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王子様を放送します  作者: 竹 美津
本編

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541/692

閑話 小ちゃい子組とバーニー君の虹

葵さまのリクエスト。

ニリヤ、サン、ロン、セリューの小ちゃい子組のかわいいわちゃわちゃ話か、そしてバーニー君と子どもたちの話です。(組み合わせてみました。)


すーか すーか ふーす んが


秋から冬へ。

お日様が、柔らかく交流室に入り、魔道具のエアコンも冬に向けて取り付けたので、ふーっと温かい空気の中、ぬくぬくお布団は、ほこほこで肌触りがよい。

天国、である。


バーニー君は休日だった。

感謝祭も終えた、後片付けも終わった、そんなある日の事である。


てこ、てこ、てこ。

ロンとセリュー、てこてこやって来て、交流室の日差しの当たる1番いい場所。ジ〜ッ、と、スヤスヤのバーニー君を覗き込む。

そしてロンは悪魔の微笑み。ニカ!


っきゃいい!

ぱふーん、どーん!

「あそんでぇ!あそんでバーニーくん!」

「っぐえぇ!」


油断しきって寝ている所に、お布団の上、飛び込みどーんである。まだ小ちゃなロンだけれど、その元気、躊躇いのなさ、破壊力は抜群だ。セリューは、お口に指を当てて、あれれーっ、と、しゃがんで。もっこりお布団とロンを見ている。


「なに、してるの〜?」

「なかまに、いれてぇ!」


てこ、てってこ、てこ!

サンとニリヤが、お手て繋いでそこにやってくる。

きゃわぁ〜!と膨らんでいるお布団に、乗っかっているロンの上から、トウッ!ぱふーん、ぎゅむ!


うぅうー。

「貴重な睡眠を邪魔する子は、どの子だ〜!わるいこ、こんなこ、どんな子〜!」

えいっ!と布団と子供団子を、ゆっくり腕で払い避け、1人捕まえてぎゅーんと持ち上げて、脇にどーん。寝っ転ばす。

ぎゅーん、どーん。

「わるいこー、どんなこー!ロン〜!」

キャハ〜!!

ぎゅーん、どーん!

「わるいこー、サン!ニリヤ殿下!そして〜、セリュー!!」

キャイィ!キャキャ!


セリューは見てただけだったけど、ぎゅーん、と持ち上げられて、反り腰でぱふんとお布団に寝っ転ばされた。冤罪。

「わぁ!」

キャキャキャキャッキャ!


はぁ、しんど。ボサボサの髪にため息を吐くバーニー君である。頭ボリボリ。目をくしゅくしゅ。ふわぁう、まあ、ここで寝るには、ほどほどの時間が寝れたもんだろうか。


いつもながら、チリ魔法院長や竜樹達の無茶振りを、黙って受け入れるよりはこっちから飛び込んで、多少なりとも自分の考えも反映させて、捌くんじゃい!とばかり、活躍した後は燃え尽きて、竜樹と子供達の新聞寮へ来たバーニー君。

昨夜は後片付けに忙しく、朝ご飯を子供達と一緒にもらって、うまうま食べて満腹になったら、もう、ウトウトだった。


実家は商家、休みになると1人か実家の手伝い。店子達も合わせて、大勢でわちゃわちゃと育ってきた彼は、休日優雅なお一人時間を過ごす、という心境には、なかなかならなくて。

よく新聞寮へやってきては、美味しいご飯をご馳走になり、子供に紛れてお昼寝なんかをしているのである。


「どしたんですか、ちみっこ達。午前中は、押し花のお仕事じゃなかったんですか?」

「がんばった。」

「おやすみきゅうけいの!」

「ぽかぽかおひるね、バーニーくんとあそびたいの。」

「•••••••••。」


あー、とバーニー君は首元、襟から手を少し入れて、ぽりぽり。乾燥しているよね、季節が段々とね。

遊びたいのね、そうですか。

起きるかぁ〜。


遠くで、面倒を見ていたラフィネ母さんが、うくくく、と笑っている。

小ちゃな子達なのだから、集中力だってそれなりである。新聞寮に来た当初は、使命感をもって、そんなに思い詰めてやらなくても良いんだよ、って位だったのが。今はある意味子供らしく、頑張る時もちゃんとあるけれど、遊びながら、休みながらで丁度良い。

