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王子様を放送します  作者: 竹 美津
本編

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羽根あるお方に遭遇、チームエステ見学たち


新聞寮から、エステ実演見学に向かう女子チームは、楽しくお喋りしながら、お祭りの賑わいが段々と濃くなってきた道をるんるふと歩く。

ちなみにエステ見学チームの内訳は以下である。



『エステ 大画面広場での実演臨時出張所

美について知りたい見たい放送したいチーム』


⚪︎元王女エクレ(寮の子と一緒に育ち中、馴染んできて楽しくなってるかもな姉):「私、シエルみたいに美形じゃないけど、ちゃんとするの好き。凄く参考になりそう!」

⚪︎元王女シエル(寮の子と一緒に育ち中、馴染んできてこれで良いのかブツクサ言いつつ満更でもない妹。バーニー君に少しだけポポッ):「お肌!髪の美容!寮でもできる事、教えてぇ〜!」

⚪︎カリス王子(エルフ。ロテュス王子の弟•••性別はまだ決まってないが):「エステのお仕事はエルフの共同事業。一緒にいてフォローするよ!」

⚪︎ウィエ王女(エルフ。ロテュス王子の妹•••性別はまだ決まってないが):「私もエステのお手伝い、やるわ!」

⚪︎シュヴァ(馬獣人少女。ファング王太子のご学友):「身体動かすの大好き、歩きたい気もしたけど、やっぱり美も気になる!」

⚪︎ララン(垂れ耳兎獣人少女、ファング王太子のご学友):「自分のために美しくなりたい、って思うわ!」



「何だか少し遅くなっちゃったわね。テレビの取材に協力してね、って言われてたのに、間に合うかしら。」

元王女シエルが、時々後ろを振り返って仲間チームの女子とキャラキャラお喋りの合間に。


「シエル、貴女が通りの屋台をあちこち寄り道してるからだわよ。時間指定はなかったから、急いで行けば間に合うんじゃないかしら?」

姉元王女エクレが、仕方ないわねぇ、というため息、だけれども。ワイルドウルフ国ファング王太子ご学友のシュヴァとラランも楽しそうにくっついて屋台を見ていたから、それほど厳しい口調ではなく、柔らかく応えた。


「ロテュスお兄様が上手くして下さるわよ。きっと今頃は、取材のニュース隊がお試しをしてるはず。実演の本番の撮影はまだまだ、時間があるわ!」

エルフのウィエ王女が、可愛らしくエステいらずな美少女の肌、ツン、と唇を尖らせて笑んで。


エステの実演に、エクレ元王女とシエル元王女の2人が、施術を受ける側として協力する事になっている。

勿論、その会場にいる色々なお客様の中から、ランダムに選んでエステ実演する事も考えたし、本番が1度通しで終わった後は希望者に体験してもらう事にもなっているのだが。


本番一発勝負で、どこの誰か分からないお客様相手に、というのは、まだ少しハードルが高いかな、とエルフも元花街組エステティシャンたちも話し合って。

何しろお客様というのは、思いもよらない事を言ってくる人がいるものだ。エステは良いものですよ、とアピールするのに、たまたま最初から難しい、もしかしたら、意地の悪いお客様に当たってしまったら、その対応だけで一杯になる。

