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王子様を放送します  作者: 竹 美津
本編

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閑話 夢見るツバメはとーさのこ 1


アリババさまのリクエスト。


初めて出逢った日から、竜樹の息子になって過ごす日々まで、まだお喋りができないツバメちゃんの内なる語りのお話と。

12月25日朝に3王子・寮っ子・地方教会孤児院の子供らの枕元に何かが置いて有るのか無いのか、のお話。

(組み合わせてみました)


※なかなかリクエストの内容っぽくなりませんが、ちゃんとリクエストにお応えしますので、ん?と思っても、どうか読んでみて下さいね!


シャンテお母さんが、新しく入った赤ちゃんを、ヨイヨイしている。お乳よ、おしめよ、ねむねむなの、そうなの、良い子良い子。

冬の日、えあこんも効いて新聞寮の日当たりのいい場所、ぽかぽかした交流室、周りに小ちゃな子供達がキャワッキャワ!と走り回っている。


ツバメは、ム〜ッとしたけど、お口をツンとさせただけで、文句は言わなかった。

ツバメはもう、5歳なのだもの!

それに、臨時で下の赤ちゃんが入ってきたり、今までもあったし、シャンテお母さんが弟妹達に忙しくて、なんて、初めてじゃないんだから。最近、ツバメにあんまり撫でこしてくれないじゃないか、なんて、言わないんだ。薄茶の髪の毛が、ふわふわクシュ、と寝癖になってるの、直してもらえてないだなんて、そんなの。


「ツバメは、おにいちゃん、なのだもん!」

小さく決意を口にし、むぷ、と、とんがらす。お手てを握りしめて、けれど、とと、とシャンテお母さんに2歩近づいて、後ろ頭がクシュクシュのまま、お口にどうしてか、もう片方のお手てがムグッといっちゃうんだ。

さみしくなんか、ないんだもん。


「えらいえらい。そうだよな、ツバメはちゃんと、お兄ちゃんだ。おれたちの仲間だ!」

「サンにいちゃ!」


ツバメが振り返ると、新聞の販売所で、新聞にパンにミルクにと、バリバリ働いている、あこがれの、ツバメと髪色目色の似ている麦茶な、サンにいちゃが。ツバメの身体に後ろから、ぴと、とお腹と背中、くっつけて、クシャクシャの頭を撫で撫で、手櫛で梳かしつけてくれた。

シャンテお母さんに撫でこされる回数が減った代わりに、何となく、にいちゃ仲間に入れてもらえて、ヨゴヨゴわちゃわちゃヨシヨシって、してもらえるのだ。


「大人になるって、なかなか辛くきびしい試練があるんだよ。サンにいちゃも、かーさとはなれた時は、さみしかったなぁ。ツバメより、もっと小さい時に、知らないおじさんにかーさ、連れてかれちゃったんだ。竜樹とーさが、寮によんでくれるまで、お外で暮らしてたんだぞ。ジェム兄達と。」


ええっ!?おそとで!?

やっぱり、サンにいちゃ達はすごい!

ツバメ、お目々キラキラ、サンにいちゃを見上げる。そんけーのまなざし、なのだ。


「おそとで、くらすの、ひみつきち、みたいね?」

こないだ、竜樹とーさと、王宮のお庭につくったのだ。異国から取り寄せたっていう、しの、ってののいっぱい生えてるとこ、小さなノコギリで入り口とお部屋を切り開き、そのままだと地面から、しのの切り株が出てボコボコしてるから、古い毛布も持ち込んで。

隠れてワクワク、寝転んだりお菓子とかたべた。

ふわぁ!キラリとしたツバメの眼を見たら、サンにいちゃは言えなかった。


ひもじくて、寂しくて、時々お腹が痛くって、寒くて、寝床は地面や木板で固くて、一晩寝ると身体がギシギシいう。ジェム兄達とくっつかって、体温を分け合ってもガチガチで。

