叱られて
レェア第二騎士団長は、王宮内の一室で出動の準備中。
剣などは、王宮に登城する際に帯剣して、謁見の際に控えの間で預けて王様と話をする、という形であった為、騎士団庁舎に取りに戻らず済んだ。
先程まで、王宮の家族街で捕まえた、スタグ男爵家アシッド、好色幼児性愛家の変態へ犠牲者の斡旋をしていた不届者、雑貨屋商店の怪しい女性店員を尋問していたので。その間に部下が手を回して、レェア第二騎士団長の出動準備に関わる、防御用の魔道具などを騎士団庁舎から取って来させた。
スタグ男爵家の王都邸は、位置関係により、支度を済ませたレェア第二騎士団長と、騎士団庁舎からの団員が王宮前で合流して向かうのが合理的なのであった。
普段はお付きの者などいないが。
ここは王宮なのでお助け侍従さんが、浅い籠とも深いトレイともいえるもので、準備の品々を持って待機の手。個人に合わせた仕立ての、滑り止め付きの渋茶皮の手袋を嵌めようと、レェア第二騎士団長が指先を皮に触れて取り。
そこに、コンコン、とノック。
「どうぞ。」
許可を出せば、先触れの、別のお助け侍従さん。
「失礼致します。レェア第二騎士団長殿、出動までのお時間、もし宜しければ、ニリヤ殿下方にお叱りを頂きたいと、ハルサ王様から。」
目を伏せたお助け侍従さんが、しおらしく返事を待つ。
「•••かのお方が言った通りの言葉をお教え願いたい。」
タレ目優しげ美人、顔だけは、のレェア第二騎士団長が、淡々と。
「レェアよ、其方の言う通り、ニリヤは第3平民王子として、厄を負ったろう。無事に帰って、怒られるまでが冒険である。最後まで見届けておくれ。ということで、よろしく叱っておいて欲しい。ニリヤがたとえ不可抗力で傷付く事があっても、やるべき事をやった者をそうそう罰しないが、レェアの首を刎ねずに済んで、私もホッとしている。これからも良く良く王都の治安をよろしく頼む。ーーーー子供叱るの、難しいぞ、ふっふっふ!•••との事です。」
親がまず怒れぇぇ!
とレェア第二騎士団長は思ったが、何も言わなかった。ムフフ、と笑うハルサ王様の顔が浮かび、王族とはいえ、幼い子と親にそれなりに厳しい事を突きつけたのは確かなので。
罪のない意趣返しであるか。
叱るとなれば、手は抜くまい。
言うべき事は言う、そうだ、そう思ったではないか。
「ニリヤ殿下を叱りもしましょう。時間が惜しい。支度中ゆえ、こちらにお呼びしたので構わないか。」
「すぐ近くのお部屋で控えてらっしゃいます。竜樹様やマルサ王弟殿下、エルフのロテュス王子殿下など、高位のお方もいらっしゃいますから、お伺いしてはという気もしますが、叱るのですから。こちらから出向かない方がよろしいでしょうね!お呼びしますね!」
ニコー!と、何でお助け侍従さんは満面笑顔なのであろう。「頑張りましょう!」なんて、グッと拳を握っている。
身支度の手伝いのお助け侍従さんも、ニン、と微笑む。何の事はない、侍従さん達は家庭に帰ればパパズなので、子供を叱るミッションに感情を移入してるのだった。
暫く。
「ギフトの竜樹様、マルサ王弟殿下、ロテュス王子殿下。ニリヤ殿下、エンリ嬢、カスケード子爵家クラフティ様。がいらっしゃいました。クロク団も連れています。」
先程の侍従さんが一言伝えて、ドアを大きく開く。こういう時、クロク団を拘束している第二騎士団員や、ニリヤの護衛のルディは、存在していても名前は呼ばれない。そして、竜樹の首に巻きついたままのプリッカも、侍従さん的にややこしいので、数に入っていなかった。
たったか、とっとこと。
