閑話 小ちゃい子組とバーニー君の虹
葵さまのリクエスト。
ニリヤ、サン、ロン、セリューの小ちゃい子組のかわいいわちゃわちゃ話か、そしてバーニー君と子どもたちの話です。(組み合わせてみました。)
すーか すーか ふーす んが
秋から冬へ。
お日様が、柔らかく交流室に入り、魔道具のエアコンも冬に向けて取り付けたので、ふーっと温かい空気の中、ぬくぬくお布団は、ほこほこで肌触りがよい。
天国、である。
バーニー君は休日だった。
感謝祭も終えた、後片付けも終わった、そんなある日の事である。
てこ、てこ、てこ。
ロンとセリュー、てこてこやって来て、交流室の日差しの当たる1番いい場所。ジ〜ッ、と、スヤスヤのバーニー君を覗き込む。
そしてロンは悪魔の微笑み。ニカ!
っきゃいい!
ぱふーん、どーん!
「あそんでぇ!あそんでバーニーくん!」
「っぐえぇ!」
油断しきって寝ている所に、お布団の上、飛び込みどーんである。まだ小ちゃなロンだけれど、その元気、躊躇いのなさ、破壊力は抜群だ。セリューは、お口に指を当てて、あれれーっ、と、しゃがんで。もっこりお布団とロンを見ている。
「なに、してるの〜?」
「なかまに、いれてぇ!」
てこ、てってこ、てこ!
サンとニリヤが、お手て繋いでそこにやってくる。
きゃわぁ〜!と膨らんでいるお布団に、乗っかっているロンの上から、トウッ!ぱふーん、ぎゅむ!
うぅうー。
「貴重な睡眠を邪魔する子は、どの子だ〜!わるいこ、こんなこ、どんな子〜!」
えいっ!と布団と子供団子を、ゆっくり腕で払い避け、1人捕まえてぎゅーんと持ち上げて、脇にどーん。寝っ転ばす。
ぎゅーん、どーん。
「わるいこー、どんなこー!ロン〜!」
キャハ〜!!
ぎゅーん、どーん!
「わるいこー、サン!ニリヤ殿下!そして〜、セリュー!!」
キャイィ!キャキャ!
セリューは見てただけだったけど、ぎゅーん、と持ち上げられて、反り腰でぱふんとお布団に寝っ転ばされた。冤罪。
「わぁ!」
キャキャキャキャッキャ!
はぁ、しんど。ボサボサの髪にため息を吐くバーニー君である。頭ボリボリ。目をくしゅくしゅ。ふわぁう、まあ、ここで寝るには、ほどほどの時間が寝れたもんだろうか。
いつもながら、チリ魔法院長や竜樹達の無茶振りを、黙って受け入れるよりはこっちから飛び込んで、多少なりとも自分の考えも反映させて、捌くんじゃい!とばかり、活躍した後は燃え尽きて、竜樹と子供達の新聞寮へ来たバーニー君。
昨夜は後片付けに忙しく、朝ご飯を子供達と一緒にもらって、うまうま食べて満腹になったら、もう、ウトウトだった。
実家は商家、休みになると1人か実家の手伝い。店子達も合わせて、大勢でわちゃわちゃと育ってきた彼は、休日優雅なお一人時間を過ごす、という心境には、なかなかならなくて。
よく新聞寮へやってきては、美味しいご飯をご馳走になり、子供に紛れてお昼寝なんかをしているのである。
「どしたんですか、ちみっこ達。午前中は、押し花のお仕事じゃなかったんですか?」
「がんばった。」
「おやすみきゅうけいの!」
「ぽかぽかおひるね、バーニーくんとあそびたいの。」
「•••••••••。」
あー、とバーニー君は首元、襟から手を少し入れて、ぽりぽり。乾燥しているよね、季節が段々とね。
遊びたいのね、そうですか。
起きるかぁ〜。
遠くで、面倒を見ていたラフィネ母さんが、うくくく、と笑っている。
小ちゃな子達なのだから、集中力だってそれなりである。新聞寮に来た当初は、使命感をもって、そんなに思い詰めてやらなくても良いんだよ、って位だったのが。今はある意味子供らしく、頑張る時もちゃんとあるけれど、遊びながら、休みながらで丁度良い。
竜樹とーさは無理させない。特に遊び相手のバーニー君なんかいたら、小ちゃな心がそわそわしちゃって、気が逸れるのは仕方ない。
その竜樹はといえば、エステ組の住む、新しく造る寮について、サテリット商会のクレールじいちゃんと、真面目に座卓に資料を広げて、真剣に仕事モード、話をしている。オランネージュとネクターは、そのお話にふんふん、と、これまた真面目に参加してる、つもりである。
