彦星誕生2
「待てよ! いきなり現れて、彦星になれだって、どういうことだよ?」
少し声を荒げながら、光はルルに言う
ルルは光ことをずっと見ながら部屋を飛び回っている。
「うーん、勢いで言えばYESって言ってくれるかと思ったのにな」
ルルは、机の上に降りた。
「光ちゃんは何が聞きたいの?」
「光ちゃん? まぁいいや。とりあえず、彦星って何だよ?」
ルルは咳払いをひとつして答え始めた。
「織姫と彦星に居ることで天の川が壊れずに維持できているんだよ」
「壊れる? 天の川が壊れるって?」
ルルは少し険しい表情になる。
「壊れるというか…・・・天の川がこの地球に落ちて、天の川が地球に落ちてきてどちらとも壊れるんだよ……」
そのルルの意言葉で光は驚きのあまり、声も出なかった。
――地球が壊れる・・・
「いや、嘘だろ?」
「本当だよ、嘘は付いてないよ。だからね、光ちゃんは明日学校へ行って、織姫を探すんだ」
「織姫も光と一緒で、その指輪を着けてるよ。織姫の指輪は赤く光ってるから」
ルルは、ひとつも嘘をついていないように見える。
「それは断ることはできないの?」
「光ちゃんは彦星に推薦されてるんだ、だから断ることもできるよ」
断ってもよいと聞いて、光は少し考え始めた。
――五分、十分。
「何で俺が推薦されたかもわかんないし、その天の川って何なのかもまったくわかんないけど、俺は――彦星とやらになってみてやるよ」
「ありがと、光ちゃん。ボクもまだまだ、ぜんぜん言うこともいえてないけど、理解してくれてありがと。これからよろしくね!」
ルルは握手右手を差し出し、光もそれに答える。