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王子様を放送します  作者: 竹 美津
本編

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リルケ男爵家ファフニールの婚活 1

いつもの更新時間でなくてごめんなさい。

これから何日か、ファフニールの婚活話が終わるまで、少しずつ『王子様〜』を続けて更新しますね。文字数があまりない日もありますが(今日も短めです)ファフニールの婚活話を区切りが良い所まで、ってなるとなかなか更新できないので、エイヤッと。

どうかお付き合い下さいませ。

例によってファフニールのお家の子供たちの名前は、たくさんいるよ〜って感じくらいに思っていただいて、覚えなくて良いですよ。基本私が名前を覚えるの苦手なので、いつでも配慮ありに書きたいのです。


ファフニールの生家、リルケ男爵家は、子沢山である。4男5女、愛情深いけれど真面目でお淑やかなお母様が、良くぞ9人も産めたものだ。中に、双子が2組ある。


長女リヴァイア、26歳。これはもう嫁に出ている。時々生家に来ては、弟妹のあれこれを気にかける、しっかり者。

長男ジャバウォック。24歳。父親に付いて領地運営を勉強中の、これまた生真面目だけど時々、えっ!?と驚くことをやらかす(といっても失敗方面ではない。問題がある所に、明々後日くらいの方向なのにきちっと解決する方法をふっと思いつくのだ)、普段は落ち着いてるからそれがまた衝撃なメガネ男子。

3女ムシュ、4女フシュは双子である。17歳。学園に通い中の、お年頃で難しい2人はムシュが本好き、フシュが身体を動かすのが大好きで、それぞれ女性文官と女性騎士を目指している。

次男ニーズと3男ヘッグ、12歳。悪戯坊主で、いつもコンビで家中を賑やかにさせているが。段々と成長してきて、気になる近所の領地の娘さん(2人で同じ娘を好きみたい)の存在で、頼り甲斐のある男子になるべく舵取りを自分磨きへときって、なかなか頑張っているところだ。ニーズは治癒師になりたくて、魔法の素養もある。ヘッグは最近流行りの、分離の魔法が使える。

5女ティアマト5歳。この姉妹1番の美人、になるんじゃないかと思われる幼児で、いつもぷっくり薔薇色の唇が、ニコニコしていて可愛らしい。

4男ヨルムンガンドは、ヨルちゃんヨルちゃん、と呼ばれて皆に可愛がられている1歳児である。おっとりしていて、人見知りをしないところが、リルケ男爵家っぽい。よそから来たお客様にも、よちよち、と好奇心旺盛に寄っていって、躊躇いなく抱っこされ愛でられている。


両親は、先ほども言ったお淑やかなお母様、サラ46歳と。そしていつも領地と家族への愛と経済について考えて、眉を寄せている苦労者、愛すべきお父様、セイグリフ48歳。馬車馬のように働きながらも、子供達に助けられて、幸せ……お夕飯を食べてほっと一息、皆で寛ぐ時、僅かな晩酌を楽しみに毎日を生きている夫婦である。


これにメイド頭のミナ56歳と執事のオークル、55歳。これは夫妻で。以下メイド達3人娘ロー、17歳。チルル、16歳。ジャネット、15歳。いつも姦しい。料理人メリッサ55歳は、寡婦で成人した息子が八百屋をしていて、安く野菜を融通してくれる。家庭的でホッとする味を作る、朗らかで安くて美味しい味覚の冒険にいつもワクワクしている、リルケ男爵家に欠かせない料理人である。


その他の用事は大体その時々で雇われの平民達がこなしている。3女ムシュ、4女フシュが学園に行く時の馬車の御者などは、3年間の契約で、気のいい平民アルムおじちゃんがやってくれている。


そうそう、愛猫のミルちゃんも忘れないで欲しい。魔道具ストーブで火傷したお尻に、ちょっとしたハゲがある白黒ブチの猫で、鼻のところにまあるく黒があるのが間抜けで可愛い。雌で、若猫ではないが、まだおばあちゃんではない。