竜樹とーさは無理させない。特に遊び相手のバーニー君なんかいたら、小ちゃな心がそわそわしちゃって、気が逸れるのは仕方ない。


その竜樹はといえば、エステ組の住む、新しく造る寮について、サテリット商会のクレールじいちゃんと、真面目に座卓に資料を広げて、真剣に仕事モード、話をしている。オランネージュとネクターは、そのお話にふんふん、と、これまた真面目に参加してる、つもりである。

3王子は今日はお勉強お休み日。

そしてクレールじいちゃんは、ニリヤの平民側のじいちゃまなので、お仕事しながらも、優しい目をニリヤに向けている。


「遊ぶんですね。顔洗ってくるので、待ってて下さい。わるいこ、よいこ、どんなここのこ。良い子できますかぁ〜?」

「「「はぁ〜い!!」」」

「••••••。」


あれ、とバーニー君も気づく。

ニリヤと、サン、ロンも、あれれ、とセリューを見る。

もじ、もじゅ、と指と指をくにくにツンツン合わせて、お目々を落として。な〜んだか元気がないセリューなのである。


「どうしたんですか?セリュー。」

「セリュー、げんきない。」

「しょんぼりこ。」

ロンとサンが、ポムポム、とセリューに引っ付き、肩を叩く。

ニリヤが、あっ、と思い付く。

「セリュー、ししょうの、コップ。」


うん、とセリューはショボショボ。

「たつきとーさの、にじのコップ。ぱりんて。」

「あー、われたんだよ。」

「おっことした。」

「ちがんだよ、セリューは、おかたづけのだよ。」


うんうん。

「お片付けしようとして、割っちゃったんですね。」

うん、とコックリするセリュー。


「わるぎは、ないんだよ。」

「あやまった!」

「おてて、けがしてないかーって。」

わちゃわちゃ、説明してくれる。

バーニー君はさっさと食べてバタンだったから知らなかったが、そういえば、ガチャン!と何か割れる音がしていたかもしれない。


セリューは、ショボショボしながら、ポツポツ喋る。

「たつきとーさ、けがなかったら、いんだよ、て。おこらないかった。」

でも。

「きれいかったの。にじのコップ。とーさの。おきににり。」

もう、ないの。


ザラりん、と破片になってしまった、ガラスのコップ。虹色の7色ラインが、くるーりん、と捻りを入れて一筋、立ち昇る素敵なコップ。お店に納品に来た職人さんが、造るのになかなか技術が要ると笑っていた品だ。


竜樹とーさが、街に出掛けて、普段は子供達のものばかりなのに、珍しく気に入って買い求めて、使っていたもの。


子供達は、共同生活を送っている。

なかなか、自分だけのもの、を沢山は持てない。お皿も、コップも、お布団も、時には服さえ、下着さえ、共同で。

そんな中で、自分の!って大事にする、を目で見て触れて、見本になるべく、竜樹がまずは自分から、そして後で考えて子供達にもそれぞれに、何かしら、と。

とーさだからって、生活を楽しむを捨てないでいこう、将来の彼らの思い出に、引っかかるワンピースになるかも。楽しんで生きてくれる小さなもの。

そう、虹のコップを求めたのだった。


「さわるな!ってしたんだよ。あぶない!て。」

ロンが、短い人差し指を立てて、説明してくれる。穏やかな竜樹とーさが、大っきい声でセリューの手を、急いでギュッと握って止めたから、子供達もびっくりしたのだ。


うん、ガラスの破片は危ないね。

バーニー君は、ふんふん、と話を。お布団に胡座をかいて聞いてやる。

小ちゃい子組達は、その周りにチョコ、と座ってくる。


「きれいかったの•••。いいんだよって、ったの•••。でも、こわいおかお、してた。たつきとーさ、おこってるかな•••。」

セリュー、くしゅん。

視線を落として、手で顔を覆っちゃった。


ふーんぅ。

「みんなの竜樹お父さんが、そんな事で怒ったりはしないですよ。怪我が心配だっただけでしょう。たとえセリューが、生きてる虹蜥蜴を、竜樹お父さんのマントのポケットに突っ込んでも。きっと怒ったりはしませんよ。」

