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王子様を放送します  作者: 竹 美津
本編

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420/692

俺って昔やんちゃでさ


「あら、そうなの?あの、私の家の庭師のじいやはね、肩の後ろの所が、左と右で、違う風に盛り上がっているの。そうなのね?って私、不思議に思って聞いたら、にんげんは、左右が同じようにみえるのだけれど、皆どこかしら違っていてね、腕の長さもピッタリやると違っていたりするんですって。じいやは、それが、珍しくはっきり出たのね。貴方もきっと•••。」

「だーっ!!!俺が背筋が丸まってようが、なんだろうが、お前には関係ねェだろ!身体の不具合とかじゃねえの!!わざとやってんだよ!それよか!!」

マテリアの、えーと、えーと、と言葉を探してのお喋りは、ガーティを慮って早口に。皆だって曲がってたりね、って気を遣ってくれてるのが、カン!と触って。ガーティはお怒りモードになった。


チグハグな会話、女の子達を、護衛も、お客さんも、大丈夫かな?って見守っている。


「まあ!わざとなの!うふふふ!街では、背中を丸めているのが、カッコいいの?」

「ま、マテリア様、マテリア様!」

ニコニコしているマテリアに、ひそそ、と青ざめたリーヴが、クーランと寄り添って手を繋ぎ、注意喚起をしようとするが。


「当たり前だろ!俺はカッコいいに決まってる!てか、ウゼェガキだな!いいからその、料金箱をコッチに寄越せ!場所代だ!!無断で俺様の庭で商売するなんてぇな、許されねぇんだよ!」

ぬん!と腕を組み仁王立ち、威張るガーティの横で、ポワンがヘコヘコと。

「払うものさえ払ってくれたら、すぐ!すぐどっか行くから!頼むから大人しくお金を渡してくれない?お嬢ちゃん。」

ペシン!

「イタ!」

頭を叩く。

「何で下手に出てんだよお前は!」


きょと、とお目々を大きく見張る、そしてリーヴの差し出した手を、ふ、と握るマテリアである。

何でお金を?場所代?あれぇ?おかしいな。

「冒険者組合には、許可をとりましたわよ?無断じゃありませんわ!こんな事もあろうかと、エクレが聞いてくれましたの。うふふ、賢いでしょ!安心なさって!」


「うふふ、って、あー!!あのなぁ!!話が通じねーな!!俺らは悪い奴らなの!!そんで、金を寄越せって言ってんの!お前らが稼いだ金が目当てなの!!いいか、渡さなければ、俺の蹴りが炸裂しちゃうかもな!怖いか!怖いだろ!ギフトの竜樹に、こわ〜い、たすけて!って言ってもいいんだぜ!」

まあ、何も出来ないだろうがな!

くっ、くくくく!

口の端をにゅい、と上げて残酷に笑う。


わるいやつら。

「お金がないと、ご飯食べられなかったり、しますの?困っていたりするのかしら。」

つんつん。袖を引っ張る。

ひそ、ひそそ。リーヴはお父さんに聞いて知ってるのだ。

「•••マテリア様!こういうの、みかじめ料って言うんです!悪い奴らが、乱暴しない代わりに寄越せ!ってするの!逆らわない方が良いわよ!大事なお金だけど、怪我やなんかに代えられないから!•••ただ、」

「ただ?」


「•••値切りましょ!」

ニン、とリーヴが腹黒顔で笑った。

見回りの兵でも呼べば何とかなるが、目をつけられたら、嫌がらせとかもされる。安いなら、出費だけど、払ってしまう方が良い事も。

正しいお金ではないけれど、自分を守って生きていくには。

だけど、だけど。言いなりの値段は口惜しい。


「そ、そうなのね?乱暴な方なの?困ったわ。竜樹様に、助けてって言ったら、本当に助けて下さるかしら?」

「どうかなぁ?竜樹様は、私が困った時も助けて下さったけど•••。」

「私の時もよ。」

マテリアとリーヴとクーランは、ひそそ、と顔寄せ合って真剣に話し合って。


「竜樹に助けてって言って良いの?」

パン!とシエルが、ガーティに対抗するかのように半目仁王立ちで、ムン!と返す。

ひそひそ相談してたマテリア達は、あ、とシエルを見る。

「そうね。私たち、冒険者組合に許可とったのだもの。大事な稼いだお金、渡せないわ。」

エクレも、ぬん!と胸張って。

「あのあの!払うわ!払うけど、そうよ、竜樹様とお話できる権利を貴方に売るわ!だから、それと、差し引きで、銅貨5枚でどうよ!?」


頼れない、世慣れないお姉さんズのエクレとシエルを遮って、リーヴが前に出て、あわあわと提案した。さっきから、電話してばっかりで悪いけど、想定外の事ばかりだから、仕方がない。