3王子は今日はお勉強お休み日。
そしてクレールじいちゃんは、ニリヤの平民側のじいちゃまなので、お仕事しながらも、優しい目をニリヤに向けている。
「遊ぶんですね。顔洗ってくるので、待ってて下さい。わるいこ、よいこ、どんなここのこ。良い子できますかぁ〜?」
「「「はぁ〜い!!」」」
「••••••。」
あれ、とバーニー君も気づく。
ニリヤと、サン、ロンも、あれれ、とセリューを見る。
もじ、もじゅ、と指と指をくにくにツンツン合わせて、お目々を落として。な〜んだか元気がないセリューなのである。
「どうしたんですか?セリュー。」
「セリュー、げんきない。」
「しょんぼりこ。」
ロンとサンが、ポムポム、とセリューに引っ付き、肩を叩く。
ニリヤが、あっ、と思い付く。
「セリュー、ししょうの、コップ。」
うん、とセリューはショボショボ。
「たつきとーさの、にじのコップ。ぱりんて。」
「あー、われたんだよ。」
「おっことした。」
「ちがんだよ、セリューは、おかたづけのだよ。」
うんうん。
「お片付けしようとして、割っちゃったんですね。」
うん、とコックリするセリュー。
「わるぎは、ないんだよ。」
「あやまった!」
「おてて、けがしてないかーって。」
わちゃわちゃ、説明してくれる。
バーニー君はさっさと食べてバタンだったから知らなかったが、そういえば、ガチャン!と何か割れる音がしていたかもしれない。
セリューは、ショボショボしながら、ポツポツ喋る。
「たつきとーさ、けがなかったら、いんだよ、て。おこらないかった。」
でも。
「きれいかったの。にじのコップ。とーさの。おきににり。」
もう、ないの。
ザラりん、と破片になってしまった、ガラスのコップ。虹色の7色ラインが、くるーりん、と捻りを入れて一筋、立ち昇る素敵なコップ。お店に納品に来た職人さんが、造るのになかなか技術が要ると笑っていた品だ。
竜樹とーさが、街に出掛けて、普段は子供達のものばかりなのに、珍しく気に入って買い求めて、使っていたもの。
子供達は、共同生活を送っている。
なかなか、自分だけのもの、を沢山は持てない。お皿も、コップも、お布団も、時には服さえ、下着さえ、共同で。
そんな中で、自分の!って大事にする、を目で見て触れて、見本になるべく、竜樹がまずは自分から、そして後で考えて子供達にもそれぞれに、何かしら、と。
とーさだからって、生活を楽しむを捨てないでいこう、将来の彼らの思い出に、引っかかるワンピースになるかも。楽しんで生きてくれる小さなもの。
そう、虹のコップを求めたのだった。
「さわるな!ってしたんだよ。あぶない!て。」
ロンが、短い人差し指を立てて、説明してくれる。穏やかな竜樹とーさが、大っきい声でセリューの手を、急いでギュッと握って止めたから、子供達もびっくりしたのだ。
うん、ガラスの破片は危ないね。
バーニー君は、ふんふん、と話を。お布団に胡座をかいて聞いてやる。
小ちゃい子組達は、その周りにチョコ、と座ってくる。
「きれいかったの•••。いいんだよって、ったの•••。でも、こわいおかお、してた。たつきとーさ、おこってるかな•••。」
セリュー、くしゅん。
視線を落として、手で顔を覆っちゃった。
ふーんぅ。
「みんなの竜樹お父さんが、そんな事で怒ったりはしないですよ。怪我が心配だっただけでしょう。たとえセリューが、生きてる虹蜥蜴を、竜樹お父さんのマントのポケットに突っ込んでも。きっと怒ったりはしませんよ。」
ふわぁう。大欠伸。
子供って、とっても些細な事で、傷つきやすいんだなぁ、なんて呑気なバーニー君である。大人だったら、すいません、で終わりである。何なら新しく、同じコップを探して買って、なんてできる。
でも、ちみっこらはまだまだ、やわこい心で生きている。
「にじとかげ?」
「あー、にわに、いるね!」
「おひさま、だいすきなんだよ。」
「バーニーくんとおんなしー。」
チョロりん。
目線の端、交流室の掃き出しガラス戸縁台の向こう。何かが動く。
布団干しの竿台の、土台にある石の上に、虹色。チョロ。
あっ
「にじとかげ!」
「とかげだぁ〜!」
わわわ、わぁ!
