表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/11

あなたの左手と右手は何のためにありますか?

俺はギャハハハと不快な音をまき散らす若い2人の男のものと思われる笑い声で目を覚ました。

全く人が久しぶりに気持ちよく寝ていたのに、他の人の事も考えてほしい。

さて、話を戻そう。

俺は目を覚ましたと言っても体は動かさなかった。

なぜなら、俺はエリス{白黒のドラゴン}との壮絶なバトルのおかげでかなりのダメージを負ったらしく、不覚にも気絶してしまったらしい。

だから、なぜ俺はこんなRPGで出てきそうな宿屋のベットで寝ている経緯がまったくわからない。

なんせ俺が意識を失った場所はどう考えたって外だったのだから。

しかも、よく見ると、服も、やる気のないジャージから、チノパンとコートみたいなのに着替えさせられていた。

「おれなんでこんな格好してんの?」

少し俺は考えようとしたがどんだけ考えても答えがわからないだろうと思い、どういった経緯でここにいるのは完全にシカトして、情報収集をしなければならないと考えた。

なぜなら、いろいろ気になる事がたくさんあるからだ。

例えば、金だ。

どの世界一貫して金がないとお話にならない。

日本みたいに、円単位だと楽なんだが、そんなに都合がいい訳がない。

「ま、なるようになるか。」

俺は思考を無理やりばっさりと完結させると布団をどけ、跳ね起きの要領でベッドからかっこよく脱出してみた。

ばっとこぎれのいい音を立てて脱出できたが、着地する時に、失敗して足の裏で着地するはずが、つま先で着地してしまった。

着地した瞬間、両つま先ともゴキと言う嫌な音を立てた。

「ぎゃぁぁぁっ!!!!」

俺は悲鳴を上げながら部屋中転げ回った。

その拍子に壁やベッドに背中を強打をした。

地味に痛みが襲ってくるがそれはどうでもいい。

両つま先が本来曲がってはいけない方向に曲がっている。

下手なホラー映画より怖い。

しかも、壁に激突したさい窓に飾ってあった高級そうな花瓶が地面に向かって落ちてしまっていた。

「やべぇ!!」

俺はつま先を正常な方向へ戻して、起き上がり必死で走って花瓶を救助しようと思ったが、普通ならすぐ追いつける距離なのだが花瓶との距離が一向に縮まらない。

俺はおかしいと内心思いながら、今はそれどころではないのでいらない思考を排除して跳んだ。

俗に言うヘッドスライディングだ。

「届けぇぇぇ!!」

プロ野球選手顔負けに地面を滑りながら手を伸ばした。

時間がスローモーションのようにゆっくり感じた。

まぁ実際、感じただけだったんだけどな!!