「しかられに、きましたー!」
「おこられる、でつー!」
「わ、私も叱られます!」
気が抜ける声で、3人、ニリヤとエンリちゃんとクラフティ。お手て繋いで、仲良しに、遊びに来ましたーくらいの軽い感じで入ってきた。
わ、分かってない。
タハーとパパのお助け侍従さんズが苦笑している。似たような顔を竜樹もしている。マルサ王弟は、ハルサ王様と似た顔でニシシシ笑いだ。
レェア第二騎士団長って、何だか優しげ美人なおじさんだな、と竜樹は思った。タレ目で、睫毛が長くて、柔らかな顔の輪郭線なのである。
「ルディ、前へ。」
「はっ!」
あ、声は渋くてマルサより鋭い。
手に嵌めようとしていた革手袋を、一旦トレイに置いて、腕組み、ニリヤの護衛のルディを睥睨する。
「ルディ。何故ニリヤ殿下を見失ったかは後で詳しく報告。今回、お前の失態である事は分かっているな。」
「はっ!申し訳ございません!罰は如何様にも受け入れます!」
厳しい顔をした男2人のやり取り。ルディは頭を下げて、そのままだ。
「•••どして、ルディ?」
きゅふ、と鼻を鳴らして。ニリヤがルディとレェア第二騎士団長のやり取りを、ボールが行き来するのを見る猫のようにあっちこっち。
それを無視して。
響く声が、ピシャリ。
「お前はニリヤ殿下の護衛から外れてもらう。」
「!それだけはお許し下さい!他にどんな罰も受け入れますから、どうか!」
ルディが改めて深く深く頭を垂れる。けれど。
「バカか!失態の罰が都合よく選べると思うな!肝心な所で使えない奴は、いらん!俺たちの仕事は一度でも取り返しのつかない失敗をしたら、終わりなんだぞ!2度と言わせるな!」
くわ、とニリヤのお口が開く。
ルディ、やめちゃう?やめさせられちゃう?なんで!なんで?
「やだ!やだー!!ルディ、やめないでぇ!!」
ルディのお膝の所にわあわぁと取り縋って、ニリヤ、必死である。せっかく仲良しになったのに。護衛だけれども、笑顔で話も良く聞いてくれて、頼りになって、どんな所でも、付いてきてくれる。そんな、家族みたいな、親戚のお兄さんみたいな、ルディが。
「ニリヤ殿下!ルディは失敗したんです!殿下が走っていってしまう事はあるでしょう。ですが、決して見失ってはならない。今回は無事でしたが、無事じゃなかったら、どうするんですか!彼には護衛としての責任があります!」
ふやあとニリヤは叫ぶ。目は涙目だ。
「やだ!やだ〜!!ぼくがわるいの!はしって、ルディおいてったの!ルディわるくない!ぼくがわるいの!」
「そうです!!」
ムン!とレェアは力強く言った。
「ニリヤ殿下が悪い!人が沢山いるサーカスで、走ってエンリ嬢を追いかけて、箱に入り込んで、蓋まで閉めた!どこまでもお付きしなければならないルディを、置いていった!幾らお護りするとはいえ、護衛対象が危ない事をすれば、護れるものも護れない!!•••しかし、ニリヤ殿下が悪くても、責任を取るのはルディです!」
彼は、どんな事があってもニリヤ殿下をお護りするのが、仕事であるのだから。
「良いですか、ニリヤ殿下。」
ルディに取り縋って、レェア第二騎士団長をうるうる見上げていたニリヤの両肩を、グッと素手で包んで、身体ごと振り返りを促し、顔を近く見合わせる。
膝を落として折り、付いて、力強く見詰める。
