新聞、初売り
新聞のパイロット版が刷れた。
王様や貴族達、街歩きしている人に配り、こんなものだよ〜と周知をした。文字が読める街の人の感想は、ゴシップ芸能文化欄が面白い、で、政治経済についても、突っ込んだ詳しい内容が、読み応えある、と好評だった。
そして、今日。
新聞の、発売日。
『麦の月、今日20日から、新聞という様々な情報を載せた印刷物が、新しく発行されます。まずは王都の2か所での発売となり、今日は初の販売ということで、式典が行われるようです。今まさに準備中の販売所に、ニュース隊が取材に行っています。スーリールさん?』
『はーいニュース隊のスーリールです!売り子となる、ギフトの御方様預かりの子供達が、このような制服で!販売します!』
ジェム達が、まずは式典に出る為に、頬を真っ赤に、そして緊張しながら、全員揃って並んでいる。ネクタイもきりりと、帽子も勢揃い。まだ販売員のできない小さい子も、ネクタイと、帽子だけはもらって、一緒に並んだ。
『朝、そのまま食べられる甘いあんぱんや、ハムやチーズ、たまごを挟んだお惣菜パンと、ミルクも売っています。新聞は1部銅貨3枚、パンは銅貨2枚から5枚、ミルクは持ち歩きできる蓋付きの木のコップで、銅貨3枚で買うことができます。コップは再利用でき、持ち込めばミルクは銅貨1枚です。』
カメラがパンして、小さな販売所の前にある、ベンチを映す。
『ここで、ぐーっとミルクを飲んだり、あんぱんをささっと食べたりできます。では、食べてみます!新聞とあんぱんとミルク、ください!』
『はい、銅貨8枚になります!』
ジェムとロシェが、販売所に入って応対する。
代金を手のひらに貰って。
新聞は、タブロイド版なので、日本の新聞の半分サイズだ。カウンター内に、立てられてディスプレイされている。それをジェムがスッと取って、差し出し、ミルクをコップに、ポットからトポポと注ぐ。ロシェが紙で包んであるあんぱんを、ケースから出し、スーリールに渡した。
スーリールは、ベンチに座ってあんぱんを一口食べ、ミルクを水筒からグッと飲み、『うーん、甘いお豆にミルクが美味しい!』と言い、バサっと新聞を見て、『な、なんと!今日初売りトップの記事は、獣人の国、ワイルドウルフと友好条約を結んだ件です!昨日からこの国、パシフィストへ、調印の為に王様、ブレイブ王と王子様、アルディ殿下がいらしています。記事には、お二人の写真、撮影した画像も掲載されています。詳しくは、新聞をご覧ください!』
『そしてこれから、新聞初売りの式典で、ワイルドウルフの王様と王子様も、こちらにいらっしゃいます!』
またまたカメラが、ベンチから横に振れる。
『私達も、式典で新聞をお渡しします!』
オランネージュ、ネクター、ニリヤが。
猫耳帽子に、ちょこんとした、ふさふさのお尻尾までズボンにつけ、ネクタイ締めて。3人がキラキラと興奮した目で、並んでいる。
『王子様方、かわいいお耳に尻尾ですね!』
『はい!ワイルドウルフのお国に友好と敬意を払って、私達はこの格好で新聞をお渡しします!』
『喜んでいただけると、いいな!と思います!』
『おともだちに、なりたいです!』
ニコニコ。
竜樹は、朝のテレビに生中継、をすぐ側から見ていて、うんうん、としていた。
オランネージュ、すごいよ。猫耳帽子と、尻尾までつけたのは、可愛いからやりたかっただけだよね?
それを国の友好関係に楽しんで使うところ、将来の王様として、侮れない。
『皆さん、新聞、買いに来て下さい!』
『初売りは、2ヶ所店売り500部ずつ印刷してあります!』
『これから、ていきこうどく、のひとのおうちにとどけるのも、はじめるよ。』
『詳しくは、販売所にチラシが置いてあります!』
『『『よろしくおねがいしま〜す』』』
『現場からは以上です!』
一足早くケーキ食べました。
皆様良いクリスマスを。