俺の努力もむなしく花瓶は俺の目前でパリーンという音を立てて割れた。

その直後だった。

ギィーと古いドア独特の音を立てて悪くと言うとデブのおばさん、良く言うとグラマラスなボディーの

美人がドアの前に立って唖然とした表情をしていた。

俺は最上級の笑顔で{髪で顔は見えないが}放心状態のおばさんに話を逸らすために言った。

「今日は良い天気だな。絶好の洗濯日和だ。」

俺はカーテンに手を掛け両手でバッと開いた。

天気は雨ではなかった。しかし、曇りか晴れかはわからなかった。

なんせ今の天気は夜が支配していたのだから。

俺の焦る気持ちを無視しておばさんは笑っていた。

いつか、イリアの大切な皿を遊んでいたら割ってしまった時の表情に似ている。

笑っているが目がまったく笑ってない。

おばさんはおもぬろに俺の首根っこ掴んできた。

「あんた、何で動いてるんだい?2週間は体が動かせないって診断だったんだけどねぇ。」

おばさんは怪しげに俺を見てきた。

「そいつ、やぶじゃねぇ?」

俺は上に軽快にピョンピョン上に跳んでみた。

「ほら全然、大丈夫だろ。」

俺はおばさんに余裕だという事を示した。

が、

「あんた、自分の腹見てみな?」

呆れたようにおばさんは俺の腹に指をさしていた。

俺は視線を自分の腹に向けた。

腹には包帯がぐるぐるに巻かれていた。

そこまでは良いんだが、包帯にはジュワァっと血が滲みだしていた。

「Oh-やばいな大洪水じゃねぇか。」

「アホな事言ってないで、けが人は寝てな。」

おばちゃんはベッドを指差して、俺に寝るように促した。

「嫌、大丈夫だ心配ない。」

「俺、これがデェフォだから。世話になったなおばさん。」

あんまり人と話すのが好きじゃない俺は手を適当に降って後ろを向いてどこかに行こうとした瞬間だった。

後ろからぶぉんという音が聞こえた。

その後に俺は後頭部から聞こえるゴスと鈍い音ともに顔面からおもっきりベッドに突っ込んだ。

おばさんが太った体にも関わらず常人には似合わないスピードでラリアットを放ってきたのだ。

俺はベッドに顔面を突き刺したままひどく困惑していた。

なぜなら、あの程度の攻撃が避けられなかったからだ。

無論、油断などしていなかった。 

頭が、わかっていても体が思い通りに動かなかったのだ。

しかし、俺は怯むことなくベッドから飛び出ておばちゃんに猛然と抗議した。

「痛てぇな。何しやがる?」

「あんた、花瓶のこと忘れてないかい?」

「花瓶って何んだ?全く身に覚えがないんだが?」

「あんたが、さっき取り損ねてたやつだよ!!」

おばちゃんは、無惨に割れた花瓶を指した。

「これは、1500エーテルもするこの宿屋の宝物だよ?」

「あと治療代と二日分の宿泊料1900エーテルだ。」

おばさんは俺に向かって手をずいっと出してきた。

「何だその手は?犬みたいにお手をしろってか?」

俺は右手をおばさんの手の上のに重ねた。

「誰がそんな事をやれって言ったんだい。金だせっていってるんだよ!!!」

おばさんは、怒り心頭のご様子だった。

しかし、俺はそれどころではなかった。

ここは日本語も通じるし、もしかしたらお金の単位が円かと思ったがこのおばさんが粉々に砕いてくだいてくれやがりました。

もうね、あれだよ、すげぇ落胆ぶりだわ。

しかし、落ち込んでいる訳にはいかなないと思い、とりあえずどうやってこの状況どう切り抜けようかと考えていた時に、俺は良い事を思いついた。

世の中には、テンプレという先人が残した、偉大な言葉がある俺はその偉大な言葉を拝借してこう答えた。

「あーわりぃなおばさん。俺、記憶喪失みたいなんだわ。」

俺は異世界に来たやつのテンプレを言った。

そして少し、寂しそうな表情して答えた。

「だから、俺、正直金もないし、ましてやこの世界の事もわかんないんだわ」

俺はわざと暗い表情を装って同情を誘った。

「・・・そう言う事かい。なら、なぜ血だらけになって倒れていたのかも覚えていないってわけだね?」

「ああ。まったく見覚えにない。」

ホントは、ドラゴンと戦ってあんな血だらけになったと言いたいところだが、黙っておいた方が得だろう。

「そう言う事なら、私にまかしておきな!!」

おばちゃんは胸をドンと叩いた。

「いや、は?」

俺は今日最大限に困惑した。

「まったく話が見えてこないんだが?」

「あんた、察しが悪いね。」

「あんたは、そこの花瓶を弁償しなければならないだろ?」

「嫌、なんでそうなんの?」