ふわぁう。大欠伸。

子供って、とっても些細な事で、傷つきやすいんだなぁ、なんて呑気なバーニー君である。大人だったら、すいません、で終わりである。何なら新しく、同じコップを探して買って、なんてできる。

でも、ちみっこらはまだまだ、やわこい心で生きている。


「にじとかげ?」

「あー、にわに、いるね!」

「おひさま、だいすきなんだよ。」

「バーニーくんとおんなしー。」


チョロりん。


目線の端、交流室の掃き出しガラス戸縁台の向こう。何かが動く。

布団干しの竿台の、土台にある石の上に、虹色。チョロ。


あっ

「にじとかげ!」

「とかげだぁ〜!」

わわわ、わぁ!

ガラリと戸を開けて、パッと駆け出す子供達。おいおい、とバーニー君も、サンダルに足をツッ通し、かっこからんこ、様子を見に。


「あっちいった!」

「まてまて!」

「とかげさ〜ん、こわくないよお。」

「きれいな、いろだねっ!」


石の下覗き込む。えっちら石をひっくり返す。追いかける。手を出して、パタン、パタンこ、被せてぴょこぴょこ。


「つかまえた!」

ニヒッ、と良いお顔のニリヤである。


あー。捕まえちゃった•••。

バーニー君、どうすべえである。

虹蜥蜴、もう寒いから動きが遅かったんだろうなあ。まぁ、子供達の動きも速くもあった。ちょこちょこ侮れないのだ。ラフィネ母さんや、エルフのマレお姉さんなんかは、もしかしたら、キャア!って悲鳴をあげるかもしれないな。


「あ、それよりもエクレさんとシエルさんですかね。多分、蜥蜴ダメですね。」

フードゥル国出身の元王女、しっかり者の姉エクレとうっかり者の妹シエル。今はせっせと押し花していて、こちらを見ていない。


「ちみっこ達、虹蜥蜴さん、かわいそうだからー。」


「とーさ、にじとかげ、ぽっけにいれてもおこらないかなぁ。」

「やてみる?」

ロンが、爆弾発言。

「とーさが、にじとかげ、おこんなかったら、セリューにもいくならない?」


いや、いくならないよ。何でそうなる。


「だよねぇ!」

「おこらないか、やってみる?」

「やってみるか?」


セリュー、そこは、「ううん、やらない」だぞ。バーニー君は自分で言った事だけど、思う。竜樹お父さん、流石にびっくりして怒るかもしれない。今、仕事してるし。本当には怒ってなくても、躾ってやつがある。


「•••そっかぁ。そっかなぁ。」


そっかなぁじゃないよ。


「やってみよっか。」

「うん!やろ、やろ!」

「おこるかやってみよ!」


ゆっくり、チョロロ、とニリヤの握った両手から顔を見せる虹蜥蜴。ちみっこ達は覗き込んで、つんつん、その滑らかな頭を触ったり、ジィっと見て、ふす!と鼻息吹いたりしてる。


バーニー君は。

「分かりました。上手くやるんですよ。」


面白いから。


止めないのである。





「じゃあ、個室にはロフトを造ってみましょう。寝るのをロフトにして、下を寛ぎの部屋にしても良いし、狭いなりに、お部屋を楽しく整えて、生活するのにね。」

竜樹がクレールじいちゃんと、色々な設計図を見ながら、これ!と選び出して赤鉛筆で印を付ける。


「ロフトって良いですなあ。食堂も、皆が思い立った時に食事作りが出来るように、補助がありながらも、生活がまるきり人任せじゃなく。竜樹様がおっしゃるように、自分で出来る事が増えると、楽しいっていうのも、分かる気がしますし、大人としての自信になりますなあ。」


