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王子様を放送します  作者: 竹 美津
本編

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朝食を、みんなで


朝も次第にわちゃちゃ。

交流室の子供達は、慣れた様子で朝の支度。


まだねむねむの、始動が遅い子も、朝からトップスピードに入れちゃう元気な子も、竜樹とーさやラフィネかーさ、エタニテかあちゃやレザン父ちゃん、エルフのマレお姉さんやベルジュお兄さんに、トト、と側近く纏わりついて駆けてトイレ行ったり、ねむねむお腹にダイブしたりしながら。

ほらほら、起きて?と優しく促され、トイレ、洗顔、歯磨き、浄化にお着替え、布団畳みである。

ちなみに元王女エクレとシエルは、まだまだお世話する方になりきれていなくて、子供達にまみれて、洗面所の順番待ちで、わあわあとお話しなんかしている。大分朝支度も速くなったが、それでもまだまだ。

ツバメはもう、シャンテさんに抱っこされ、んく、んく、•••ケプ、とミルクに満腹。


ヴィフアートは、ボーっとしてまだ、掛け布を足に纏わせて、上半身だけ起こして、夢見る瞳で竜樹を目で追っていた。完全にハートな瞳である。

ーーーそうは言っても、恋情ではない。子供のように、庇護されたい欲というか、羽の下に入れてもらえて、ふくふくぬくぬくと、安心する父性への恋焦がれ。あんな傷しか生まない状況から、一度天国を味わったら、もう、なのだ。裏社会のボス、ミニュイの忠実な僕、彼の膝に擦り付いてホッとしていたシャトゥにも似た、自らがこれ、と認めた者への慕わしさだろうか。

ルーシェ達元花街組の女性達も、それが分からないではなかったので、微笑ましく見守った。


竜樹に。

「ほらほら、アー兄ちゃんも起きて、お支度、皆と朝ごはんだよ。」

なんて頭をサラサラ、と撫でられたヴィフアートが、ポポッとなって、ウン!と幼い様子で頷くのを見て、何だかニッコリしていた。


爽やかな、秋の空、朝。

お布団皆で協力して干して、なんてさっぱり。

サンダルかこかこ、歩き回る竜樹に、ヨイショと身の丈より大きな布団を引っ張って竜樹とーさにはいっと渡すジェム達に、教えてもらいながら、新鮮な空気を肺に吸い込む。


朝、早く起きるって、物理的に顔も洗うけど、気持ちも洗うようだなあ。


良い匂いの朝ごはんが届けられて、折り畳みの机を出して、椅子も。

三角巾を頭にキュと縛った、当番の子達が、またやる気で、うふふと笑ってしまう。


ふやぁ、ふにゃあ!

個室の方から、胸がきゅ〜ん!となるような、赤ちゃんの泣き声が近づいてきた。

「ああ、おはよう、コクリコさん。ルゥちゃん、えーんえーんか。」

「おはようございます!竜樹様。ええ、朝は粉ミルクにしようかな、って。ほらルゥちゃん、泣かない泣かない、待ってね今すぐね。」


びゅん!と朝からコクリコの父、ブレがミルクを作りに行く。

おじいちゃんとなったヴィオロ子爵ブレは、それはそれは、それはもう、カンパニュールゥちゃんを可愛がり、仕事そっちのけで、寮に何日も泊まって、お世話が楽しくて、なのだ。ちなみに執務は、コクリコの兄、プルミエールが、「ずるい!父上、俺もルゥちゃんに会いたい!」と喚きながらヒィヒィやっている。


あぁ、なんて小さな、赤ちゃん!

ルーシェ達は、はた、とコクリコと目が合った。


ニコニコ。

ニッコリ。


笑いかけてくれたから、笑っちゃう。

「おはようございます、はじめまして、ですね。私、コクリコと言います。あの、あの、私、落とし屋の、自称アリコ・ヴェール子爵に騙されてしまったのですけど、その、きっと、お仲間の方々かしら?」

ルーシェ達は、私達は元貴族なんかじゃないですよ、と悪あがきに言う気力を無くした。

だって、ふにゃにゃ!と赤ちゃんをよいよいしながら笑ったコクリコが、とっても壁のない、親しげな、そしてどこか痛みをーーーきっと同じ痛みを。含んだ眼差しで、こちらに語りかけてくれたからだ。