充分にエステの魅力が伝えられなくなってしまう。


そして、元王女エクレとシエルがテレビに出たら、助力を断ち切って学び中の彼女たちとはいえ、祖国フードゥルの民、そして王家のご親族もきっと喜ぶだろう、と。

大人たちの話し合いによる、温かい配慮は本人たちに伏せておいて。


エクレとシエルには、大事なお仕事ですよ、と竜樹が依頼もして、元々興味もあった2人は、嬉しく、良きお客様として、実演本番のモデルを務める事になったのである。


「私もエステ体験したぁい!」

ピン、と筒形に立った馬耳をキュと周りの喧騒に向けて、馬獣人のシュヴァ少女が、るん♪とスキップした。

「ほんとほんと。私もしたぁい!」

垂れ耳兎少女ラランも、ぴょんぴょん!と跳び歩きながら、ニッコニコだ。


「シュヴァもラランも、エステをするほど健康が傷んでもないし、子供だから肌も綺麗だし、身体は成長中だからね。エクレさんとシエルさん、大人の女性と同じエステは難しいかな。でも、実演体験は、年齢制限ないって言ってたから。順番待って希望したら、体験できるかも。雰囲気を味わったり、年齢に合った、これからどうしたら良いか〜、の相談なんかには、のってくれると思うんだ。髪のお手入れコーナーや、髪質診断、肌診断できる魔道具や、サプリメント何が足りない?って分かる鑑定の魔道具とかも作ったから、ちゃんと楽しめると思うよ。」

エルフのカリス王子は、少女たちに優しく伝えた。

それを聞いて、キャッ!と獣人少女2人、肩をぶっつけ合って喜ぶ。


女性は何歳でも女。

灰になっても、まだ二葉ちゃんでも。

人によっておしゃれが好きか否かはあるものの、大体の女性にとって美しくなるのはワクワクする事だ。


「さあ、寄り道は帰りにして、少し急いで行きましょう?」

はぁ〜い、と良いお返事を元王女姉エクレに返して、少女たち(とまだ不明ながら王子と王女よりなエルフたち)は、るふ♪と一足、浮き立ち前にピョン。



「………、…!ゎ……誰か……!」



るふ、と一足前に出したはずの元王女シエルが、んん?と耳に入った音に反応した。

「ちょっと待って?」

「うんうん、誰か助けて、って言ってる。」

馬獣人は音に敏感である。

シュヴァも、耳をひくひくさせて、音のする方を目線で辿った。

皆が真っ直ぐ向かっている脇道、路地裏である。


建物と建物が隣接してある、その隙間の路地は、表通りと違ってお祭りでも静かだ。いつも通り、かと思いきや、ぽつりぽつりとお店があって、木の実や秋草のオーナメントが飾ってあり、お祭り特別販売あります、と分かるようにワゴンが出ていたりする。

あるお店では、小さな庭に大きな常緑樹があって、長くゆうらりたらり、波なみに蝶々にリボンや、キラキラの秋の収穫物を模った金飾り。

しっとりした雰囲気、お祭りでも落ち着いて買い物が……。


ぱっかん、と見上げたシエルのお口が開いた。

エクレは手指の先で覆っているが、やはり、あぁ!と。

ウィエ王女とカリス王子は、ムニュ、とお口が山形になり。

シュヴァとラランは、はわわ!とお口が瓢箪池みたいになった。


「見てないで、助けて!助けて下さい!あぁ、からまっ、絡まって、いた、イタタタ!!」


飾りのリボンにひっ絡まって、パタパタ、背中の小さなクリーム色の翼を羽ばたかせ。その羽にも、暴れたからか絡まったリボンが締まって、とても痛そう。

空から降りてきて、木に引っかかったとしか思えない、高い位置で宙ぶらりんの、少年めいた。サンダル履きにゆったりした長い衣がどこかこの世ならざる。


御使いペタル。


くるんと流れるマッシュなウェーブヘア。

食いしん坊で噂好き。

神界の神様お手伝いたち、ただいま神様たちの宴会中、一緒におご馳走や飲み物のおこぼれに与りながらお世話しているはずの、御使いペタルが。

エステ見学チームの頭上にパタパタジタバタ。


どう、しよう。


と一瞬思った女子チームではあるが、元王女シエルが、新聞寮の少年たちとの遊びで学んだ木登り、エイっと木の幹にとりついて、ハシタナイかもしれないが一等先に反応して、助けようとがっぱり取り付き、ズリズリのぼ……。