「•••あぁ!?た、竜樹の野郎を呼んでくるとでも言うのかよ!」

ガーティは、嫌がらせする気は充分あっても、本当に竜樹と話が出来るとは思っていなかった。だが、だがしかし。

話せるのか。会えるのかな。

どんな奴かな。テレビで見たみたく、地味で、ぼんやりした喋りの奴かな。俺と話すかな?


ぶるるる!顔を振る。芽生えた不安を弾き飛ばす。

会ったらガツンと言ってやりたいな!!

俺たちは立派に悪でやっていけてんだ。手出ししてくんな!

うざ絡みしてくんな!って。


「リーヴちゃん、竜樹に任せたら、銅貨もきっと払わなくても良いわよ!」

「そうねそうね!電話してみましょうよ!」

謎の信頼感。エクレとシエルは、普段から竜樹の大船に乗っているので、頼ってヨシと頷いた。


「ヨーシ、その権利、売ってもらおうじゃん。呼んでくるなら早くしろよ。」

「ヤバいよヤバいよ!本物のギフトなんて!」

ペチ!頭を引っ叩く。

「イテテ!」

「ウルセェ!黙ってろ、ポワン!」



その頃、竜樹はジェム達に呼ばれて、ロテュス王子に転移を頼み、布屋プティフールにいたので。

モニタースペースでも女の子チームを見ていなかった。ヤバい、と各モニターを見て突っ込み所を逃さないようにルムトンとステューに教えてたスタッフは見ているのだが、逆にアクシデント、繋がない方が良いのか?!と冷や汗、ジッと硬直。


ピッ、ポチ

トゥルルルルル

『はいもしもし竜樹です。』

「あ、竜樹様ぁ!リーヴです!みかじめ料の代わりに、えーと、あんた名前何て言うの?」


何だ!?小さな二つ折りの魔道具から、声がする!?と驚きのガーティは、つい素直に名乗った。

「が、ガーティ。」

「ポワンだよ。」

何でポワンまで名乗るんだよ!

ペチ!「イテ!」


「ガーティ、ガーティね。その、竜樹様とお話する権利を、みかじめ料の代わりに、ガーティに売ったの!ごめんなさい、助けて欲しいの。私たちが稼いだお金、とられないように、少しだけ話してやって欲しいの!」


モニターは見ていなかった竜樹だけれども、あ、なんか、女の子達絡まれてんのかな、という事は分かったので。クレール爺ちゃん、スフェール王太后様、分離が使えるピティエの従兄弟、ヴェール侯爵家アトモスを、布屋プティフールの裁断台で。モティフ親父さんと奥さんフィルルの、こんな布あるよ話でお任せしておいて、ちょいの間、お話でも何でもしよう、と竜樹は木の丸椅子に、ふっかり腰を落ち着けた。

今日はあっちこっち、忙しい竜樹である。


『良いよ。お話、しましょ。ガーティに代わって下さい。』

「はーい!」


竜樹に任せておけば安心である。

リーヴもホッとして。ちょっとガーティに電話を渡す時、近づくのは怖かったけど、トトト、と小走りに手を伸ばして渡して、素早く女の子チームが集まってる所に戻って、固く寄りあった。


ガーティは携帯電話を、ジッと見て、顔の前に持ってくると。

「た、竜樹かよ?」

と、思ったより不安げな、小さな声で話しかけた。


『はーい竜樹です。ガーティ?男の子かな?何話そうか。みかじめ料とか、取ってんだって?』

「わ、悪いかよ!!」

落ち着いた声に、何故か咎められた気がして、カッと抵抗感が高まる。

「俺らはずっとそうやって生きてきてんだ!悪を知った気になりやがって、やらしい本とか映像の仕事なんかで、誤魔化されないからな!俺は!アンタウゼェんだわ!ワルの事、本当になんか分かってない癖に!!」

ギャンギャンギャン!


