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両片想いは嫌われたくない!  作者: ゆきやこんこん
1章 嫌われたってよ
13/19

しっかり謝れる大人になりたい


 ――そうして、色々と考えているうちに、帰りの挨拶すら終えてしまった。


 今日話しかける最後のチャンスだからものにしないと……


 とにかくまずは話しかけるところから始めよう。


 そもそも今話しかけれない理由は、自分がヘタレてるだけ、ということに気づいてしまった。


 だから、あとは自分が勇気を持って話しかけるだけ!


「よし!やるぞ!」


 自分の両頬を弱めにペチンと叩いて気合いを入れ、立ち上がろうと椅子を下げると――

 


 ――柊さんが立ち上がった。


 やばい!これ先帰られちゃう!


 色々心の準備とかしたかったけど、しょうがない、行くしかない!


 急いで立ち上がって、柊さんの方に向かおうとすると、柊さんもこちらに向かってきていた。


 柊さんこっち来てるなら好都合!今しかない!

 


「「柊さん/楓斗!」」

 


「「え?」」

 


 ――なんか被った。


 このパターンは想定してなかったよ!?!?


 話しかけて来るってことは何か用事があった訳だから、柊さんの用事を先に聞こう。


「えっと、柊さんお先にどうぞ?」


「いやいや、楓斗なんか私に話したいことあるんでしょ?先いいよ?」


「いやいや、柊さんこそなんか用事あるんでしょ?こっちはそこまで時間のかかる用事じゃないから、お先にどうぞ」


「…いい?じゃあ先言わせてもらうね?」


 何言われるんだろ…「もう、私に関わらないで!」とかじゃないといいけど……


「えっと、じゃあ…言うね?」


「う、うん」


 そんなに言うの溜められると怖いんだけど……


 心臓がかつてないほどドキドキしている、久しぶりに話せてテンションが上がってるのもあるけど、何言われるのか分からなさすぎて死ぬほど怖い。


「えっと…その……」


 そんなに時間は経っていないはずなのに、すごく長く感じる。


 そして、ようやく柊さん学校口を開く。

 


「その、ごめんなさい!」


 

「……へ?」


 …………ん???なんで謝ったの?謝るのはこっちじゃないの?


 なんか謝られるようなことされたっけ?


 …………いや、どれだけ考えても、謝られることをやった記憶がないんだけど。


 それより、なんで謝らせちゃってるのさ!


 謝るべきは僕の方なのに、柊さんに謝らさせて自分が謝らないなんて、重罪だぞ!


「いやいやいや!謝るのはこっちだよ!ごめんなさい!」


「……え?なんで?謝るのはこっちだよ!」


「いやいや!」


「いやいやいや?」


「いやいやいやいや?」


「いやいやいや…フフフ、アハハハ」


「だから、僕がwわるかったwからァァハハハ」


「何w言ってるのかw分からないぃぃァアハハ…」


………………

…………

……


 その後5分ぐらい僕達は笑いあった。


「ハァハァ…ふぅ…」


「落ち着いた?」


「そっちこそ、落ち着いた?」


「当たり前じゃん!ハシビロコウと同じぐらい落ち着いてるし!」


「…ハシビロコウ?まぁ、なら良かった」


 大爆笑し続けたから知らないが、今は卒業式の前と同じぐらいにお話ができるようになっている。


 久しぶりにしっかりとお話ができて嬉しい。


 ここでハシビロコウと同じぐらい落ち着いたらしい柊さんがまた言い出した。


「え〜と、また改めて…ごめんね?」


「さっきも言ったけど僕は何か謝られる様なことされた記憶がないし、逆に謝らなきゃいけないことしちゃったのはこっちだと思ってたんだけど……」


「え…?あれだよ?あれ」


「どれのこと?」


「あの……入学式の日朝会って話したときに、私が感想を求めたのに、言われたら酷いこと言って逃げちゃったから………」


 あれ?それって僕が謝ろうとしてたことと同じじゃ……


「それって、僕が褒めるタイミング間違えて、みんなの前で褒めすぎて恥ずかしいかったのと僕の褒め方が気持ち悪かったのかと……」


「なわけないじゃん!!!……まぁ、ちょっとだけどね?ちょっとだけど……嬉しいかったら…//あと、恥ずかしかったのは恥ずかしくて逃げちゃったけど、そこまでいじられてないから今はもう気にしてないし大丈夫だよ!」


「なら良かったぁ〜気持ち悪かったから逃げられたのかな?とか考えちゃったりしたし」


 良かったぁ〜気持ち悪かったわけじゃないんだ。


 柊さんに気持ち悪がられてない事がわかって一安心したけど、まだこっちはちゃんと謝ってないことに気がついたのでちゃんと謝ることにすふ。


「でも改めてこっちもごめんなさい、気にしてないって言ってくれたけど、恥ずかしいと思うようなことしちゃったのは事実だから……」


「そんなに気にしなくていいのに…………あっ!」


「???」


 柊さんが課題提出日前日にその課題の存在を思い出した時の学生のような顔になっている。


 どうしたのだろうか。


「もう1つごめんなさいしなきゃダメなやつあった」


「あ〜…」


 多分この前の対応の奴かな?


 まぁ、あれはちょっと…というかかなりショックだったからなぁ。


「昨日さ、帰りの時話しかけてくれたのに、すごく酷い対応しちゃったから……それもごめんね」


「あれね、あの時はちょっと怖かったというかこの前のことでかなり嫌われたと思ってたから、ショックだったけど、今こうして謝るきっかけにもなったから全然気にしてないよ!」


「ほんとに?それなら良かった……」


 なんか、しんみりと言うか柊さんが“しょぼん”って感じになっちゃった、何か話題は……


「柊さん、1つ気になったんだけど……」


「なに?」


「あの時ニコニコしてたけど、何考えてたの?」


 秘技!突然の質問コーナー!!!


 質問をすることによってそこから話題を広げて会話を繋げ、話しやすい環境を作り上げて、盛り上げる技である!


 ……まあ、欠点あるんだけどね。


 ――とか考えてると、何故か顔を真っ赤にしている柊さんがいる……なぜ?


「…っっ//楓斗には関係ないでしょ!ちょっと考え事してただけ!」


 怒らせちゃったぁ……まただよ、仲直りできたかな〜とか思ってたときにさぁ〜


 とりあえずまずは、すぐに謝るところから!


 この前はすぐに謝れなくてこじれちゃったのもあるから、早く謝るが吉。


「ご、ごめん!あの時話しかけちゃって機嫌悪くなったから、なんか楽しいこと考えてたのかなぁ〜って思って……」


「ほんとになんでもないから!考え事に熱中してただけ!……はい!この話おしまい!」


 パチンと手を叩いた柊さんがこの話題の終わりの宣言をする。


 そこまで隠されると気になっちゃう……けど、柊さんにもっと嫌われるのは嫌だから聞かないけどね。


 とか思ってると、まだ紅潮した顔の柊さんがとんでもないこと言い出した。


「じゃあ、仲直りの……あ、握手!」


 そう言って柊さんは僕に向かって手を差し出してきた。


 え?????????

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