「あんたまだ、白を切る気なのかい?」

「まて、おばさんあんたはなんか誤解してる。」

「あれだ、地震だ。この部屋さっきすげぇ、揺れてたぜ?」

嘘はついてない。揺れたのは事実だ。

俺は必死に手で訳のわからないジェスチャーをした。


「揺れてたのはこの部屋だけだよ!!」

「あんたの部屋だけ、どんどんうるさいんだよ。アンタの部屋が震源地なんだよ!!」

「さっきからあんたはなにやっていたんだい?」

おばさんは相当怒っていたが、怒鳴り散らすまいと拳をギュっと握って耐えているようだった。

俺は自信ありげに答えた。

「嫌、ちょっと冒険したくなったんだよ。男だったらそういう心情があんだよ。」

「で?何したんだい?」

訝しげな眼で見られた。

額には青筋が浮かんでいる。

俺は背中に滝のように汗をかきながら答えた。

「跳ね起きでかっこよくベッドから出ようとしまして、いつもなら余裕でできるんだけど、今日は

ちょっと調子が悪くてな・・・」

「それで?失敗したのかい?」

「おう!!」

元気よく返事したら、返答の代わりに顔面にグーパンが飛んできた。

しかも、さっきのラリアットより幾分か早い、俺は全く反応できず再度、ベッドにめり込んだ。

あれ?おかしいな俺こんな弱かったっけ?

やばい心の汗が止まんない。

「何勝手に一人で落ち込んでるんだい?」

「うっせ。おばさんにはもうできんない悩みだからな。」

「それはどういう意味だい。」

「え?もう年齢的にね・・・」

「へぇ?どうやらまだ殴られたりないようだね。」

ぽきばきと恐ろしい音がした。

しかし、おばさんは殴ってこずに、かわりに盛大なため息をついて手紙らしきものを俺に渡してきた。

「おばさんこれは?」

「アンタの服の中に入ってた。」

「なんだ?この紙すげぇいい質してんな。」

その紙は持っているのも忘れそうなほど、柔らかかった。

「そうか、あんたは記憶喪失だったんだね。」

まぁ正確には知らないんだけどな。

「それは、メルト紙っていってね、かなり高級な紙だね。」

「もしかしたら、あんたすごくいいとこのお坊ちゃんなのかもね。」

おれは、笑いながら言ってやった。

「ないない、こんな品のないお坊ちゃんはいないだろ?」

おばさんもガハハハと豪快に笑って言ってきた。

「そりゃそうだ。」

「そういえば、アンタの名前聞いてなかったね、あたしの名前は、ハリーだ。アンタの名前は?」

「宇佐美八雲だ。」

「ウサミヤクモ変な名前だね。」

「うっせ。ばかにすんな。」

「そうだね。失言だったね。悪かった。じゃぁ八坊あたしゃ仕事があるけど、なんかあったらいいなよ。」

「あいよ。さんきゅないろいろと。」

「ああ。」

そういって、おばさんは下に降りて行った。

さて、俺はと言うとさっそく手紙を開けて中身を見た。

手紙の主は、驚いた事に白黒のドラゴン、エリスからだった。

手紙には達筆な日本語でこう書いてあった。

拝啓、親愛なる旅人、八雲へ。

この手紙を読んでいるという事はどうやら死んでなかったようだな。

今何をしているのかは、わからんがそこは学園都市の近くにある下町だ。

とりあえず、お前は転生ゲートで学園都市の中心にある中央魔法精霊図書館に向かえ。

お前の知りたい事が知れるだろう。

それと、今のお前は、私と戦った時ほど戦闘能力がないからくれぐれも無茶をするな。

私が伝えたい事はそれだけだ。

お前が真実を知れる事を心から願う。

敬具


そうかいてあった。

いろいろ疑問に残る事があったがとりあえず、学園都市とか言うとこに行くしかないな。

俺は考えをまとめ手紙を折りたたもうとしたら手紙が緑色に発光し始めた。

「なんだこれ?」

手紙は溶けるように跡形もなく消えて、代わりに赤色の小さな鍵が手に納まっていた。

「なんか、重要なアイテムなんだろうな。つか、あいついちいち回りくどいな。」

「ほんと、情報が少なすぎて、何もわかんねぇ。とりあえずやることないし寝るか?」

俺は小さな鍵をコートのポケットに突っ込んでそのままコートをハンガーにかけて、毛布に包まった。

「あ、そういえば、ハリーに助けてもらった礼言ってなかった。」

「まぁ、明日でいいか。」

ホントはあんま良くないんだが、毛布から出る事を体拒否したので惰眠を貪ることにした。

「おまむー」

俺は謎の言葉を吐いて眠るに着いた。

感想とかアドバイスとかお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