神様とも話す竜樹は、ガーティを恐れる気持ちは別に無かった。もっと怖いものは沢山ある。悪と言いつつ、リーヴちゃんと取り引きも出来ているようである。そして、何となく若そうで、護衛が女の子達に付いてるのも知っているし、話す内容が。

もう!もう!プンプン!ぐずぐず!

って癇癪起こして竜樹にまとわりつく子供達みたいだなぁ、って思って、どうしたもんかと。


ワル。ワルとは。

『•••ガーティ達にやな思いをさせたなら、ごめんね。ワルの事を分からないか、って言うか、まあ、俺も昔は、やんちゃでねぇ。』

むっふっふ。

「はあ!?アンタがワルだったとでも!?嘘つくな!」


そんな過去はないが、まるで隠された思い出話を語るように、たっぷりと間を持って、竜樹は話し始めた。


『あれは、俺が8歳くらいの頃ーーー。』



近所にお寺があった。

近隣の住民が親しんだ、小さなお寺で、春には花祭りで甘茶を飲ませてもらったり。小さいながらも、地域の拠り所の一つとして、緩く機能している古いお寺。

マリコとタツヤの家に養子でやって来た竜樹は、買い食いなんてした事がなかったけど、初めてお小遣いを貰って、好きな物買っていいよ、と自由の選択肢を委ねられて、大いに戸惑っている所だった。


お寺のお賽銭箱には、もちろんお金が投げられて、拝まれるけれど。

そのお寺では、御手水の、水の溜まった石造りの柄杓が乗ってる所、水盤にも、幾らかお金が、放り込まれていた。

清らかな水にゆらゆら、ピカリと光る100円や50円、10円に5円。

どうしてお賽銭箱じゃなくて、ここにお金を入れたりするんだろう?

竜樹は不思議に思ったが、それは、お寺の清々しい景色の中、訪れた人の柔らかな祈り拝みを感じさせて、調和していた。


のに。

お小遣い、毎月決まってあげるからね。でも、使う事があって、足りなくなったら言ってね。

マリコは朗らかに言ってくれた。

のに。

竜樹は、買い食いを覚えた。

近所の子と遊んで、ちょっとしたお菓子を一つ。毎日買っていれば、それはお金も減る。

足りないから、ちょうだい、って言えば良かったのに。言いにくかった。


御手水のおかね。

こんなところに、なんで。

でも、お賽銭箱に入ってないんだから。

良いよね、仏様?

これ、セーフだよね?

誰も使わないんだもんね?

俺が貰っても?


竜樹は、腕まくりをして、冷たい水の中に手を突っ込み、腕の上の方まで濡れまくって。ピカリ、ピカリとしている100円玉と、50円玉を、拾った。



「げえっ!!な、な、な!何て悪い奴なんだよ竜樹!!神様のお金盗むなんて、お、お前良く無事で•••。」

ガーティはびびって叫ぶ。流石のガーティだって、神様案件にはノータッチだ。だって、鉄槌あるじゃん、それに、神様に見捨てられて生きていくなんて、身震いする、心元ない、怖い!!!


『フッ。子供の俺は、悪い事だけど、これくらい、許されるよね、大丈夫だよね、って。自分に言い訳しながら、やっちゃったんだよね。その150円で食べたアイスの、何というか、美味しいんだけど、何となく気まずいというか、後ろめたいというか•••。俺、全部食べられないで、地面に落として、アリンコさんに食べさせちゃったよ。』

「バッカかお前、神様からくすねておいて、しかも地面に落としたのかよ!信じられねえ!!」


すっかり話に聞き入っているガーティである。何となく愉快になってきた竜樹は、思い入れたっぷり情緒たっぷりに語って聞かせる。


ボタリと落ちる、バニラとコーティングのチョコ。アスファルトに、じわじわ溶ける染み。アリンコの、チョンチョン集まり、口の中に甘さ。

お釣りのお金は、罪悪感に水盤にヒヤヒヤ戻しに行って。誰かに見られてるんじゃないかと焦って盗ったお金で、そんなに良い思いも出来ず、後悔が。


罰があたるかな。あたるのかな。

俺、将来、不幸せになっちゃうかな。仏様に、睨まれて。

ヒヤヒヤ。ぐるぐる。もやもや。

そんなに悩むなら、やらなきゃ良いのに、子供っておバカである。

黙っているのも息苦しくて、マリコにもじもじ、意を決して言ったらば。


アッハッハ!ばし、ばし!