「ええ、ええ。そうなんですのよぅ。まったく私たち、馬鹿だったわねえ。私はルーシェ、はじめまして。可愛い赤ちゃんね。」

ルーシェが、しみじみ、フーッと息を吐いて言えば、うんうん、とコクリコも、そんな事ありませんわ!などとおためごかしを言わずに、あはっ、と。

「私も馬鹿で幼い、そして何も知らない少女でしたわ。全く、全く、酷い事でした。これからは、私達、強く、生きなければね!竜樹様達がついて下さってますから、きっと良くなるわ!お歳からいえば、皆様がお姉様方ね。よろしくお願いします。一緒に、頑張りましょう!」


母の笑顔とは、こんなにも、切なく温かいものか。ルゥちゃんを見せながら。

「この子は、カンパニュールゥって言います。ルゥちゃんよ。よろしくね〜って、ルゥちゃんお腹空いちゃって、えーんえーんね。」


「うふふ。可愛いわ。私たち、あなたの出産ドキュメンタリー観たわ!素晴らしい番組、よく覚悟なすったわ!赤ちゃんが産まれた事は、酷い中にも、良い事だったわよね。私達大人が、そうして、いかなくちゃね。」

「ええ、ええ。産まれてみたら、可愛いのと大変なのと、わーっ!って感じ、番組では愛せるかまだ分からない、なんて言ったけど、愛してなくて、こんなにか弱い、けどしっかり生きてる赤ちゃんを、育てられるものか〜っ!って感じよ、ふつふつと沸いてくる何かが育っているの。うふふ!ルーシェさん、そして後の方は?お名前教えて下さる?仲良くさせてくださいな!」

「もちろんよぅ!仲良くしましょぅ!」

「私も、ぜひぜひ。ミィルよ。ルゥちゃん、触ったらまずいかしら、赤ちゃんまだ弱いのよね?」

「浄化だけしていただけたら、大丈夫よ。ミィルさん、よろしくね!」

「リュネルよ。タカラさんて言った侍従さんが浄化できたわよね。わ、私も、ちょこっとだけ、触らせてもらっても、良い?」

「ええ、良いわよ。リュネルさん。メガネ好きなのよ、赤ちゃんて。ちょっと光るでしょ。ツバメくんとか、握って取っちゃうのよ。」

「まあ!好かれたら、嬉しいわ!」

「私も、ほんの少しだけ。クラリスよ。」

「クラリスさん!ええ、もちろん。赤ちゃんみたいなほっぺね!可愛らしい方!ルゥちゃんとお揃いね!」

「私も〜!レガシィよ。コクリコさん、お胸がとても大きくてらっしゃるわ!やっぱり、お乳をあげてらっしゃるの?」

「ええ、ええ、そうなの。こんなに大きくなるなんて、思ってなかったわ!レガシィさん、女性の身体って、自分でも、不思議ね。竜樹様によれば、お胸の所で、血がお乳に変わるんですって。ほんと、不思議ねぇ。」


賑やかにしていた女性達より一歩引いて、ヴィフアート、アー兄ちゃんが、口を挟めない感じでコクリコとルゥちゃんを見ていた。その手はジェムと繋がれていて、何となくジェムは、アー兄ちゃんを、面倒見てやらなきゃな!認定してるらしい。

コクリコが気づいて、そちらの方は?と水を向ける。

ヴィフアートは、躊躇いながら。


「初めまして、コクリコさん。私はヴィフアート、アー兄ちゃんって呼んで下さい。ルーシェさん達のいた店で、雑用したり、その、身を売ったりしていました。竜樹様にお願いして、あんな所にいたくなくて、連れてきてもらったんです。わ、私は赤ちゃんを触れるような綺麗な者ではありませんが、きっとお邪魔はしませんから、ここにお仲間でいさせてください。」


ぱち、ぱち、と目を瞬いたコクリコは、どこか傷ついているヴィフアートが、何だか小さな子供のような気がした。

誰もが赤ちゃんだったのだ。子供だった。お母さん心は、周りの心かわゆい者達に、こんなにもふんだんに発されるものだろうか。コクリコは自分でも、出産でどこか肉体も精神も破れた後の、自分の変化していくこころもちが不思議である。正直、身体が辛くて、夜間の授乳で眠いし、皆に優しくする、なんて、余裕はないのだけれど、でも。実際会ってしまえば、ああ、ねえ、と頷きあうような、親しいような、人に一歩近づいた、そんな戦友のような気持ちもするのだ。


ニコッと笑って、泣いてるルゥちゃんの手を握って、フリフリ。

「アーお兄ちゃん。よろしくねー。触ってくれないなんて、さみしいわ、ってルゥちゃんも言うわ。仲良くしましょ、お仲間ね!」


目をくり!と大きく驚かせたヴィフアートに、ジェムが、良かったね、アー兄ちゃん、とニコニコして繋いだ手を揺らした。


何はともあれ朝食である!