竜樹とーさが迎えてくれた寮が、本当に本当、秘密基地なんかよりもずっとずっと、素敵なお家なんだって。


「シャンテお母さん、忙しそうだね。お手伝いする?」

「ううん。さっき、そうにきいたら、ありがとうね、でも、いいのよ。遊んでらっしゃい。ってたの。」


うん。半分はツバメを思いやり、半分は余裕がなかったのであろう。赤ちゃんと、幼児の両方を構う。お母さん、手は2本しかない。

サンにいちゃは、寮では古株だもの、その位は分かった。

ムニュ、とお口に指、カミカミしているツバメが、最近入った赤ちゃんに優しくて、とっても良い子で。良い子し過ぎて、寂しくても言えないなんて、サンにいちゃは分かってるのだ。自分も通った道だ。


そんな時は、竜樹とーさだ。

とーさは、忙しそうにあちこち働いているけれど、何だかんだと子供達の相手をしてくれる。

ジェム兄達の、思春期ならではの相談にも乗れば、小ちゃな子達と遊んでもくれる。

何かモヤモヤした事があったら、竜樹とーさに言えば、ほんのりスッキリする。事が多い。

良く考えて、長く思っていていい事柄だよ、って事もあるけど、そんな時も、ちゃんと聞いてくれるので、心がちょっと落ち着くのだ。


「竜樹とーさがもう少しで、お仕事から帰ってくるからさ。そしたらツバメ、とーさとお話しよう。胸がすーすーする時は、とーさに相談。ピッと解決!なんだからね!」

「ウン!ぴっとかいかつ!」

ちょっと違う。


それまでオヤツ食べてよう。

2人はそう決めて、そろそろエルフのお世話人、ベルジュお兄さんとマレお姉さんが、王宮の厨房から届いたオヤツとお茶を用意する頃だ、とお手伝いに立候補した。


ベルジュお兄さんが配るチョコレートチップクッキーを小皿に2枚ずつ貰って、小ちゃな子達をクッションに座らせて、折りたたみ机にスタンバイ。

ツバメとサンにいちゃ、それから、明日の新聞の、折り込み広告のセットのお仕事を、お弁当持ちでこなしてきたセリューにいちゃに、ロンにいちゃも帰ってきた。クッキーを貰うついでに、ツバメを撫でこしてクシュ、となった髪を段々に、にいちゃ達が手櫛で直してくれる。


「ツバメ、髪いっかい濡らした方がいいんじゃない?」

セリューにいちゃが、身だしなみも、お仕事のうちなんだぞ?と、自分も朝、チベタな水を付けて梳かす、ちょっと男子的乱暴な身繕いを伝授しつつ。気にしてツバメの肩を抱いて言えば。


「雪灯の月だぜ、さむいよ。小ちゃいツバメじゃ、風邪ひいちまうって。竜樹とーさに教えてもらったやつ、蒸しタオルだな。オヤツ食べたら、ベルジュ兄ちゃんにお湯もらって、俺がやってやんよ。」

ロンにいちゃが、ツバメのふくふくで、少し乾燥したガサガサほっぺをペタペタ、と触ってくれる。ロンにいちゃの方が、セリューにいちゃより、何となく神経が細やかなのである。

クリーム塗った方がいいな、とサンにいちゃが言い、だなだな、とにいちゃ達も席に着いた。


「ルゥちゃんも、まぜてぇ!」

にいちゃ達好きな幼女がやってきた。コクリコお母さんの娘、カンパニュールゥ、ルゥちゃんである。

ニコニコ!とクッキーの乗ったお皿を胸に抱えて、ロンにいちゃのお膝によじよじと。


ルゥちゃんは、ご機嫌だなぁ。

お母さん譲りの黒髪に碧い目が、いつもワクワクのピカピカに輝いている。コクリコお母さんは、ルゥちゃんを産んで育てて、しばらくしたら結婚プランナーの見習いお仕事で、いつも寮に帰ってくるのは週に3回か4回位だ。前は歩けなかった、って言う、編み物上手なエフォール様の、お母さん、結婚プランナーを何ともでやっている、コリエ様にくっつかって。式場や商会や、ご夫婦になるお客様との打ち合わせや、時には料理の材料のチェックまでと、転移魔法陣のどこでも行き放題定期券を駆使して、あっちこっち行っている。


留守がちなコクリコお母さんだけれど、ルゥちゃんは、寂しくてぐずる、って事をしない。

ニコニコ、クッキーを、ポロポロこぼしながら食べて、ロンにいちゃがお皿で受けている。


「ルゥちゃん、えらいね。」

ツバメが褒めると、ルゥちゃんは。


「うん!ルゥちゃんは、えらいんだよ!ツバメちゃんも、えらいね!」

で、なにえらい?

