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12話 不完全な覚悟

 ギルドに着き、マナとコガネが着替えている間に、タクマとホープで依頼を見る。


 この異界に来て3日目。予想外だらけのこの異界で、予想以上の出来事ばかり起こっている。


 もう自分の想像しているものが通用しないことは身にしみてわかっている。


 だから、もう戸惑わない!

 あ、フラグじゃないですよ?


「今回はこれが良さそうだな」


《ゴブリンの住処を見つけた、どうにかして》


 相変わらず漠然としている依頼内容。


 前回もそうだが場所が書いていない。

 受付人に教えてもらってやっと場所がわかる。


「なんで場所書いてないんですか?」

 と受付人に尋ねると、

「はい。ギルドが3人1組の規定を定めたのは知っていますか?」

「はい、知ってます」

 少しでも死人を減らすためにたてられた対策方法だ。


「例えその規定を知っていても、場所が分かれば先走ってしまう冒険家というのは少なくありません。それを防止するために、場所は書かず、口頭でお伝えするよう定められております」

「成る程、ありがとうございます」


 非常に納得。


 特にタクマみたいな勘違い野郎はこの異世界で、絶対真っ先に死ぬ。


「他は割と難しそうだし、これで決定かもな」

 他もちょっと見たけど、護衛だったり2、3日都市に戻れないような依頼ばかりらしい。

「……」

 いつかこんな依頼もやる日がくるのだ。





「おまたせ!依頼は決まった?」

 白のローブに着替えてきたマナが戻ってくる。

「どうせ昨日とあまり依頼内容は変わってない。多分ゴブリンのやつでしょ?」

 紫ローブに着替えたコガネもぼやきながら戻ってきた。

 コガネのローブは昨日取りに行きたいって言ってたやつだ。


「はい、ゴブリンのやつです。って、コガネさん、槍っぽいのと魔法両方使うのにローブでいいんですか?」

 初めて会った日は槍の様な細長い白い棒を使っていた。

「え?そんなこと……言ったね。このメンバーでパーティを組むためについた嘘。槍なんて使わない。私は魔導士だから」

「……」


 なにしれっとタブー犯してるんですか?


「魔導士?でもその武器って、槍じゃないですか?」

 白い棒を担いでいるコガネは、どう見ても魔道士の武器には見えない。

「これ、槍じゃない。片手の杖」

「え?片手?でもその大きさ……」

 ここでようやく思い出した。


 そうだ、昨日の依頼のコガネの白い棒、片手で摘んで持てる程度の大きさだった。


「じゃあ、それって……」


【音の魔力よ、その正しさを持って、全てを戻せ、ナチュラル】


 すると、槍サイズだった白い棒は小さくなり、素の大きさの、片手で持てるスティックに戻った。


「接近戦出来る人が増えたから私は槍士卒業。これからは魔導士。サポートは任せて」

 なんとも頼もしげに胸を張って言い放つコガネ。


 だからすぐにローブが欲しかったのか。


「よし!そろそろ行くか!」

「うん!」

「うん」

「はい!」

 3人とも士気を上げる。


 今回の目的地は、森の中にある泉の近くの洞穴だ。そこにゴブリンの住処があるらしい。


 もちろん、総体数ではない。群れを成す一部だ。それでも、十分脅威なので、倒さなければいけない。

 タクマからしたらこの世界の第2戦。今度こそ、確実な覚悟を決め、依頼に臨む。





 辺り一帯は森。そこにポツンとある小さいが綺麗な泉。そして泉の近くに洞穴。


 目的地に着いたらしい。

 何故「らしい」かって?

 だって全然道わかんないんだもん!


 見渡す限りの木!逆になんで3人はせっせと足を動かせるの?木1本1本特徴でもあるの?


「皆さん、よくわかりますね、こんな代わり映えのない道なのに」

 不思議そうに尋ねると、

「魔力感知使えばわかるよ?」

 とマナが教えてくれる。


「……あれでわかるんですか?」

「タクマも使ってみたらどうだ?」

 目を赤く光らせたホープが教えてくれる。

「どうやって使うんですか?目を凝らせばいいかな?」


 勝手に自己完結しい適当にやってみる。

 すると、視界から木々が消え、3人が文字通り、赤いだけの人型になった。


「何ですかこれ!」

 あまりの異質さに魔力感知をとく。


「これが魔力感知。魔力や気配を優先して図れるの!これがあれば大雑把だけど相手の魔力を測れたり、魔物の集団を見つけたりできる便利な技!」

 まるでカラコンをつけたような目でウインクをするマナ。


 すげーパリピみたい。


「これで魔物を見つけたり、町まで行ったりするんだ。道に迷いそうなら、適当に魔法使えば魔力が残留して目印にもなる」

 追加で教えてくれるホープ。


「なんて便利なんだ!魔力感知!」

 便利とは言っても、遮蔽物が何1つ見えなかったから、一概に万能とはいえないが。


「悠長に話している暇は無くなりそう、出てくるよ」

「……!」

 コガネが洞穴を指差す。

 魔力感知を使っているおかげで魔物がうじゃうじゃいるのがなんとなくわかる。


 なんか、キモいな。


 それになんかめちゃくちゃ色が濃い気がする。気がするだけであってほしい。


 でも、覚悟は出来ている。


 今度こそ、目を背けずに、剣をしっかり持ち、洞穴から出てくるゴブリン集団を待つ。

「簡潔に作戦を教える。マナが魔法の詠唱を終えるまで俺たち3人で足止めだ。いいな!」

 作戦とも呼べないような作戦を簡潔に急いで伝えるホープ。


「ちゃんと1匹残してくださいよ!」

「保証は出来ないけど、任せて!」

 杖に魔力を込めながら返すマナ。

 ケタケタ笑っているが、油断はしない。

 むしろ皆んなの気が更に引き締まった。


 そしてゴブリン集団との戦闘が始まる。

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