「貴方は、この国の第3王子。平民の血を引いて、彼らの輝く月です。箱にニリヤ殿下が閉じ込められていると知った時、カスケード子爵家で平民の子供達が他に捕まっているのかと思えば、私は殿下に危険があろうとも、罠として箱を運ぶ事に決めなければなりませんでした。ーーーニリヤ殿下に怪我でもあれば、悪くすれば私は首を刎ねられます。ニリヤ殿下が、どう動くかで、下のルディは仕事を辞めさせられて、私は死ぬ事もありますでしょう。今回は、平民の子供達は全て助けられていた。けれど、罠を仕掛けて子供達を助けるはずでしたよね。もしまだ捕まってる子がいたら、相手が悪い奴だったら。ニリヤ殿下のした事で罠が失敗すれば、平民の子供達が、死ぬかも、酷い目に遭うかも、しれなかった。」
ひっく、ぐしゅ、ひく。
涙をぽろ、ぽろぽろ。
ニリヤは唇をグッと噛んで、レェアの瞳をじっと見る。パチン、と瞬く。
大きな涙の粒が、頬をつつう、顎まで伝う。ポタリ、一つ、床に。
エンリちゃんが牙見せ、ぷるぷる、クワ、ワワワ!お目々ギャ!動けずにいる。
ひっ、と息を吸って。
あ、やばい。
ひー、ひーっ。吸って。
「ーーーぅぅあ、うあ、ふわぁあああぁ〜ん!エンリわるいでつ、エンリチッチたでつ!ガブちて、はこかくねたでつ!ニリヤでっか、ごめんなたい!うぇ、ふええぇえ!」
お腹の横にぶらっと垂れたお手てを、くわと広げて、上向き。きゃーんと泣き出した。
クラフティは眉を下げてオロオロ、ハラハラ、皆の顔を心配、見ている。
しかしレェア第二騎士団長は動じない。ニリヤから目を離さない。
エンリちゃんの高い大泣き声の中、低く渋い声は響く。
「良いですか。人の上に立つという事は、そういう事です。良く考えて、動く。そうしなければ、下の者が、傷付く。もっと考え深く、慎重に行動するのです。私達は、貴方の為に、ひいては民の為に、命を賭けています。」
「•••ぁい。ごめ、な、グスッ、さぃ。」
胸が苦しいニリヤは、真剣にレェアの言葉を聞いている。
「エンリ嬢も箱で一緒でした。お嫁さんでしょう。彼女はまだ幼い。でも、ニリヤ殿下のお嫁さんなのだからと、一緒に危ない目に遭うのですよ。ニリヤ殿下が動いて、エンリ嬢を安全に守ってやらなければいけません。」
うあああぁぁあー。
「•••エンリもまもゆ!っく、でっか、まもゆでつからぁ!っひ、うぇえ!ぅえふ、げほっ。」
真珠がコロコロ、睫毛が濡れて、お尻尾がピーンとなっている。
竜樹が、そっ、と後ろからニリヤとエンリちゃんの背中に手を当てて。
「•••そうしたらね、ニリヤ。ニリヤは、どうしたら良かったかな?エンリちゃんを、追いかけないでは、いられないでしょう?お嫁ちゃんが、傷ついて、泣いているんだものね?」
叱るだけでは。落ち込むばかり。
どうしたら良かった?まで考えさせてこそ、未来に生きる。
と、竜樹は思う。
「•••ルディ、お、おいてかなぃ。いっしょに、おいかける。」
「そうですね。箱にも、入ったらダメですね?どうして一緒に箱に入って、蓋を閉めたんですか?」
レェアは、ニリヤの肩から手を外すと、ニリヤの力の入った小さくておまんじゅうのようなお手てを、ぎゅむと剣だこのある大きな掌で包んだ。
ズビ、と鼻を啜って。
「ぼ、ぼくがかなしくなちゃった、とき、か、かあさまが、おふとんで、パサーって。くらくて、なでこすると、なぐさまる。か、ら。エンリちゃん、ないてた、だから。」
リュビ母様がやってくれたように。エンリちゃんを、暗くて落ち着く所で、慰めたかったんだね。
「そうですか。エンリ嬢は、その時、なぐさめられましたか?」
「ウン。チュしたら、なかないに、なった。」
ぐつん。
それは、良かった。
レェア第二騎士団長、ニ、と笑う。
「次は、ルディを置いていかず。一緒に追いかけて。箱じゃなく、安全な場所で、エンリ嬢を慰めて下さいね。」
