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夜明け

作者: ultimate!!


 ふと、目が覚める。いつものように部活に行き、少しの宿題と勉強を終わらせ、友達と通話しながらのゲームを終わらせ、今日も充実した一日だったなと思いながら寝た。




 普段は朝まで何があっても起きることはないが、何故か目が覚めた。いつもより早く寝たからだろうか。


 すぐに寝直そうとしたが、何故だか眠れない。

 自分が本調子と言えるようになるほどの睡眠時間には一切届いていない。なんならその半分も寝ていない。

 なのに、何故だか気持ちいいほど目が冴えている。今ならなんでもできそうだ。




 そう、気持ちが落ち着いていたからだろうか。ふと、今のままでいいのかと思った。

 将来の目標はぼんやりと決まり始めている。だが、それに向けて何か調べるようなこともない。成績はちょうど真ん中。ただ、だからと言ってクラスのトップを目指すのかと言われればそうではない。平均さえあればいいだろと言って勉強も最低限しかしていない。

 宿題は手早く終わらせ、クラブもそれなりに頑張り、友達ともほどほどに遊び、いつも嫌われないことを、少しだけ関係が良くなることを意識して過ごす。


 そんな、「ほどほど」で済ます人生のままこれから過ごしていくのか。




 多分、「安定」を取るのならこれが一番いいんだと思う。

 でも、そんな「安定」だけで過ごせるほど世の中甘くないことも知っている。




 小6の頃は勉強を頑張っていた。

 行きたい学校があり、そこに入れるように頑張っていた。

 でも、その時の塾でも中間を維持していた。

 これで十分だと言い聞かせながら。

 今となってはそのころ仲が良かった友達と連絡することはない。名前すら思い出せない。




 行きたかった学校に入れた中学では、勉強に対するモチベーションが燃え尽きたかのように遊びまくった。

 提出物も出さないことがあり、正直真面目とはあまり言えなかった。

 ただその頃は友達とのコミニュケーションを大事にしていた。実際、その頃の友達とは半年経った今でも頻繁に連絡を取り合っているし、遊びにもいく。

 中2の後半から病気になり、学校に行けなかった時でも、少しでも学校に行こうと思えたのは友達がいたからだろう。

 それにかまけて勉強をおろそかにした自分は責めたい。だけど、友達との関係だけは後悔しない。今後も。絶対に。これを後悔したらこの中学の意味がなくなる。




 そして、今。高校。

 小学校の頃あれだけ頑張っていた勉強も。

 中学校の頃あれだけ大事にしていた友達も。

 全てほどほどですますようになってしまった。


 多分、卒業したら一部の思い出以外忘れてしまうんだろうし、疎遠にもなってしまいそうだな、とは思う。


 思うだけで、変えなくてもいいのか。




 将来の夢もない。特別やりたいこともない。特別打ち込んでいるものもない。


 惰性で続けているゲームと自転車を少しのモチベーションとして毎日をなんとなく過ごすだけの日々。


 唯一胸を張って好きと言えることは人と話すこと。でも、初対面だと喋れない。やりたいことはすぐできるのに、すぐに飽きる。やらなければならないことは多いのに、すぐに忘れる。

 みんなできることができない。 時間管理ができない。


 短所はいくらでも書けるのに、長所は数十分考えてようやく一つ。




 なら、長所を見つけようと。そう、初めて思えた。


 ないなら作ればいい。できないならできるようにすればいい。

 すぐにそれができればどれほど簡単か。


 そうすぐにネガティブ方面に行ってしまう。

 でも、今は違った。普段と違う感じだからだろうか。


 あぁ、そうだ。いくら時間をかけても。自分を変えていけばいいんだ。


 そんな単純なことになぜ気づかなかったのか。いや、逃げてしまっていたのか。


 本当に変われるかは分からない。


 それでも挑戦することが大切なのだと。漫画から、ゲームから。学んできたはずじゃないか。




 普段自分からはあまりしないことをしてみようとふと思い立った。


 自分を変える第一歩だと思って。






 カーテンを思いっきり開ける。






 赤い、紅い、日の出が見えた。


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