ガラリと戸を開けて、パッと駆け出す子供達。おいおい、とバーニー君も、サンダルに足をツッ通し、かっこからんこ、様子を見に。
「あっちいった!」
「まてまて!」
「とかげさ〜ん、こわくないよお。」
「きれいな、いろだねっ!」
石の下覗き込む。えっちら石をひっくり返す。追いかける。手を出して、パタン、パタンこ、被せてぴょこぴょこ。
「つかまえた!」
ニヒッ、と良いお顔のニリヤである。
あー。捕まえちゃった•••。
バーニー君、どうすべえである。
虹蜥蜴、もう寒いから動きが遅かったんだろうなあ。まぁ、子供達の動きも速くもあった。ちょこちょこ侮れないのだ。ラフィネ母さんや、エルフのマレお姉さんなんかは、もしかしたら、キャア!って悲鳴をあげるかもしれないな。
「あ、それよりもエクレさんとシエルさんですかね。多分、蜥蜴ダメですね。」
フードゥル国出身の元王女、しっかり者の姉エクレとうっかり者の妹シエル。今はせっせと押し花していて、こちらを見ていない。
「ちみっこ達、虹蜥蜴さん、かわいそうだからー。」
「とーさ、にじとかげ、ぽっけにいれてもおこらないかなぁ。」
「やてみる?」
ロンが、爆弾発言。
「とーさが、にじとかげ、おこんなかったら、セリューにもいくならない?」
いや、いくならないよ。何でそうなる。
「だよねぇ!」
「おこらないか、やってみる?」
「やってみるか?」
セリュー、そこは、「ううん、やらない」だぞ。バーニー君は自分で言った事だけど、思う。竜樹お父さん、流石にびっくりして怒るかもしれない。今、仕事してるし。本当には怒ってなくても、躾ってやつがある。
「•••そっかぁ。そっかなぁ。」
そっかなぁじゃないよ。
「やってみよっか。」
「うん!やろ、やろ!」
「おこるかやってみよ!」
ゆっくり、チョロロ、とニリヤの握った両手から顔を見せる虹蜥蜴。ちみっこ達は覗き込んで、つんつん、その滑らかな頭を触ったり、ジィっと見て、ふす!と鼻息吹いたりしてる。
バーニー君は。
「分かりました。上手くやるんですよ。」
面白いから。
止めないのである。
「じゃあ、個室にはロフトを造ってみましょう。寝るのをロフトにして、下を寛ぎの部屋にしても良いし、狭いなりに、お部屋を楽しく整えて、生活するのにね。」
竜樹がクレールじいちゃんと、色々な設計図を見ながら、これ!と選び出して赤鉛筆で印を付ける。
「ロフトって良いですなあ。食堂も、皆が思い立った時に食事作りが出来るように、補助がありながらも、生活がまるきり人任せじゃなく。竜樹様がおっしゃるように、自分で出来る事が増えると、楽しいっていうのも、分かる気がしますし、大人としての自信になりますなあ。」
ウンウンうん、と頷き合う。
ネクターも、そっか、と頷いていたのだが、そろり、そろりと近づいてくるニリヤ、サン、ロン、セリュー。そしてバーニー君に、んん?って、気づいた。
オランネージュは、何か起こりそう、ムフ。と笑っている。
そーっ。 そーっ。
「セリュ•「しーっ、ねくたーでんか、しーっ!」」
竜樹は、チロリン、とちみっこ達に視線の端っこを向けたけれど、子供達がわちゃわちゃして、竜樹にペとっと引っ付いてきたりするのは、いつもの事なので。
遊んでるんだなぁと無意識で、その感じを許し、受け入れ、普通にしていた。
そろり。 そ〜っ。
