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ぎゅー

『身体が妙に暑くてほてったり、イライラしたりはしない?メルラさんておいくつ?』

「42です。夕方になると、熱くてぼーっとしたりはします。イライラは•••ニリヤ王子様が虐げられていた時は、しょっちゅうでしたが、今は大丈夫なはずなのに、もやっとした気分です。」


えっ 見た目若い。30代かと思った。

竜樹は、女の人って見た目じゃわからないなー、と思う。しかし口を挟まない。ここは、男は話を聞くのみである。


『私はお医者さんじゃないから、ハッキリは言えないけど、早めの更年期にかかってるかもしれないわね。一度、女性の更年期に詳しいお医者さんにかかってみるといいかもよ。そちらでも、あるのかしら、更年期って概念。』

そういえば、私の母なども、調子が悪いと言っている事があったわ。王妃が思い出し、言葉を添える。


『歳をとれば、女性の身体も変化して、不調も起こってくるし、それに加えて、子供の事で悩んじゃったのね。原因は一個じゃなくて、幾つも重なっていたりするわよ。一つ一つ、解いていきましょうね。』

「はい•••。」


結婚してない友達に聞いたのだけど、ある年齢になると、やっぱり、何だか後に何かを残したいというか、子供周りや未来に関係する事に携わって、何か貢献したい欲求って、出てくるんですって。私たちの場合は、私の身体の事情で、若いうちから子供ができないのが分かっていたから、もう子供は養子で貰おうって決めていたのよね。


自分の事は、先が見えてきて、生活も落ち着いて。満たされたとなったら、そうして周りが子育てで未来に向かってる中にあったら、次に出てくるのは、自分も何かやりたい、って気持ちかもしれないわ。


『メルラさんは、それが暴走しちゃいそうで、怖いのよね?』


「子供は可愛いんですけど、もう、何だかぎゅーっとした気持ちになるんです。よその子供を、奪い取りたい気持ちになったりもします。自分の気持ちが荒々しいから、子供の側に寄りたくないんです。壊してしまいそうで。」


『あらーそれは困ったわねー。』

でもね、そしたら、テレビの件は、良いかもしれないわよ。


壊しそうな気持ちを、ただ我慢して爆発を堪えているのじゃなくて。可愛いものを、こんなに可愛いんだ、ってみんなに見せる仕事でしょう。

直接面倒をみてるのは竜樹なんだし、程よい距離感で、関われると思うわ。

それに。


『意外と子供って、荒々しい愛情ぶつけられるの、大丈夫よ。物理的にぶったりしちゃダメだけど、子供の生命力って、物凄いんだから!都合よくいい子でいてくれたりはしないし、はっとする事はいくらでもある。子育てって、必ず誰でも振り回されるの。メルラさんだけじゃなくて、竜樹も失敗する事があるでしょうけど、周りにサポートして貰って。軽く接して、分かっていくのもいいかもよ。メルラさん、子供と接したこと、あまりないのよね?』

「はい。だから加減がわからなくて。」


因みに、独身の友達は、1人親家庭なんかの、貧困で困ってる子供達にご飯を食べさせる事業に、お金を援助していたわね。友達の子供を可愛がったり。


遠く関わるのでもいいのよ。

身体を大事に、出来ることをやれば。


それから、マリコ母とメルラは、長く何事かを話し合っていた。ルディは黙ってメルラの背中を抱いていた。


王妃は更年期のサポートについて、これから調べなきゃ、と意欲を燃やして年配の侍女達に話を聞いていたし、竜樹達は、寛いでお茶を飲んでいた。

ニリヤとオランネージュは、仲良くおしゃべりをしている。文字の基本表の歌を作ったのだと、一緒に歌ったり。


『ニリヤくん。ニリヤくん。』

「はぁい。まりこちゃん、よんだ?」


『お願いがあるの。』


ニコニコと、マリコはニリヤにお願いをした。


『メルラさんに、ぎゅーさせて欲しいの。どうかしら?』


「ぎゅー?」


メルラは、片手でハンカチを揉み、スマホを竜樹に返して、躊躇いがちにニリヤを見た。


「ぎゅー!」


短い腕を広げて、ニリヤはメルラにトコトコ寄っていった。

しゃがんで、それを受け止めて、メルラは腕の中、小さな身体をぎゅーっと抱いた。

しっかりとして、温かい。ふん、と吐息が髪にかかる。

手も何もかも小さい、頭も。

手応えがある。生きている。


ぎゅーっ。


『壊れはしないでしょ?』


「はい•••。ありがとうございます、ニリヤ様。」


編集の件、ルディと相談して、考えてみます。


メルラは言って、この場はお開きになった。




次の日。

「喜んで編集の仕事を受けさせていただきます。ニリヤ様を、ルディと一緒に、盛り立てていけたら、嬉しいです。」

と。メルラとルディが揃ってやってきた。


編集と護衛の2人が、チームニリヤに増員された!



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