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楽しく団欒

「王子達が、太陽と星と月の歌を歌うのは、決定かね?」


「そうですね。3人のハーモニーで始まる競演会、素敵でしょう?」


王様は、うむ、うむ。もぐ、もぐ。

王様一家と王様兄弟、チームニリヤの竜樹とチリとでの、夕食の団欒である。ミランは、今はカメラを持たず控えている。

「王様たち兄弟は、3人で歌を歌ったりした事はないんですか?」


ほくほくした芋を揚げ焼きにしてスパイスを振ったものに、シンプルな鳥焼き。両方をフォークに刺して、モグリと噛み締める。美味い。


「バラン兄上は、歌が上手だが。いや、どうだったかな。」

んむー?

明後日の方を向く王様である。


「3人で歌うということは、なかったね。将来に向けての学習もそれぞれ違ったし、やはり歳の差があったから、芸術の学びの時間も一緒ではなくて。マルサなんかは、歌うより剣術だったし。」

バラン王兄が言うのに、

「俺は戦いの前の歌なら歌えるんだが。まああれは1人では歌わないな。」

マルサがハグッと鳥を齧って応える。


「では、王子達から、一緒に歌ったり、学んだり遊んだりする機会を設けるのも良いですね。兄弟なんだし、後々助け合うにも、馴染みがあって良いでしょう?」

竜樹は、お上品に食べているニリヤ、子供にしては、の口元を気にしてやり、自分もパクッとカブの煮マリネを食べる。

「王子様たちは、歌うのどうですか?やだったりしないかな?」


「ぼくうたいたい!」

うん、ニリヤはそうだねー。


「私も、授業でも普段でも歌うことはないから、みんなで歌ってみたいな。」

オランネージュ第一王子は、経験はないが、乗り気だ。


「わ、私だって、歌える!」

ネクター第二王子が、焦ってカチャンとカトラリーを乱す。

「お行儀悪いわ。」

キャナリ側妃が、目もやらず注意する。ネクターは、

「ごめんなさい、母上。」目を下げてしょんぼりした。


まぁまぁ。まぁまぁ。


「食事は楽しくしましょうよ。わざとじゃないんだし、少しくらいお行儀が悪くても、話をしながらがいいですよ。」


食べる時は話をしない、っていう流儀の家庭も、俺の国ではあったと思うけど。大抵の家では、テレビなんか観ながら、あーでもないこーでもない、あの役者はどうだの、そういえばこの間の話は、だの、リラックスして団欒してるんですよ。


「友達の家では、観てるテレビで、恋愛ものの物語やってて、ちょっとエッチな場面になると、子供達に、隠れろ〜目を瞑れ〜って言って、コタツ、机ですね、その下に隠れさせられたって言ってましたよ。今は笑い話ですけど。」


「まぁ、ホホホ。えっちとは、どういう?恋愛ものの物語とは?」

王妃様、興味津々。


「ちゅっ、とキスするシーンとか、そのちょっと先とかですかね。ドラマや映画っていうのがあって、演劇と違って、ステージに立ってやるんじゃない物語がね、毎週。」

ちょっと観てみますかね。


「はいはいチリにお任せあれ。」


とはいえ、困った。恋愛もののドラマ、あまり竜樹は観ないのである。スマホで検索して、ランキングの上位に入ってるドラマを映してみた。

たぶん、子供にも悪影響じゃない、かな?


「まぁまぁ、まぁ!政略結婚で、愛情が芽生えるみたいなものかしら?この男性役者さん、地味な顔だけど、何だか魅力があるわ。女優さんも、とっても可愛い!」

続きが気になるわ〜。

王妃様が、続きを所望である。

そして、キャナリ側妃も、じ〜っと食事も止めて見入った後、

「この物語なら、観てもいいわね。」

ツンケンしながら、要求した。


また次回に、と約束をして。王子達子供に短くて、楽しい物語を、と、アニメの昔話を流す事にした。

結構、衝撃的な回もあったりするけど、この昔話。選んだのは大人しめのものにした。


王子達も、食事を終えてお茶を飲み、なんだかんだ言いながら、画面を見ていた。ネクター第二王子も、ほわぁとお口を開いたまま、落ち込みも消えたようだ。

良かった良かった。


「王様たち男性には、スポーツなんかいいですかね。今夜は長くなりすぎちゃうから、次回に、サッカーや、野球なんて観てみますか。」


ふむ、王様は顎に手をあてて。

「テレビの映像というものには、色々な種類があるのだな?」


「はい。この他にも、ニュースや、バラエティ、ドキュメンタリーや、」

「音楽番組!」

「そうそう。音楽番組、編み物や裁縫、家庭菜園や園芸など趣味の番組、勉強するための放送大学があったり、国会中継、国の会議ですね、それを放送したり。子供のための外国語や国語、算数や理科。芸術の番組、お笑いも。他にも朝から夜まで、途切れなく様々なテレビ番組は放送されていましたよ。」


「その全部をやるのは、大変そうだな。」


勿論、やれるところからやるしかない。

というか、竜樹がやりたいのはニリヤの番組なので、テレビ番組の様々な形を段々ととっていく内に、出来たものは手放して、メインは一本、残すようにしたい。

「最初から朝から晩まで流さなくてもいいですよね、広場大画面だし。出来たものからやっていきますね。」

王子様達も、良かったら協力してね。


「はーい。きょうりょく?いっしょ、つくる。」


「私も、テレビ事業に興味あるな。」


「私、私も!できる!」


「ありがとうね。王子様達。頼りにしてるよ。」


「ふむ、では、3人でまずは歌か。大丈夫、か?オランネージュ、ネクター、ニリヤ。」


「はい。」「はいっ!」「はーい!」

良いお返事です。


本当に大丈夫か、と何故か王様は、心配模様なのだった。そしてバラン王兄とマルサはクスクス笑っていた。

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