ウンウンうん、と頷き合う。

ネクターも、そっか、と頷いていたのだが、そろり、そろりと近づいてくるニリヤ、サン、ロン、セリュー。そしてバーニー君に、んん?って、気づいた。

オランネージュは、何か起こりそう、ムフ。と笑っている。


そーっ。 そーっ。


「セリュ•「しーっ、ねくたーでんか、しーっ!」」


竜樹は、チロリン、とちみっこ達に視線の端っこを向けたけれど、子供達がわちゃわちゃして、竜樹にペとっと引っ付いてきたりするのは、いつもの事なので。

遊んでるんだなぁと無意識で、その感じを許し、受け入れ、普通にしていた。


そろり。 そ〜っ。


小さな手が、そろりと竜樹とーさのマントに近づいてくる。セリュー、ドキドキ。マントをチラリと捲るのは、ニリヤの役目である。

室内でもマントを着ているのは、クレールじいちゃんを迎えて外に出て、朝寒かったからでもあり。お仕事の話によってはこの後、外に出て行くので、脱ぐのが面倒くさく準備万端にしていたからだ。


ぴらり。


ネクター、むむぅ?と不思議顔。

オランネージュが、ぱく、とネクターのお口を塞いで後ろだっこに止めている。面白いから。


片手にギュッと握った虹蜥蜴、セリュー、力を加減してね。マントのポケットに、えいっと!入れた!


キャ! しーっ! パタパタ!

少し小走りで竜樹とーさから逃げて遠ざかり、セリューにロン、ニリヤにサン。そしてバーニー君。

斜めに顔を傾げて、だまだまになって、そーっと様子を窺っている。


モゾモゾ、もそり。


「ん?」


マントがモゾモゾする。ポケット。

竜樹は、んんん?と左のポッケを見下ろして、今も何か、生きてる!動いてる!なその中身を、おおお!?と驚いて、ぱふぱふ、と外から叩いた。

えーっと。


そろり。何が入ってるのか、分からないけど生きてる。正直、触るのはビビるよね。

手をポケットに突っ込み、そろ〜り。ん、ん、んん?とおっかなびっくり、ペタチョロリ、纏わりつく冷んやりした感触を感じつつ、出せば。


「あー。蜥蜴。わー!かわいい。」

ノロノロ、チョロ、と竜樹とーさの左手、乗っかってるのは虹色きらりの蜥蜴ちゃん。


ブッ!ククク、と笑うオランネージュに、抑えられてる、お目々まん丸なネクター。

ちみっこ達は、神妙な顔で竜樹とーさを、ししょうを、ジッと見ている。


「セリュー。」


びくん!

呼ばれて、セリューは、肩を揺らして。竜樹とーさの側に、てこてこ、と、恐る恐るやって来た。


「とーさ•••。」

「セリュー、これ、朝のコップの代わりかい?竜樹とーさにくれるの?」


うん。


えっ、そういう事だっけ?

とバーニー君は思うが、突っ込んではいけないのだよ。


「ヘェ〜ありがとう。これ、とっても綺麗な蜥蜴ちゃんだねえ。」

「にじとかげ、だよ。にじの、コップみたいか。」


「そうだね。虹のコップみたいだねぇ。」

チョロ、と竜樹とーさの動かす手の中を、くるりくると歩く蜥蜴ちゃん。ギラギラしてない虹色で、小ちゃくて、とっても美しいのだ。


「蜥蜴って冬眠するんだっけな。寒い外に出して平気かなあ。どこにいたの?」

「そとにいたの。」

「おふとんほしの、いしのとこ!」

「ぼくがつかまえたの!ししょう!」

「おこらないね、とーさ!」


竜樹はニッコリ笑った。

「怒らないよ〜。素敵な蜥蜴ちゃんを、見せてくれてありがとねー。さあ、皆で、蜥蜴ちゃんを外に逃してあげようか。とーさは、充分良く見たよ。蜥蜴は冬眠って言って、寒くなると、どっかに、もぐもぐ潜って動かなくなって眠るんだよ。邪魔したら、蜥蜴ちゃんも困っちゃうからね、放してあげようね。」