小さな手が、そろりと竜樹とーさのマントに近づいてくる。セリュー、ドキドキ。マントをチラリと捲るのは、ニリヤの役目である。
室内でもマントを着ているのは、クレールじいちゃんを迎えて外に出て、朝寒かったからでもあり。お仕事の話によってはこの後、外に出て行くので、脱ぐのが面倒くさく準備万端にしていたからだ。
ぴらり。
ネクター、むむぅ?と不思議顔。
オランネージュが、ぱく、とネクターのお口を塞いで後ろだっこに止めている。面白いから。
片手にギュッと握った虹蜥蜴、セリュー、力を加減してね。マントのポケットに、えいっと!入れた!
キャ! しーっ! パタパタ!
少し小走りで竜樹とーさから逃げて遠ざかり、セリューにロン、ニリヤにサン。そしてバーニー君。
斜めに顔を傾げて、だまだまになって、そーっと様子を窺っている。
モゾモゾ、もそり。
「ん?」
マントがモゾモゾする。ポケット。
竜樹は、んんん?と左のポッケを見下ろして、今も何か、生きてる!動いてる!なその中身を、おおお!?と驚いて、ぱふぱふ、と外から叩いた。
えーっと。
そろり。何が入ってるのか、分からないけど生きてる。正直、触るのはビビるよね。
手をポケットに突っ込み、そろ〜り。ん、ん、んん?とおっかなびっくり、ペタチョロリ、纏わりつく冷んやりした感触を感じつつ、出せば。
「あー。蜥蜴。わー!かわいい。」
ノロノロ、チョロ、と竜樹とーさの左手、乗っかってるのは虹色きらりの蜥蜴ちゃん。
ブッ!ククク、と笑うオランネージュに、抑えられてる、お目々まん丸なネクター。
ちみっこ達は、神妙な顔で竜樹とーさを、ししょうを、ジッと見ている。
「セリュー。」
びくん!
呼ばれて、セリューは、肩を揺らして。竜樹とーさの側に、てこてこ、と、恐る恐るやって来た。
「とーさ•••。」
「セリュー、これ、朝のコップの代わりかい?竜樹とーさにくれるの?」
うん。
えっ、そういう事だっけ?
とバーニー君は思うが、突っ込んではいけないのだよ。
「ヘェ〜ありがとう。これ、とっても綺麗な蜥蜴ちゃんだねえ。」
「にじとかげ、だよ。にじの、コップみたいか。」
「そうだね。虹のコップみたいだねぇ。」
チョロ、と竜樹とーさの動かす手の中を、くるりくると歩く蜥蜴ちゃん。ギラギラしてない虹色で、小ちゃくて、とっても美しいのだ。
「蜥蜴って冬眠するんだっけな。寒い外に出して平気かなあ。どこにいたの?」
「そとにいたの。」
「おふとんほしの、いしのとこ!」
「ぼくがつかまえたの!ししょう!」
「おこらないね、とーさ!」
竜樹はニッコリ笑った。
「怒らないよ〜。素敵な蜥蜴ちゃんを、見せてくれてありがとねー。さあ、皆で、蜥蜴ちゃんを外に逃してあげようか。とーさは、充分良く見たよ。蜥蜴は冬眠って言って、寒くなると、どっかに、もぐもぐ潜って動かなくなって眠るんだよ。邪魔したら、蜥蜴ちゃんも困っちゃうからね、放してあげようね。」
「はーい、とーさ。」
「かわいそっ、だからね!」
「ねむるのかあ。おそと、さむくない?」
「もぐると、あったかいの?」
それは、どうなのかねー。
この世界の蜥蜴ちゃんの、生態に詳しい人っているんだろうか。ちょっと興味に思ったバーニー君は、探してきてお話してもらいますかね、と心のメモに書いた。
竜樹が、不思議を、なんで?と思う心を育てたら、きっと楽しい、と言っていたし。自分も魔法院の所属で、そういうの気になるタチだったので。