って聞いてきたので、タハッとなったツバメである。

「ううん、いいの。」

カリリ、とクッキー齧る。甘くて、美味しくて、さみしいの気持ちに、染み込むようなんだった。


竜樹とーさは、クッキーを食べ終わる頃帰ってきた。

ただいまただいま!あー、さむさむ、部屋の中あったか〜い!とお鼻を赤くしている。

「皆、美味しいクッキー良いなぁ、良いなぁ〜!竜樹とーさもお茶休みしようっと。まーぜーてー。」


いーいーよー!

と皆で言って、食べ終わった子から、とーさに突進。ほらほら、お口を浄化してからよ。それに、お皿を片付けてない子は、どの子かなぁ?なんてラフィネかーさに言われている。

ラフィネかーさと竜樹とーさが、ニコニコハグハグっとして、ツバメもクフッと笑った。仲良し夫婦、っていうんだよ。


竜樹とーさは、小ちゃい子達を抱き上げて足にも纏わりつかせて、変な歩き方になりながら、ツバメの側にやってきた。

「ツバメ〜。竜樹とーさ、ツバメに話があるんだぁ。」

おや。

「ツバメもお話があるんだよな。」

サンにいちゃが、竜樹とーさとツバメを見ながら。


「およ。そうなの?気が合うねぇ。」

竜樹とーさは、ツバメの隣にいたロンにいちゃに、少しズレてもらって。小ちゃい子達を下ろして撫でこし、はいはい、ちょっとお話させてね、良い子良い子、お片付けしてらっしゃい、と促した。

ギフトの印のマントとエメラルドのでっかい留め具を外して、お助け侍従タカラお兄さんに渡す。すぐ後ろに、マルサ王弟様が、いつもみたいに護衛を務めて、座る。


「ツバメも、とーさに、おはなし、きいてほしぃの。」

隣に座った竜樹とーさのお膝に、ツバメがお手てをポン、と置いて、しょもしょも言う。何か恥ずかしくなってきた。

でも、にいちゃ達が、うんうん、って顔してるから、言わないでよーそう、って事も、いかなそう。


「何だい、ツバメ。」

竜樹とーさは、ツバメのお背なを、撫でこしながら聞いてくれた。


「あのね、あのね、ツバメはさぁ、おにいちゃんだからさぁ。シャンテおかあさんが、あかちゃんをだっこ、でも、がまんできるんだよ。」

ほんとだよ?


「ウンウン。流石、ツバメはお兄ちゃんだなぁ。がまんしてるんか。」

竜樹とーさの、ショボショボ目が、優しく見てる。


「ルゥちゃんはさ、コクリコおかあさんが、あんまりいなくっても、げんきしてるでしょ。えらい。ツバメも、えらいだのけど、でも、でも、なんか、おむねがスースーするから•••。」


うん。うん。

ツバメは頷いてもらって、お目々が熱く、おのどがグッとなって、その先が言えなくなった。お口にお手てが、モグ、カミカミ。


「よっこいしょ。」

竜樹とーさは、ツバメをぐいっと持ち上げて抱っこし、お膝にストンと乗っけた。お腹に回した、大人の手が、とん、とん、とクッキー入った所を優しく叩く。


「ルゥちゃんは、げんきでえらいよなぁ。でもね、さみしくない訳じゃ、ないと思うんだ。コクリコお母さんが頑張ってるから、ルゥちゃんは、コクリコお母さんがいる時は甘えて、そうじゃない時は、他の皆と仲良くして、良い子だよね。•••ツバメだって、良い子だとも。良い子だって、シャンテお母さんと、仲良くしたいって気持ち、さみしいって気持ち、あって良いんだよ。」


