おくちがあいてる
『この世界って、都市から地方、地方から都市への情報が、届いていない事結構あるのじゃないかな?地方に、面白い事やいい情報が、埋もれてるんじゃないかな?って。』
『ヨーグルトは、美味しいですよね。お通じも、良かったんですよね、今日。お通じがいい、それだけで、こんなにも爽快です。そんな情報が、他にもあるなら、知りたいですねえ。』
『これが、自分達の、世界だ!って気がするでしょ。』
『ぼくも、うたいたい!このせかいの、おうたを!』
『国中の吟遊詩人、音楽家来たれ!この国の1番を決める、音の競演会、今秋、開催か!?ギフトの御方様、王子様方と歌を!?詳しくは、次の回のこの広場大画面で!乞うご期待!!!』
『郵便事業もあるよ!果たして娘は、離れた実家の両親に、格安で手紙を届けられるのか!?飛びトカゲの定期便、実現化なるか!?郵便局、各街に作られる!?私書箱って何か、詳しくは、次回放送で!』
『お問合せは、王宮商業部門出張所、広場各支店へどうぞ。』
「おお〜。派手に放送してるなぁ。」
みんな、ポカーンとして、広場の大画面を見詰めている。
広場には、日向ぼっこしている老人、出店の者、商人や下働き、旅行者、どこかへ働きに行く途中の者など、老若男女が行き交っていたが、放送の間中、ピタリ、と人波が止まった。
メルラが、絶対にニリヤ様のお歌発言は使うべき、と編集に熱を入れて作った、期待モリモリの、何だかお祭りとか郵便とかやっちゃうよ映像、今日初配信。
「みんな、おくちがあいてるよ〜。」
「そうだなぁニリヤ。みんな、初めて映像観ただろうからなぁ。」
チームニリヤは、初配信の様子を見にきている。映像は、何度も繰り返し流すのに間がないとウザいだろうと、音楽を挟もうか、という話が出たのだが、マルサが、「広場でやってる吟遊詩人が稼げなくならね?」と言ったので、無しになった。
10分に一度、繰り返される放送に、吟遊詩人達は、「競演会!出場、できたりするのか!?ギフトの御方様、ばんざーい!」と間をもたせている。さすがである。
そして、放送を観に、段々人が増えてきた。
走って観にきたらしい商人が、「郵便!?競演会!ふわわわ!」となって問い合わせ窓口で、いつ、どんな、ヨーグルトって何!?などと聞いている。ハチミツがけヨーグルト、試しに木のコップで販売してみているので、銅貨1枚で、大きなスプーン1掬い、氷の詰まった箱に埋まった、壺から出されて供されている。
お通じ•••と聞いて、薬みたいなものを想像した人が多かったようで、初めて食べた者が、「美味し!」と言うと、恐々ながら食べる者が増えた。
「折角のお出かけだから、ニリヤ、なんか出店で食べるか〜?」
竜樹の誘いに、ニリヤは、わーい!とはしゃいだ。
腸詰を焼いたのに、パンを添えて。辛子は大人たちだけ。簡単な物だが、パリッとした皮が美味しい。モグモグ、ニリヤも竜樹に、口の周りの脂を拭いてもらった。
ギフトの御方お助け部隊は、本当にお助けしてくれた。
情報だけの竜樹の案に、では競演会は秋の収穫祭の時に、あの会場で、良い席は高く料金を。
安い席も用意して。
画面?も広場で外に向けて流して、広場では、観客が何か食べたり飲んだりしながら観られるよう。
採算は、会場の観客からと、出店や商店から出店料を取ることに。
具体的にどんどん詰めていった。
テレビ放送事業については、まだ作り手が育ってないので、広場大画面で放送しつつ、毎日番組を放送する準備を竜樹の意見を聞きつつやり、準備ができてから個人のテレビを段々普及させる、という感じになった。
また、主要7都市で、この広場大画面放送をやるということで、チリはその準備と画面の設置で、ついこの間まで出張していた。今は、戻ってきて腸詰をパクついている。
郵便については、各部門の長たちが、ふわぁっと興奮し、郵便局は各地の冒険者組合と併設すれば建築費用が浮く、とか私書箱に着いた手紙を、取りに来てもいいし、近場なのだから配達する専門の冒険者を雇ってしまえばいいのでは、とかとか。
最初、自分の私書箱の番号を知らせるにはどうしたらいいか、というところでうーむとみんなで悩んだが、それも冒険者組合郵便局に頼んで、沢山番号お知らせ依頼をまとめて出して、お互い繋がるようにすれば、とか、冒険者組合郵便局に問い合わせる事もできるようにしたり、という案が出た。
郵便番号の事を話せば、あ、それで郵便局をNo.づけしてしまえば、やりやすいかも、と。竜樹とお助け部隊とは、プレゼン映像を観て活発に意見を出し合った。
「本当に、お助け部隊たすけてくれましたよ。」
竜樹が言えば、
「いえいえ、ギフトの御方様がおっしゃってくれたおかげで、国の経済も流通も、そして情報も、確実に活発化します!ありがたいです!」
握手、なお助け部隊であった。