「シエル、登れそう……に、ないわね。」


ズルズルる、と幹の木コブに片足上げて引っ掛けるも、つるつるの木肌にずり落ちた。

「うぇえええ、ジェムたちみたいに登れないわぁ。」

「私もやってみる!」

シュヴァも登れ……シエルより高くは登れたけれど、やっぱり惜しい所で、ずり落ちた。


元王女エクレが、キョロキョロ周りを見回して、店の傍に隠して積んである木箱に目を留める。

「これを積みましょ!私が一番背が高いから、木箱に乗るわ。皆は押さえててくれない?」

「いいわよ!」

「積みましょ!積みましょ!」


因みにカリス王子が登ろうと手を広げていたが、シュヴァのお尻を受け止める事になっていた。


木箱ガタガタ、爪先立って、エクレがリボンの絡まりを、解く。その足と木箱を、シエルと少女たちとエルフ王子王女が、あちこち分担して押さえている。


「と、飛べるの?リボン解いたら、落っこちそうよ!」

「と、飛べますぅ、とにかく、羽に絡まってるの何とかしてくださぁい!」


木に蝶々を一ヶ所解いて、よっ、よっ、と引っ張れば、羽絡まりは解けた。パタパタ、とゆるい羽ばたきなのに、御使いペタルの身体が浮いている。

元王女エクレが、よっ、よっ、とグラグラしながら、顔や腕に絡まったのも何とかして。

ふわふわ、ふわっと、パタ、パタタ。

降り立ったペタルが御使いだとは、エクレたちは知りはしないが。


「ふぅ。ありがとうございます。人間って、割と親切なんですね。」

タハァ、とため息を吐いた。

木箱を片付けて、とこちゃこちゃしていたエクレたちは、あ、この羽根有りさんは、人じゃないんだぁ、とその言葉、そしてどこか浮世離れしているその様子に納得し、理解した。


「あんな風に困ってたら、そりゃあ、お助けしますよ。それで、貴方様は、そのぅ。人ならざる、尊きお方に連なる御使い様で、いらっしゃったり?」


木の葉っぱを髪から払い落としながら、ひえ!?とペタルはびっくり。

「何で!?分かります!?」


分かります、とエステ見学チームは、目を糸目にしてじんわりニッコリ。全員で頷いた。




「あらぁ、そうなんですの。御使いペタル様は、神様のお使いでいらしたんですね。」

シエルが、御使いペタルの横を歩きながら。時間もある事なので、大画面広場に向かいながら話を聞いている。


「ええ、え〜とあの、秘密なんですよ?秘密なんですけど、神様たちが宴会の余興で、その身を隠して人間界から何か感謝祭のお土産をひとつ、これはというものを買ってきてお披露目し合おう、ってなりまして。私、美の神ボーテ神様からお使いを言付かりました。」


「ボーテ神様は、ご自分でいらっしゃらないの?」

不思議?のウィエ王女である。

ぽりぽり、ペタルはほっぺを掻く。


「そのぅ、ボーテ神様が人間界に降りますと、どんなに隠していても、あまりに美しくて、目立ちすぎて。大騒ぎになってしまいますでしょ。だから、そういう、ちょっと差し障りのあるお方たちは、お遊びの時でもご遠慮なさって、御使いたる我々を頼る訳です。」


うん、うん。

「美の神様、きっと素敵な方なんでしょうねぇ。」

エクレが、ほうっ、と想像し息を吐く。

「ええ、美のお力を控えめにして顕現されないと、オシッコ漏れちゃうくらい人間たちはボーッと見惚れちゃうらしいです。神々なるお方たちは、いつも人たちに、あまり影響が出ないように、こちらにみえる時はお力をお隠しですよ。それでも、です。」


オシッコは漏らしたくない。

ちょっと、えぇ……。となる皆である。


「それで、ペタル様は、何を買うの?」

ララン、興味。

神様が、これは!となったものって、なんじゃらほい。


パタパタ!クリーム色の翼が、よくぞ聞いてくれました!とばかり羽ばたく。

「ボーテ神様は、エステにとってもご興味がおありなんです。美の神様ですからね。ギフトの竜樹おじさんに、本当はエステ関連で助けを求めてもらいたいと思ってるくらいに、期待してます。とはいえこちらから、ああしろこうしろ、とはあまり言えないんですが、神様って何でも言ってくれる方々じゃありませんからね。とにかく、楽しみにしてらっしゃるんです。それで、今日、エステの実演で、ビタミンCとかのグミっていうお菓子が売られるそうじゃないですか?それ、是非!ってね!」