「さみしで、いいの?」

良いんだ、良いんだよ。

「だって、さみしいのは、ツバメがシャンテお母さんを、大好きだよ、って事だもの。」

お腹をさする竜樹とーさの手は、寒い外を歩いてきたのに、ポッポとあったかい。


「少しお風邪の赤ちゃんが来たから、シャンテお母さんは、心配で、お乳よ、おむつよ、お熱ないかな、お鼻が詰まって苦しそう、って今、大変だよねぇ。そういう時は、とーさがいるからね。お話聞くよ。レザン父ちゃんや、エタニテ母ちゃん、ラフィネかーさに、エルフのマレお姉さんベルジュお兄さんだって、いるからね。スースーするお胸を、撫でこ撫でこ、してあげるからね。」

「ウン。」


お目々が熱いよ。ジワっとしてくる。

「それでね、今だ!って、シャンテお母さんが、ふっとお休みして、少し余裕ができた時にね。ツバメは、シャンテお母さんが大好きだから、さみしいがあるよ、って言ったらいいの。きっと、シャンテお母さんは、そうなの、さみしいの、って撫でこしてくれると思うんだ。ーーーーそれで、その、余裕ができたタイミングだけどね。」


難しくない?わかる?

「ワカンナイ••••••。」

ツバメは、身体をぐいっと回して、竜樹とーさの腿を跨いで、向き合った。シャツのお胸に顔をぐりぐりすれば、涙が吸われていく。


「そうしたら、竜樹とーさが、教えてあげるね!2人で、タイミングを、はかろう!良くシャンテお母さんを、見てなくちゃだな!」

「•••ウン!」


竜樹とーさのお顔を見上げれば、いつものニコニコの顔。ツバメもお鼻が出そうだったけど、ズビッとしてウフ、と笑ったら、とーさがハンカチでごしごしして拭いてくれた。

後ろにちょっと傾いて、そこに乗っかって、ダラんとすると、スースーして熱くなって、ぽんぽんであったかくなったお胸は、シャンテお母さんの場所だけ残して、ちゃんと満たされた。


サンにいちゃも、セリューにいちゃも、ロンにいちゃも。おまけにルゥちゃんも、何かほこほこそれを見ていたんだけど。

「竜樹とーさ、ツバメにお話って何?」

気になったサンにいちゃは、お話を逃さないのだった。


うーん。うーん。

眉に皺が寄ってる。んむ、とちっちゃな指で伸ばしてやると、んむ?とショボショボ目がパシパシ、と落ちてくる。ん、ん?と顔を見合わせて笑って。


「ツバメ。ツバメは竜樹とーさの子。何があっても、とーさはツバメを、愛する。ちゃーんと愛して育てる。側にいるからね。•••だから、びっくりしないで聞いてほしいんだけど。」


ツバメの、血の繋がってる方の、お父さんが。

「一生に一回だけ、会えるよ、って決めて離れた人が、今度、ツバメに会いたいんだって。竜樹とーさは、ツバメが会いたいって言えば、一緒に会うし、やだな、って言えば、ちゃーんと断るからさ。少し、考えてお返事、してほしいの。」


ツバメは、目がきょとん、となった。






ゆっくり、うごく、あたたかい、たぷたぷの中にいるんだ。ちむちむと、ゆび?これ、ゆびってゆう?むにむにうごくの、すっちゃう。

ほわぁぁん、どくん、どくん、ておとがするの。


『うるさいわね!仕方ないじゃない!失敗しちゃったのよ、私、生理不順だったから、なくてもおかしいって思わなかったんだもの!•••いやよ!何であんなやつと結婚しなきゃなのよ!そりゃ、もう堕ろせないけど•••。』


???

ポワポワ、って、なんか、イライラ?もわもわ?がつたわってくる。

やだな、やだな。どうして、イライラしてるの?きもちよくない。やだな、なの。


『だって、ちょっと遊んだだけなのに•••。ねえ、母さん、私に縁談きているんでしょう?えっ、何で断っちゃうのよ!子供なんて何とでもできるわよ!だから。あいつとはやってけないの!稼ぎもない悪ズレなんて、ヤよ!•••分かってる、アイツに責任とって子供は何とかしてもらう!だから、縁談を、ちゃんとした•••年寄りの後添いなんて嫌だってば!!』


イライラ、とか。やだな、が、ねんねとねんねのあいだに、よくあったの。それでも、すくすく?のびのび、のび〜っ!って、あんよ?をのばして、ここに、いるよ!ぼく、いるよ!って、ったの。


『いた、イタタ!もう!何よ!動かないでよ!あっ、何か、ぴゅ、て出た!』


おさんばさん?