「は、はぃ。•••ごめんなさい。ぼく、もっときおつける。おうじさまは、みんなのため、およめのエンリちゃんも、あぶなくないに、だいじにする。」
コクン、と頷けば、見張った目から涙の最後の一粒が落ちた。
「さて、エンリ嬢。」
今度はエンリちゃんである。
「うぐ、うわ、あいっ!」
グジュグジュの子虎は湿っているよ。膝をついたまま、エンリちゃんに向き直り、肩に手を、丸い背を、グッと包む。
「ニリヤ殿下は、第3平民王子です。お嫁さんになれば、エンリ嬢がする事は、あのニリヤ殿下のお嫁さんの、って言われます。恥ずかしい事をすれば、ニリヤ殿下が笑われるし、良い事をすれば、ニリヤ殿下も褒められますよ。」
「エンリ、っく、いいおよめ。がばるでつ。ガブして、チッチないでつ、でつ!」
グジュ、ぐしゅん。
「良い子になるのですね?恥ずかしいからって、危ない箱の中に逃げたり、しませんね?」
「あい!しないでつ!おなのこ、もっとガブちて、やっつけるでつ!エンリは、もっちょ、もっちょ、つ、つよくなるでつ!」
バーン。宣言するエンリちゃんである。
それはどうなの。と竜樹は思ったが。
「•••それも良いでしょう。第3王子妃として、害する敵には容赦なく。それも力となります。私達も、お力添えしますから、全部自分でしないで、助けて、って言って下さい。」
うんうん、お助け侍従のパパさんズが、幾らでもお助けしますと言うように頷いている。
「•••っ、あい。たしゅけてもらう、でつ。」
「宜しい。」
クロク団のロニー達は、呆気に取られていた。王子様を、怒っちゃうんだ。泣かせて、謝らせて、それで反省させちゃうんだ。
チロ、とロニー達に視線が向く。
ビビ!と緊張するが、まだまだクロクは怒られない。順番、順番であるし、ある意味クロクを叱り飛ばすのはレェアの本来の仕事である。
「クラフティ様。」
「•••はい!ごめんなさい!」
びく、肩がギュッとなる。
様子を見ていて、決して勝気そうではなく、皆の様子を心配、気にしていた。周りを慮る優しげなクラフティ少年には、もう分かっているのだろう。
自分がきっかけになって、大事になったのだ。歳が少し大きい分、泣きはしないが、ギュッと眉を下げてブルブルしている。
「ニリヤ殿下に言ったように、王族でなくても、貴族として上に立つ者が不親切に指示すればどうなるか。身をもって知りましたね。どうすべきか。分かりますよね。」
「は、はい。•••わ、私、お友達を連れてきて欲しかったら、もっとちゃんと、親ごさんがいる子じゃなく、困ってる子にしてね、って。無理に攫うとか、悪くなく、良かったら来てねってして、って言うべきでした。クロクのロニー達に、悪い事させちゃったの、私のせいです。」
しゅーんと目を伏せる。
レェア第二騎士団長は、ぽちゃほっぺを、さすさす、と撫でて、肩を強くギュッとした。
うんうん、素直な子、良き良き。お助け侍従さんも、ニッコリである。
「ニリヤ殿下、エンリ嬢、クラフティ様。皆さん、ちゃんと反省できてるようですね。ルディ、護衛する主人に、泣くほど慕われて、お前は幸せだな。今回は仕方がないから、減給1つ月とする!ちゃんとしろよ、分かったか!」
「はい!ありがとうございます!ニリヤ殿下、レェア第二騎士団長!」
パッ!とニリヤが笑う。
ニッコリ、ルディも返す。
しかしだ。ルディは第一騎士団所属だから、きっと元々レェア第二騎士団長が処罰出来ない。