サッサと食べて、ジェム達は新聞売り場に行かなければならないのだ。

今朝の献立は、目玉焼きベーコンチーズトースト、野菜スープ、バナナ、ホットミルクである。


コクリコの父、ヴィオロ子爵ブレは、レシピ通り熱湯で作り、温度を人肌に冷ました小さな哺乳瓶を、そそくさと両手に大事そうに持ってきて。最初からぬるい湯ではダメなんですか?と問うた彼は、竜樹に、ミルクの中の悪いものを消毒するために、熱い湯が、必要なんですよ、と言われて大きく頷いた。こんなに小さなルゥちゃんに、悪いものなんて、あげさせられない!レシピには理由があり、浄化でいけるのか?でも、使う人が浄化できてもできなくても、安全な方法を普及させないと、と言う竜樹に、また話を聞かねば、と思っている。ブレも、パパズクラブに、当然入っている。

コクリコを椅子に座らせ、授乳をさせ始め、自分はコクリコとの2人分の朝食を貰いに、トレイを持って配る列に並んだ。甲斐甲斐しい。


皆、朝食の準備が出来て、ふいん!と他の教会孤児院に繋がるモニターが灯ると、画面越しにも、竜樹お父さん〜おはようー!と子供達が朝食の支度をしていた。


「はい〜おはよう、皆、こちらではもう食べるね。皆も準備できたら、食べてね〜。では、いただきます!」


竜樹とニリヤの所には、おままごとみたいな小さな食器セットにトーストの切れ端などが乗り、なんともかわいい様子で、何の遊びかしら?とルーシェ達は、目新しいものばかりに胸をワクワクさせて、朝食を食べ始める。

小さな食器に少しのお裾分けご飯は、ニリヤの亡くなったお母様のリュビ妃と、赤ちゃんのアンジュちゃん、そして夭折したジェム達の仲間クラージュ、竜樹の子供になる予定の魂、の分の、いつものお供えである。


昨夜、夜中にミルクと焼き菓子をもらったというのに、朝、何となく食べられるなあ、なんてモグモグ。布団干しなどで身体を動かして、朝の目覚めのスイッチを入れたからだろうか?

量は食べられないから、と小盛りのそれを、ルーシェ達は、口に新鮮に、美味しく食べた。


「オランネージュ、ネクター、ニリヤ達は、今日はお勉強はない日か。じゃあ、ファング殿下や、アルディ王子達と遊びに行くんかい?」

「うん、ファングがもうすぐ、ワイルドウルフに帰っちゃうからねえ。遊びたいけど、ファングは、出産ドキュメンタリーの出演の、レポートをお父様やお母様へ提出するのに書かなきゃなんだって。寂しいから、私たち皆で話し合いながら、寮で書くんだ。」

オランネージュが、さくりモグモグ、とトーストを齧る。

「みんなで、モグ、ぅかくー!」

ニリヤは意気揚々。

「ファング帰っちゃうのかぁ。さみしいな。」

ネクターは、スープを飲みながら、ちょっと切ない顔をする。

ファング王太子も、悲しそうな顔をして、だけど帰らない訳にもいかないと分かっているのだろう。

「また•••来たいな。」

ヘニョん、と狼お耳をヘタらせた。

弟のアルディ王子は、眉を寄せて、気持ちに寄り添うように、お尻尾をファング王太子にくっつける。


「そうだよ!また来れば良いじゃない?」

良い事思いついた、とオランネージュが細いニッコリ目になっている。

んん?と竜樹は思ったが、そうそう、オランネージュは、割と悪いやつ(ほんとに悪い事はしないけど)なのだった、と見守る。


「私たち、7日に2日、お休みしてる、って言ったろう?ジェム達も仕事をそんな風に休んでる。ファング達だって、普段はお勉強や、お国の子達と仲良くしたりして、頑張ってさ、お休みの2日は、こちらのパシフィストのお国に、竜樹のお仕事を間近で見るためにー、って、来れば良いじゃない?転移魔法陣があるんだから、出来ない?」