をよんで?

ギュッとせまいとこ、ぐるんぐるん、ってまわって、くるしいよう。

でも、もう、いかなくちゃ。

いかなくちゃってこと、わかってるの。


ぼく?

ぼくは、だれ?

ぼくは。


「っんぎゃあ!ほんぎゃあぁあー!」

「•••生まれたよ!良い男の子だ、ほら、抱っこしてやんな。おっぱい出るかな、ほらほら。」


ぺちゃ、とくっつかった、いいにおいのするところに、ひっしでチュムチュムしたの。

うぇぇん、あんまりでない。


ちっちがでるとこに、くるんとぬのをまいてもらったの。なんか、さむいの。ふかふかの?ぬの?ゆらゆら、だけど、あったかくない。

ギュッとしてくれたの、おさんばさんだけだったの。


「アンタ、そんなカゴに赤ちゃん入れて、どうするつもり?旦那もいないで、赤ちゃんと働かないアンタなんて、ウチじゃ養えないわよ!」

「分かってるわよ!母さんだって何も稼いでないじゃない!子供、アイツに何とかしてもらうわ。育てる気ないから、縁談の話!」


「分かったわよ。赤ちゃんもこんなとこに生まれて、災難だったわね•••。」

「アタシが災難だっての、こんな赤ちゃん。」


わからないの。

なんでイライラ。とげとげ。

ツンツン。

ふぇぇえん。


「また泣く!」

「赤ちゃんて泣くものだわよ。あぁ、縁が無かったわねぇ、赤ちゃん。孫とは言いますまいよ。赤ちゃんの未来に、幸いあれ。」

「祈るだけならタダだわね。」

「ま、そういうことよ。」


ないてもおいしい、あまい、ちむちむのもの、くれないの。

つかれちゃった。くすん•••。

ぷら、ぷら、ってゆれてる。

あったかいギュッとじゃないの。


「ルナール!アンタの子よ!どうにか都合つけてよ!」

「あぁ!?ヤダぜ俺は!お前も楽しんだじゃねぇか、エリァル!女なら花街に売っちまえよ!」

「男なんだって•••勘弁してよぉ〜。」

「道っぱたにでも捨てちまえば?」

「流石にそれは•••すぐ死んじゃうじゃん。」


しゃあねえなあ、って。

なに、しゃあないの?

つかれて、ねむねむなってきちゃったの•••。

「あれだ、今日、プールの工事があるっつうじゃん。ギフトのヤツが造るって噂だから、ヤツも来るかも。おっつけちまおうぜ。」

「そんなに上手くいくかしら。あぁ、怠いったら•••こんな子のせいで!」


ふに。ふん、ふん。すぅ。

おなかすいたな。


「ギフトの御方様は、そちらの方で?」

「だったら何だ?」


「子供が余ってるんでね。新聞を売ったりさせるのに、御方様は子供を集めてるんだろ。だったら、貰ってくれねえかと思って。」


「これ•••。」

ぷらん、ってした。ふにふに。

なんか、こえがする。

ふ、と、よくみえないボワボワのとこが、くらくなったの。

あれ、なんか、だれかが、ぼくのこと、みてる。のぞきこんでる。


よくみえないけど、あったかいのカケラが、そっちにあるの!!!


ふぇ、ふぇ、ふぇぇん!

あったかいのの、ギュッとしてよ!


「あらららら起きちゃった。そちらの娘さんはお母さんなの?おしめかな?お乳かな?」


「私、お母さんじゃ、ない。産みたく、なかった。まだ、結婚する予定も、ないのに。」

「頼みますよ。俺は父親なんか嫌だぜ。ガキの世話なんか、やってられっか!女なら花街にでも売れたのによ、男じゃ何の役にもたたねぇよ。」


「あぁー。お前ら、帰れよ。何で竜樹が、お前らの婚前交渉の後始末をしなきゃなんだよ!楽しんだんだから、腹括って結婚でもして、子供の世話しろよ!」


あったかいの。あったかいの!

