、アカハラなんかもおいしいと思いますぅ」

メディス「そ、そうか。(やっぱりこの子も魔族なんだなぁ………ていうか全部トカゲじゃないの?)」




ミーア「メディス様が誰かと私以上にイチャイチャしてる気がします!………あ、ちなみにトカゲとイモリは爬虫類でヤモリは両生類です。そしてイモリは夜行性なのです。アカハラはトカゲの一種です。皆さん、間違えないでくださいねー」


ケルト「お嬢様、大丈夫ですか?」

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