ムフフ、とオランネージュが企む。

あっ!とネクターが。

「そうだよね!転移魔法陣、よくつかう人は、定期券をはっこうする、っても言ったよ!お安くこられるじゃない!」

ネクターが、ピピン!と閃いて。

「まとめて、おとく!」

ニリヤもニッコリ。


「兄さま、私とこれからも一緒に、パシフィストで番組も、ずっと出ましょう!アンファン!お仕事検証中!の、王子チームとして!」

アルディ王子が、ガタン!と立ち上がって、片腕を振り上げてお尻尾をブンブンした。ニッコニコだ。


ファング王太子は、じわ、と感動して。

「うむ!そ、そうだな!お父様とお母様にお願いしてみよう!そうと決まれば、こちらに来る事が勉強になる!と分かって貰えるように、レポート、頑張らないと!!」

ふふ!と笑って弟アルディ王子に、ペトッ、と頭をくっつけて、ブンブン尻尾を振った。


ウンウン。よきよき。

ファング王太子が定期的にこちらに来るようになれば、仲良し達も楽しくお勉強に遊びにと、落ち込まず、これまで通り頑張れるだろう。さよならもお勉強だけど、さよならしなくても良い方法を考えられる、それも無理のない方法で、というのは、一歩成長できてるかな、と思える。

竜樹は、この王子チームが素敵だな、とも思っていたので。


「じゃあ、レポートを頑張って書いたら、最後に俺も、ファング王太子が時々来てくれたら、番組にも良いし、王子達も頑張れるし、アルディ王子も頼り甲斐があって嬉しいようだし、ファング王太子にも良い影響がありますよ、って添え書きしようね。」


「本当!?竜樹!」

「竜樹様、ほんとに?」

やった〜!!


朝から元気な王子達に、ジェム達も、良かったね!これからも一緒に、遊べるじゃん!わーい!と喜びの様子であった。仲良し、いいね。


「今日はこれから、ロテュス殿下が来る予定だよ。ルーシェさん達エステ組と、アー兄ちゃんは、ご挨拶ね。」

竜樹が、食べ終わった器を、片付けながら。


ロテュス殿下。どんな方だろう。


「ししょうのはんりょなんだよ、ロテュスでんか。」

ニリヤが、親切に?教えてくれる。


えっ。


「えっ?」


ルーシェ達もだが、ヴィフアートが、衝撃!な顔を。


ラフィネが補足する。

「ロテュス殿下は、あー、あの、私と竜樹様が添った後、エルフのまごころを飲んで長生きになった竜樹様を、お支えしてくださるし、子供達の行く末を見守るって言って下さって。その、今は子供だから、丁度私と入れ替わるみたいに、竜樹様の伴侶になる予定の方なのよ。」

別に浮気じゃないんだわよ。


何となく言い訳チックな説明に、ええ〜っ?!となりながらも、なるほどと納得のルーシェ達だが。


むーっ!


ヴィフアートは、この寮に来てから、初めてと言える怒りの表情で、ムスッ、と、トーストの最後を、パクリとした。


オランネージュが、それを見て、ムフフ、と面白く思い、今日は寮にいられて良かったな、とニヤニヤしたのは。

竜樹はチラリと横目で見ていて、ヴィフアートにも、オランネージュにも、仕方ないねぇ、ふー、のため息であった。




やっと投稿できました。

読んで下さってる皆様、ありがとうございます。

ロテュス王子にはまだ会えなかった!すみません。


名前がたくさん出てくると読みにくいよ!ってお手紙のコーナーで言って下さってた作者さんがいたけれど、なのに、沢山人が出てくるのを抑えられないよ。うう。

ブックマークが。ふーと増え、そして減り、またたまに増え、減り、とビクビクしたりしてるんだ。まあ、読者さんを数でばっかり見たくないな、とも思いますが。

視点も色々変わるし、読みやすいかどうかといえば、あまり読みやすいとはいえないのだろうなあ。視点は、色々な人が、色々な思いで存在していて、生きてるってお話を描きたくて、どうしてもなっちゃうのです。

まあ、だけど、そんな難がありつつも、気に入って下さる方もいらっしゃるのです!

がんばる!


なるべく、名前だけじゃなく、こんな人だよって書くようにしたり、視点も分かりやすく誰の〜、って書いたり、これからも工夫してまいります。自分の思ったお話しか書けませんが、がんばりますので、どうぞ良かったら、これからもよしなに。


先程、減ったブクマにギャン!とショックを受けた後、でも、頑張るには〜、と色々かんがえた竹美津より(^^)


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