表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
98/684

あんけーと、とる

焼き鳥を思う存分に食べた子供達は、手や口まわりが脂まみれになっている。


こうなると思った。

用意していた濡れおしぼりで、竜樹とタカラが、順ぐりに拭いてやる。オランネージュやジェム達大きい子は、自分で拭き拭きし、はふーと満足のため息をつき、竜樹の指示を待った。

串のゴミを、焚き付けにすると言う事で、まとめて屋台のオヤジの後ろにある、串入れに入れ、竜樹も手を拭いた。ちゃんとした屋台は、ゴミも散らかさないのだ。


「さあ、腹がくちくなったら、今度はアンケートだぞ。2チームに分かれて、同じ事を手分けして聞きます。聞く事考えてきたよねー。」

はーい!といいお返事。


「字が書けない人もいるから、みんなで、聞きながら紙に集計していくんだったね。ミランとタカラが、カメラで撮影もしてるから、細かい話は、後で映像見ながら考えられるからね。答えてもらったら、お礼に、きなこ飴3こだよ。お豆がダメな人もいるかもだから、お豆の飴だよ、って説明するんだよー。」

「「「はーい!」」」


じゃあ、やってみましょう。

班わけして、ボードに紙、聞く事を書いてある、そして集計用の空白をあけた紙と、作ってもらった鉛筆を片手に、子供達が並ぶ。

書く係に、聞く係。列の最後には、きなこ飴の箱があり、小さい子が渡す係で、飴の注意をするのが組になった大きい子だ。


みんな、ドキドキしている。

ジェムが、先陣を切った。


「こんにちは!急ぎでなければ、最後にお菓子を渡すから、ちょっとだけお話聞かせてください!」

「僕たち、新聞売りです。子供新聞を作るのに、協力してください!」


何だ何だ、と人が集まってくる。

最初に話しかけられた青年は、お使いの途中だから、少しならいいよ、と言ってくれた。


「まず、年齢とお仕事を簡単に、教えて下さい!」

「21才、商店に勤めてるよー。」


「この間、獣人の国、ワイルドウルフの王様と王子様が来ましたが、ワイルドウルフを、どう思いますか?好き・嫌い・どちらでもない、どれ?」

「どちらでもない、かな。」


「何でどちらでもないか、聞いてもいいですか?」

「まだ良く知らないから、ワイルドウルフ。」


「獣人について、どう思いますか?好き・嫌い・どちらでもない、どれ?」

「どちらでもない、かな?」


「何でどちらでもないか、教えて下さい。」

「お店にいると、お客さんに獣人の人もくるけど、いい人もいるし、面倒くさい人もいるから。」


「今後、獣人と仲良くしていきたいですか?」

「仲良くしたいです。獣人の友達もいるよ。」


「話は変わるけど、テレビを見た事ありますか?」

「あります。休みの日は、広場に友達と見にくるよ。」


「テレビが毎日違う放送をするようになって、お家でテレビが見られるようになるかもしれません。そしたらテレビ買いたいですか?」

「う〜ん、値段による!それと、番組、楽しいのやってれば、買いたくなるかも。」


「最後に、おすすめの屋台があったら、教えてください!理由もよかったら!」

地図を開いて、どの辺にあるかも聞く。

「この辺にある、腸詰パンのお店が美味しいよ。お姉さんがやってて、接客が、気持ちいいんだ。」

そこに、腸詰パンおいしい、お姉さん、せっきゃくきもちいい、と書いて付箋にした紙を貼っていく。


「ありがとうございました!」

「これ、お礼のきなこあめです!」

「お豆の飴なんだよ。食べてみてください!手作りだから、早めに食べてね!」

「おー。一個ここで食べてみていい?」

いいよ! とみんなで。


パクッと口に放り込み。

むぐむぐ。もぐもぐ。

「•••へー。初めて食べたけど、香ばしいんだね。おいしい。ありがとうね!」


「「「ありがとうございましたー!」」」


フコッ!と鼻息荒く、初めての客?を捌いた子供達は、興奮して頬を真っ赤にしていた。

オランネージュは書く係、ネクターは聞く係、ニリヤは地図に貼る紙に糊をつける係。アルディ王子は、身バレしない方が意見が聞けるだろうと、借りたキャスケット帽に耳を入れ込んで、飴の説明をする係になっている。二手に分かれて、お菓子が貰えるらしいぞ、と集まってきた人たちに、順に聞いていく。

大人の竜樹や騎士団のマルサが、混雑を整理して。

お菓子もらえるの?と聞いてくる人に、質問に答えた人だけ3こ飴がもらえまーす、一人一回だけでーす、と答えたりした。




「•••意見、色々だね。」

「ワイルドウルフ、好きな人もいれば、獣人が嫌いでいやな人もいる。いやな理由も、力任せが多いとか、力でどうにかされそう、とかが多い。本当は、大人しい系の獣人もいるけど、あんまり目立たないから、意見には出てこないんだね。」


「てれびは、おかねがたかいと、かえないってみんなが。あと、はたらいてると、よるしかみられない、とか。おもしろいばんぐみ、やってほしいとか。」


「屋台の情報は、結構集まったぜ。あとはこれをもとに、取材だ!」


瞬く間に、きなこ飴も少なくなってきて、そろそろ終わりかなあと思った時。


「あのう。獣人について聞いてる、って、お菓子くれるっていうから、来てみたんだけど。」

ケモ耳を、ピン、とさせた、獣人の皆さんだ。猫耳男子、獅子耳男子、熊耳女子。3人とも、20代くらいか。


「あ、もしよかったら、この国で獣人が住みやすいかとか、困ってる事なんか、聞かせて下さい。」

アルディ王子が言うと。


「えっ!?アルディ王子様?!」

「何でこんなとこに!?」

「マジか•••!」


呆けた後、ハッとして、ザッ、と跪く。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