ビタミンCのグミは、酸っぱくてきっと美味しい。それでいて、肌や血管の健康維持、免疫力向上、ストレス緩和、シミの予防などに効果がある。

摂取しすぎるとそれはそれで副作用があったり、ビタミンC剤だけに限らないが、空腹時にサプリ剤だけを飲んだりすると、胃が食物と同じように送ろうとして働き、結果として胃がもやもやしちゃう事もあったりするらしい。

食事の補助として、が正しい摂取の仕方なのだろうが、グミならば、ちょっとしたご飯後の甘味として、ちょちょっと食べられてなかなか良いのではなかろうか。


「ボーテ神様、是非、ビタミンCのサプリグミを食べてみたいんですって。私もちょっとお味見したいなぁ。」


ニコニコ、と御使いペタルが笑うので、チームエステ見学の女子たちは、ならば!とニッコリした。


「私たち、ちょうどエステ実演の見学と施術のモデルやりに行くんです!」

「御使いペタル様も、良かったら、ご一緒しませんか?」


ビタミンCグミは、きっと販売にも人気が出るだろうと思う。

数は限りがあるし、エステ体験をして、一応魔道具で足りない栄養素の鑑定などをして、過剰摂取や副作用を、できる限り遠ざけるやり方で販売するのだ。

「私たち、エステティシャンのルーシェさんやエルフのロテュス王子殿下たちと知り合いだから、御使いペタル様のご要望をお伝えできるかもしれません。」


ふゎ!と御使いペタルは手を組んで唇の前、嬉しそうに肩をキュンと上げた。

「本当ですか!?やった!秘密でお願いして買ってこなきゃだから、なかなか難しかったんです!良かったら、お嬢さんたちにお助け、お願いさせてもらっても?」


勿論、良いですとも!

チームエステ見学女子たちは、秘密って言っても背中の翼を見たら皆、アレって思うんじゃないかなぁ、とは思ったが、うんうん、とこころよく御使いペタルへの手助けを了承した。


じゃあ行こう!いざ、大画面広場に!エステ実演体験会場に!

祭りに華やぎ、1名追加のチームは、意気揚々と目的地へ。


「御使い様は鳥の獣人の方たちと関係あります?」

「あー、御使いは、神様がおつくりになった者たちと、人間界から見込みがあったり諸事情があったりでスカウトされた者たちがいて、どの者も御使いになると羽根が生えるんですよ。鳥獣人って、このソルセルリー大陸にはいませんよね。」


「うんうん、ワイルドウルフにも、鳥獣人っていないわよ、シエル。」

「あー、どうりで見かけないと思った。」

「他の大陸にはいるのかしら。」


「いますよ。羽根があるから、渡ったんでしょうね。元々はいたらしいです。」

「何で渡っちゃったのかしら。いたら、楽しかったのにねぇ。」


飛べる獣人なんて、素敵ではないか。

そんな話をしながら、御使いペタルは、鳥獣人たちが渡っちゃったのはきっと争いに負けたからじゃないですかねぇ、という血生臭い争いを連想させる言葉を心の中に隠しつつ、だってお祭り、女子たちは華やいでいるのだもの。少しは御使いペタルだって、秘密というか隠し事ができるのである。

思いやりのためならば。

他はポロポロだけど。


お喋りしながら、楽しく皆で歩いてゆくのだ。






リアルで夏休みをちょぼちょぼとり、その間はこちらの更新もお休み多めでした。体調のことなどもありますが、また9月からは、少し頑張って8月よりは更新を多めにできるよう、努力したいと思ってます。


クピド嬢のお話で何となく、シリアスな感じになりつつも、チームエステ見学女子たちを書いたら楽しくなってきました!真面目に色々考えるのもアリだけど、やっぱりほのぼのちょいユーモラス、忘れちゃダメですねぇ。


あとロテュス王子がお酒の試飲会場とエステ会場にいるけど、後々更新で都合を合わせます。転移ができるからね、彼は。かけもちです。

お祭り話が長すぎて、どこに誰がいついるやら、分かりにくくてすみません。

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