表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/683

なわとび

メルラはあれから、夜にもかかわらず王妃が王宮付きの医者を呼んでくれ、診てもらったそうだ。


「更年期?に、詳しいお医者様を紹介してくださるそうですし、お話しもして、気持ちが安心する、お薬も頂いたんです。私、母が早くに逝ったものですから、ある年齢になってくると女性に嵐が沸き起こる事がある、なんて聞ける人がいなかったです。」

だから、マリコ様とお話しさせてもらって、良かった。随分と気持ちが柔らぎました。

しみじみと話した。


竜樹達もあれから、更年期についての情報をスマホで検索して、対処法を学んだ。付け焼き刃だが、知らないよりはいい。そして、男性にも更年期があると知って震え上がった。


「ストレス、嫌な緊張状態がずっと続くの、ダメだね!美味しく楽しくご飯を食べて、運動もして、休む時は休み、ホワイトなチームでやっていきたいと思います!」


うんうんうん。


「メルラさんもルディさんも来てくれてありがとう。ニリヤもご挨拶だよ。」

「ニリヤです。こにちわ。」

「わ、私はチリでーす。テレビ番組制作の、技術担当でーす。」


チリは、もはや竜樹達の部屋に泊まり込んでいる。ソファが寝床。ふかふかで、毛布もあって、快適だ。


「テレビが普及したら、更年期とかの情報も、情報番組でやったら良いのかもしれないなぁ。メルラさんみたいに、経験者が身近にいなかったり、いても職場で聞く雰囲気じゃなかったりして、情報が入ってこない人もいるかも。」

「それは、凄くありがたいと思います。私も、先輩方はいたし、聞けば教えてくれたと思うのですけど、勇気が出なくて。今となれば、早く聞いておくんだったと思うのです。」


なかなかプライベート、話せないこともあるよね。


「メルラは、ニリヤ様の事で、凄くイライラしてたんです。それが解決して、良かったなと思っていたのですが、元気がなかなか出なくて。私も、メルラの悩み事を、今回知れて良かった。それに、ニリヤ様の、お力になれる、お仕えできるのも、嬉しいんです。」

ルディが、ニリヤを、目を細めじっと見る。


「私も、何かしたかった。自分達だけで終わるんじゃない、何かのお手伝いを、してみたかったんです。だから、ニリヤ様のお話しがきて、嬉しかったです。」


「おかしのじじょさんと、ごえいのひと?」

「メルラとお呼び下さい。」

「私も、よろしければルディと。」


「めるらと、るでぃ。いっしょ、いてくれるの?みんな、いっぱい、いっしょね?」


ニリヤは、ルディの手をぎゅ、ぎゅ、と握ると、照れて、竜樹の後ろに隠れた。

ルディも照れて、ふ、と笑った。


「賑やかで良いなぁ。」

竜樹はニリヤの頭を、ワシワシ撫でた。


「あとは音楽か。王妃様の紹介待ちだなー。」




「ふっふふんふんふ、ふーん♪」


時間があるから、遊ぼうか。

いつまでに、これをやらなければ、と決まった仕事のない竜樹達は、庭に出ていた。長い縄をもらって、縄跳び。

ニリヤは、初めて縄跳びするので、1人用の短く切ったので、パッタンこ、パッタンこ、縄をまわしては前に進み、前に進みしている。長縄跳びするぞー、竜樹がみんなを集め、チリとタカラが大きく縄を回す。

スマホで音楽を流してノリつつ、たん、たん、たん、と回る縄に入っていく。


「うわあ!すごい!はいった!」


ニリヤもおいでー。

ゆっくり、ゆーっくり回して、せー、のー、でー。


ぴょん。 ピョコ。 ぴょん。


「キャハ!ハ、ハハ!」


「縄で、こんな事、できるん、だな!」


1人でストイックにピュンピュン飛んでいるマルサ。顔はボクサーの特訓だが、口がニマっとしている。

身体動かすの、気持ちいいよね。

ミランが長縄跳びにカメラ回しながら入ろうとして、びたんと縄が顔面に当たった。


「あ〜面白かった。」

ポッチリ、スマホの音楽を切る。


「音止めちゃうの?もっとその板で、音楽を鳴らしてくれないかい?」


ん?


にこにこした、プラチナアッシュの髪色をした、夢みるようなおっとり垂れ目のおじさまが、ベンチに座ってこちらを、見ていた。頬に手を当て、上気した様子で。


「不思議だね、板から聞いたこともない音楽が聞こえてくる。音そのものの質は、ちょっと鋭い感じだけれど、確かにきっかりと聞こえてる。もっと聴きたいな。」



「バラン兄上。いつの間にこちらへ。」

王妃様が紹介して下さるのではなかったのですか。


マルサによれば、この人がバラン・エトワール、王兄なのだと。


「だって、音楽が必要だっていうじゃないか?そうしたら私の出番だろう。王妃様のお手を煩わさなくても、会いに来たよ。」

どこで演奏すれば良いのかな?それとも楽団が必要?何をしたら、その板でもっと音楽聞かせてくれる?


ニコニコ、ワクワク、竜樹の手の中のスマホを覗き込む。


竜樹は動画サイトを開いて、流れるがままに色々な音楽を流してみた。

熱心に見つめ、待って待って、と言うと、先程まで流れていた曲を歌い出した。

朗々と響く、甘い声。


「おうた、じょうずね。」

「リサイタルだな。」


歌いきり、どう?歌えてた?ふふふと腰に腕をやって、ドヤった。


「凄く斬新な曲だね!今までのこの世界に、なかった曲だ。興味深い!もっと聴きたいな。この板くれない?」


「それはダメです。」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