ねえ、ぎゅして、うまうまほしいの!


「嫌よ!私、もっと良い人と結婚したい!この子がいなければ、まだ何とかなるもの!」


ぷらぷら、ゆらゆら、こわいよ。

ふぇええん!


「俺だってお前みてぇなわがままな女、願い下げだぜ!とにかくこいつがいなきゃ、何とかなるんだから、頼むよギフトの御方様!」



「あぁ〜俺、すっごくこの赤ちゃん欲しいな〜。よしよし、竜樹が抱っこしてあげよ、泣くんじゃないよ〜。」


あ。ギュッとしてくれた!

ふわぁ、あぅあぅ。

ほっぺのなみだを、あったかいのが、ふいてくれるの。

ほわぁぁあ。あったかいの。

おしりに。ぽんぽん、しっくりくるの。あたまがゆらゆら、しないの。

みてるの。ぼくみてる。ぼくをみてる。

あったかい、おめめでみてるの。


このひとのところに。

ぼく、いくの!



「俺がこの子を育てるんでいいけど、君たちには魔法誓約書を書いてもらいます。」


「育てる面倒はみないのに、大人になってから面倒みてもらおうなんて、当然思わないよね。」


ぼくはみてた。

なんだかわからなかったけど、ほわほわのあったかい、ギュッとしてくれるひとが、こわいおこえで、イライラのツンツンを、メ!したの。


「人と仲良しの名前、縁起のいい、自由自在にカッコよく飛ぶ鳥、ツバメなんてどうだろう?」


「ツバメ?」


「竜樹のいた国の鳥か?」

「そうだよ。ツバメは、人の家の軒下とかに巣を作るんだ。巣を作られた家は、縁起がいいって喜ぶ。俺の所に、よく来てくれたね、って事だ。」

「ツバメ!ツバメくん!」

「おーい、君の名前は、ツバメだよ!」


ぼく、ツバメ!

ツバメなの?なの!

おめめをくりくりして、よくあったかいギュッとのひとや、それよかちいさい、みんなをみたかったんだけど、よくみえない。


◎ツバメは竜樹が父となり育てる事。

◎男「ルナール」と、女「エリァル」は、ツバメから今現在より将来に渡って、金銭及び金銭的価値のあるいかなる物も受け取りを行わない事。

◎ルナールとエリァルは、今現在から将来に渡って、仕事上でも、生活上でも、間接的にも、ツバメに関わる事をしない事。

◎ルナールとエリァルは、今現在から将来に渡って、ツバメにいかなる損害も与えない事。

◎ルナールとエリァルは、上記の項目に違反しない限り、ツバメと竜樹が許可した一度だけ、竜樹同席の上、ツバメに会う事が出来る事。その会合までのやりとりは王宮内竜樹宛の郵便で行う。

◎ルナールとエリァルは、今後一切、誰を相手にした時でも、避妊しなければ婚前交渉ができない事。

◎上記に違反しようとした場合、ルナールとエリァルには、身体中に激しく痛みを生じる事とする。その痛みの解除は、上記項目の遵守をもって解除となる。


???

ちむちむ、うまうましたいの。

イライラ、ツンツンとはなれた。

もういない。よかった。

ゆっくり、ギュッとのまんま、ゆれて、ざっざっ、ておとがする。しってる、これって、あるいてるんだ。


ただいまー、ってきこえたら。


「ツバメにお乳あげるよ〜飲むかなー。」

「はーい!」

「見たい見たい!」

「赤ちゃん、おちち!」

「みんなも、こんなに小さかったんだぞ〜。ではね、ヤギ乳、温めます。一回沸騰させた方がいいのかな?熱々じゃなくて、人肌に冷ましてね。」


「はい、どーぞ。」


ちゅ、ちゅむ。ちゅむちゅむ。


「飲んだぁ!」



すぐにうまうま!うま!ちむちむ!

おいち!おいちの!

けぷ。ぽんぽんあったか。ちーもでた。すぐ、キレイキレイしてくれたの。イライラみたいに、ブツブツ、グイッとしないのよ。


くぁ。ぁーふ。

あーんしん。


ツバメのあったかい日々に、続きます!

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