護衛から外れろとか、減給とか言ってたけれど、今回のお沙汰は第一騎士団長から下されるだろうよね。そしてここでの話が伝われば、まあ大した事にはならないんだろう。
大人2人、レェアとルディはシレッとしているが、ニリヤに自覚を促して、上手い事やった訳である。
竜樹は、ゲハーとなったが黙っていた。
「竜樹様。」
あ、竜樹に順番が回ってきた。
立ち上がって、はふー、と大きく息を吐いた。ちょっと呆れている。腕組み、トントン、指先がイラついている。
竜樹はふか〜く腰を折って、おがみーの、手をすりすりーの、へこへこである。
「••••••何でもかんでも、丸く収めないで下さい!悪い事したら、捕まる。咎められる。基本、誰だってそうです。我々は例外を作らせない。それが、そのはずが、貴方が関われば、咎められない訳でもないが、温情温情で、甘くみる奴だって出てきますよ!大きく事が成って、収まるんでしょうが、やりずらいったらないんですよ!困ります!」
「申し訳ゴザイマセン。ヒラに、ヒラに今回ばかりは。ご容赦下さい。この身に免じて。」
王様より偉い立場なんだっけ。ギフトの御方様って。え、それ本当?嘘だよね?
「まあ貴方は、本当に身をもって責任を取るし背負うんでしょうけれども、ね!!!!」
ガル!と唸る。やり方があまりに違いすぎて、不本意ながら認めるしかないし、でも納得しきれない。
「毎回ではないですよ!今回だけですよ!」
「はい、はい、はい〜〜〜っ!ありがとうございます、助かりますでございます、第二騎士団あっての王都でございます!」
この人本当にギフトの御方様なんかしら、とロニーは思った。ずっと蛇を首に巻いてるし。
「さて、クロクの連中よ。」
ギク、と身体が緊張する少年達である。元々敵対してきたと言っていい間柄。そのトップに睨まれて、流石に•••幾らタレ目であろうとも、流石の威厳と厳しい声である。
「お前達は、本当にギリギリの境目で助かったんだ。攫われた子供達の親御さんが、どれだけ泣いて心配したか、言っても分からないだろう。俺達はいつでも、境目からこぼれ落ちたら引っ張っていく。次は無いからな。絶対にこぼれ落ちるなよ、これからどんな事があってもだ。まだ崖っぷちにいるんだ、せいぜいその、大きな長い腕の竜樹様に庇ってもらっているうちに、まともな大人になれ!そして。」
お前達が攫った子供達と親御さんに、ちゃんと謝罪を。
「分からないなりに、竜樹様がどんだけ身をもって示してくれるか、ちゃんと見とけ!!」
クロク団は、あ、う、と何も言えず。
竜樹はニッコリと、するべき事を分かっていて、クロク達に頷いて見せた。
レェア第二騎士団長は、王宮の門を出て部下達に混ざり、お祭りの騒ぎの中を裏道、ザザザと徒歩で。仕方ないのだ、人が多すぎる。一角馬車は使えないし。
ただ、スタグ男爵家アシッドに気取られてはならないので、見回りのテイで、それぞれ団員が散開してそれから目的地で集まっていく。
(クソ、泣かせてしまった。)
あの小さな手。手に収まる肩。幼い喋り方、濡れた睫毛、ふくふくしたほっぺ。
レェア第二騎士団長の、硬い手、今は皮の手袋に包まれた、武装した手に触れた柔らかさ、純なこころ。
(落ち込む。•••いや、落ち込んでられるか!!)
あの小さなお手てと、同じような年頃の子供達が。口にも出せない酷い目に遭っているのだ。
カカッと心も身体も燃えるようだ。怒りで。
許せん、と父性の塊。叱って幼い純粋さに触れて、益々威力を増した厳しいレェア第二騎士団長に。変態スタグ男爵家アシッドは、きっとギッタギタのメッタメタにされる事であろう。自業自得である。