カラりんこサンダル履いた竜樹と、ちみっこ達に加えてオランネージュとネクターも。蜥蜴ちゃんと別れを惜しみ、ちょいちょい、と触ったりして、放してやって。
ノロノロ、チョロリ。石の下に潜って消えた虹蜥蜴、なのに。
「キャア!」
「と、とか、とかげ!イヤァ!」
エクレとシエル。
いや、もう虹蜥蜴ちゃん、いないって。
掃き出し窓の端っこで様子を見ていて、何してるの?と覗いたエクレとシエルに縋り付かれるバーニー君である。
因みに、ラフィネ母さんと、自然大好きエルフのマレお姉さんは、蜥蜴ちゃん可愛い組でした。
「やっぱり怒りませんでしたね。竜樹お父さん。セリュー、納得しましたか?」
竜樹はまたお仕事に戻り、お布団をたたみながらバーニー君。ちみっこ達とひそひそ、お話である。
「うん。とーさ、おこってなかった。ありがとだって。」
「とかげちゃん、かわい〜ねー。」
「とうみん、だから、いじらないだよね。」
「バイバイした。」
セリューは嬉しそう。
虹蜥蜴の思い出と、虹のコップを割ったこと。小さな心に、ほわりと起こる、色々なことが、周りの大人に守られて、彩りになる。
「セリュー、割っちゃった虹のコップ、破片はどこにあるんですか?」
眉を寄せたセリューは、バーニー君を見上げて、応える。
「おだいどころの、もえないごみのとこ。さわっちゃ、メだよ?」
「私は大人だから、気をつければ、危なくありませんよ、セリュー。ねえ、そのコップの破片、私にくれませんか?」
コップ?われたの?
「どして?」
「グラインダーって研磨、削る魔道具があって、コップに模様を付けてる職人がいるんですけどね。そこに、破片を持っていって、割れた端の所を、危なくないように、丸く、上手に形にしてもらってね。」
箸置きとか。
「多分、あのコップ、虹の色のついた所を入れて見栄え良くすれば、素敵な箸置きになると思います。竜樹お父さん、喜ぶんじゃないですかね。そして、職人に頼むための、私への報酬は。」
虹のコップの箸置き、多分、幾つか作れるから、1個。
下さい。
「虹蜥蜴の、素敵な思い出を、貰いましたからね。皆とのね。」
可愛い蜥蜴ちゃん。マントでモゾモゾ、愛でて放してやって。
虹のカケラを。コロンとひとつ。
「うん!バーニーくんに、にじのかけら、あげる!」
「ぐらいんだ、たのむね!」
「しょくにんさん、すてきね!」
職人さんが素敵な訳ではない。
いや、職人さんは、素敵か。
セリューは指をパクッと噛み、嬉しそうに笑うと、バーニー君に抱きついた。
「たつきとーさの、にじのはしおき。すてきね、バーニーくん!」
ありがと!
「こちらこそ、素敵な思い出を、ありがとう。」
ちみっこ達と、バーニー君は、そんなこんなで、なかなか仲良し。なのである。
ガラスのコップのカケラな、虹のお箸置きは、綺麗な、丸をくにゃんとさせた楕円、カーブも美しくて、他に同じものが二つとない。
竜樹とーさの、普段のお気に入りな事も確かだが、バーニー君の、秘密のお宝箱の中にも。
ずっと、キラリと。
時折、開けては眺めて、嬉しくなるような、虹のカケラになるのであった。
そして今日も。
「バーニーくん、あーそーぼー。」
「「「あーそーぼ!」」」
ふわぁあ。
「仕方ないですねぇ。起きますか。さあ、遊びましょうか。」
リクエストありがとうございました!