「はーい、とーさ。」

「かわいそっ、だからね!」

「ねむるのかあ。おそと、さむくない?」

「もぐると、あったかいの?」


それは、どうなのかねー。

この世界の蜥蜴ちゃんの、生態に詳しい人っているんだろうか。ちょっと興味に思ったバーニー君は、探してきてお話してもらいますかね、と心のメモに書いた。

竜樹が、不思議を、なんで?と思う心を育てたら、きっと楽しい、と言っていたし。自分も魔法院の所属で、そういうの気になるタチだったので。


カラりんこサンダル履いた竜樹と、ちみっこ達に加えてオランネージュとネクターも。蜥蜴ちゃんと別れを惜しみ、ちょいちょい、と触ったりして、放してやって。

ノロノロ、チョロリ。石の下に潜って消えた虹蜥蜴、なのに。


「キャア!」

「と、とか、とかげ!イヤァ!」


エクレとシエル。

いや、もう虹蜥蜴ちゃん、いないって。

掃き出し窓の端っこで様子を見ていて、何してるの?と覗いたエクレとシエルに縋り付かれるバーニー君である。

因みに、ラフィネ母さんと、自然大好きエルフのマレお姉さんは、蜥蜴ちゃん可愛い組でした。




「やっぱり怒りませんでしたね。竜樹お父さん。セリュー、納得しましたか?」


竜樹はまたお仕事に戻り、お布団をたたみながらバーニー君。ちみっこ達とひそひそ、お話である。


「うん。とーさ、おこってなかった。ありがとだって。」

「とかげちゃん、かわい〜ねー。」

「とうみん、だから、いじらないだよね。」

「バイバイした。」


セリューは嬉しそう。

虹蜥蜴の思い出と、虹のコップを割ったこと。小さな心に、ほわりと起こる、色々なことが、周りの大人に守られて、彩りになる。



「セリュー、割っちゃった虹のコップ、破片はどこにあるんですか?」


眉を寄せたセリューは、バーニー君を見上げて、応える。

「おだいどころの、もえないごみのとこ。さわっちゃ、メだよ?」

「私は大人だから、気をつければ、危なくありませんよ、セリュー。ねえ、そのコップの破片、私にくれませんか?」


コップ?われたの?

「どして?」


「グラインダーって研磨、削る魔道具があって、コップに模様を付けてる職人がいるんですけどね。そこに、破片を持っていって、割れた端の所を、危なくないように、丸く、上手に形にしてもらってね。」


箸置きとか。


「多分、あのコップ、虹の色のついた所を入れて見栄え良くすれば、素敵な箸置きになると思います。竜樹お父さん、喜ぶんじゃないですかね。そして、職人に頼むための、私への報酬は。」


虹のコップの箸置き、多分、幾つか作れるから、1個。

下さい。


「虹蜥蜴の、素敵な思い出を、貰いましたからね。皆とのね。」

可愛い蜥蜴ちゃん。マントでモゾモゾ、愛でて放してやって。


虹のカケラを。コロンとひとつ。


「うん!バーニーくんに、にじのかけら、あげる!」

「ぐらいんだ、たのむね!」

「しょくにんさん、すてきね!」


職人さんが素敵な訳ではない。

いや、職人さんは、素敵か。


セリューは指をパクッと噛み、嬉しそうに笑うと、バーニー君に抱きついた。

「たつきとーさの、にじのはしおき。すてきね、バーニーくん!」

ありがと!


「こちらこそ、素敵な思い出を、ありがとう。」


ちみっこ達と、バーニー君は、そんなこんなで、なかなか仲良し。なのである。


ガラスのコップのカケラな、虹のお箸置きは、綺麗な、丸をくにゃんとさせた楕円、カーブも美しくて、他に同じものが二つとない。

竜樹とーさの、普段のお気に入りな事も確かだが、バーニー君の、秘密のお宝箱の中にも。


ずっと、キラリと。

時折、開けては眺めて、嬉しくなるような、虹のカケラになるのであった。




そして今日も。


「バーニーくん、あーそーぼー。」

「「「あーそーぼ!」」」


ふわぁあ。

「仕方ないですねぇ。起きますか。さあ、遊びましょうか。」




リクエストありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
あけましておめでとうございます。 欲張りリクエストに応えてくださってありがとうございます! 小ちゃい子組のかわいいわちゃわちゃにバーニーくんが! 押し花のお仕事、休みつつ出来るようになったのですね…
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