そしてそして、次女ファフニール、23歳である。結婚適齢期である。いや、貴族としては遅いくらいだ。


長女のリヴァイアは、弁えた娘で、家の助けになるべく、領地運営に協力関係のある近隣の領地の若息子に嫁いだ。いや、あれはマジ恋愛だった、と長男ジャバウォックは見抜いているから、満々幸せな結婚だ。

これだけ子供がいると、それぞれに婚約者を、と、なかなか見繕うのは大仕事である。リルケ男爵家は、あまり経済的に豊かとはいえない、まあそこそこの感じではあるが、ぶっちゃけ結びついて何かいい事あるか、といえば、期待はできず。家族仲が良いし、どの子もそれぞれ破綻的な性格をしていない、穏やかで円満な家庭を築けそう、という人柄方面の期待だけがある感じだ。

それでも貴族の端くれ。長男ジャバウォック、3女ムシュ、4女フシュには婚約者がいる。他の幼い者たちは、まあこれから、これからである。


次女、ファフニールにだっていたのだ、婚約者が。だが……。




「婚約を、白紙にしてくれないか?……って、言われちゃったのですよねえ。」

ファフニールは、踊らせていたフォークのソーセージを、アムッと口に入れ、モゴモゴと咀嚼する。呑気で、なんのダメージも受けていないその様子に、アルディ王子は狼お耳をワッピ?と開いて、ハテナながらも、お胸をキュムと痛めて聞いた。


「振られちゃったの?ファフニール。」


どぁ〜ん!

子供の直な言葉に、ユーモアたっぷりに胸を押さえてショックを受けるフリ、をするファフニール。あわわわ、とエフォールが手を伸ばして、届かないなりにショックを何とかしようと考えを巡らせ焦った時に、アハハハ!と笑って彼女は復活した。


「そう!振られちゃった!好きな子が出来ちゃったのですって。でもね、誠実な申し出だったのよ?幼馴染みの、ふくよかなお腹が可愛くって、穏やかな笑顔の頼もしい男性でね、いつも私の真似っこに笑ってくれる、オルカっていうんだけど、私たち仲良しだったわ。そう、親友みたいにね。」


黙って我慢して、結婚する事も、もちろん考えた。

だけれど、相手の娘さんも、オルカを好きだと分かって。一旦は別れたのだけど、娘さんに75歳の格上の貴族との結婚話が出てしまった。後妻として、というより、実情は介護要員である。

オルカは悩んで、そして、決断した。


「ファフニールとだったら、いつも笑って暮らせる楽しい家庭を築けるだろう。今でもそう思う。だけど、どうしても彼女を見捨てられない。ずっと後悔すると思う。父と母への説得はこれからなのだけど、ファフニールに真っ先に言わなければ、道理が通らないと思った。君を馬鹿にするつもりは一切ないけれど、申し訳ないけれど、どうか、どうか、婚約を白紙にしてもらえないか、いや、何ならこちら有責で、婚約破棄としてバッサリやってもらっても……。」


「まぁまあまあ!待ってよオルカ。その娘さんと会わせて欲しいわ?もしかして、その、疑う訳じゃないけど、娘さんは後妻になりたくなくて、焦ってるのかもしれない、オルカでなくても良いのかも、な〜んて可能性を潰したいじゃない?」


オルカは、愛を疑われても怒らなかった。


「こういう時、ファフニールはいつだって何か笑える解決策を出してくれたものだったね。彼女は多分、ちょっと焦って僕に言い寄った所もあると思うよ。可愛い子だから、急いで婚約するのでなかったら、他にもっと良い人が出来そうでもあるからね。……でも、私が、あんまり可哀想で、慰めてる内に、好きになっちゃったんだ。」




「すきになちゃったの〜。」

ロンが、お茶をコクンと飲み込み、ふんふん、と分かったような顔をする。

「じゃあしかたないねえ。かわいそうはすきのはじまりだ、ってたつきとーさがいってた。」

「何かでも、それってシヤワセになれんの?」

ショワの弟エトが、何となく釈然としない顔でもぐもぐ肉串を食べている。

大人たちは、そういう事、あろうよなぁ、と静かに話を聞いている。






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