と背中を叩かれて、手を繋いでお寺に行って、マリコが財布から200円を出して、お賽銭箱に入れな、って竜樹に渡してくれた。カコン、チャリン、とお金は箱にぶつかって音をたてて入った。


「仏様、竜樹が盗ったお金を返します。ごめんなさい。どうか、まだ小さい竜樹を、見守ってやって下さい。」

「ごめんなさい、ほとけさま。」

がらんがらんと太い縄、大きな鈴を鳴らして、ナムナムと拝んで頼む。真剣に謝って、そして、ふー、と竜樹は安心した。

マリコは、怒らなかったが、お小遣い足りなかったら言うんだよ、と二度目に言って、竜樹の頭をくりくりと撫でたーー。


『と、いうような事がありましてねぇ。どう?俺のワル。あれって、スリルもあれば、甘美な気持ちも少しあって、悪い事って、ドキドキするなー、って魅力、分からなくもないんだよね。でもねぇ、その後の罪悪感。耐えられないよねー。俺はワルには、向いてないみたいです。』

「やるな!!神様に何て事を!何て、なんってワルなんだよお前って奴は!!」


こちらでは、神様は近くいてくださるから、ワルのガーティにでさえ、とんでもない事件なのだろう。

『いやいや、小さい頃にイタズラしといて良かったよね。仏様の深い懐で、ゆるりと学ばせてもらってさ。大きくなる前に、盗みがあんなにやな事だ、って分かったもんねえ。教えてくれた仏様には感謝だけど、こちらの神様の、分かりやすく怒ってくれる、っていうのも親切で、あったかい関係かなって思ったりもするよ。』

ほけほけと笑う竜樹を、信じられないガーティである。どんだけ図太いんだよ!

お賽銭泥棒とかあったりするよ、って言ったら、ガーティはどうなるだろうか。罰当たりな事は確かだ。


「竜樹様は、昔はワルでしたのね!」

マテリアが、ほうう!と感心している。リーヴもクーランも、エクレもシエルも、ええーっ?!って。


『そうなのだぜ。俺って、昔はワルだったのだぜ。フッ。まあ、今は改心して、皆のお父さんやってるけどねー。ガーティ、君もワルなんだろ?大人になった時カッコいいのは、まあ元から悪い事しない人がカッコいいって事はあるんだけどさ。俺、昔はやんちゃでした。今は、そんな悪い事も深く昇華して頼れるお父さんとなった、っての、ちょっと良くなーい?』

う。想像する。ガーティを頼りにする、すごーいすごーいとまとわりつく子供達。はっはっは。お父さんに任せなさい。うん、いいな。

まあそれは確かにいやいや!?

「う、うるせぇ!お前みたいな本物のワルに、俺の生活かかってるシノギの事が分かるかよ!?」


いつの間にか竜樹が本物のワルになっていて、ガーティが生活の為に仕方なく悪事を働く苦労しょった青年、になっている。

立ち止まって、ヘェ〜なんて感心しているお客さん達にさらりと混じって、くすくすしているミニュイの僕、シャトゥは、おっかしくてたまらなかった。

息が引いて、肩が震える。ギフトの竜樹が、子供の頃、あちらの神様であられる仏様からお金を盗んだのは、びっくりしたけれど。温かく見守る仏様とのやりとりが微笑ましく、何でそれが本物のワルになるんだか。本当に本当のクズみたいなワルと普段接しているシャトゥは。

あー、アハハ、と高い身長を認識阻害で隠しながら、成り行きを楽しんでいた。

かまってかまってのガーティがやり過ぎたら、強制撤収させようとくっ付いてきたのに、全く。


『そうか、ガーティは苦労してるんだなぁ。そうだ。えっちな本や映像の、ワル達のお仕事の様子も知りたいからさ、ガーティ俺の目になってよ。今度電話渡すからさ、俺と時々、話してよね。』

「な!何で俺が!」

むか!と怒った所に下手に出る。完璧に子供達と同じ扱いである。

『頼むよ、ガーティ。頼まれてくれると、俺、すっごく助かるんだ。ガーティみたいな、はしっこい人に聞けたら、様子が分かるなって思うじゃん。少しお代も払うからさー。』


あーおかしい。

小遣いやるから、報告してこい、面倒見てやる、ってこれもう、親分じゃん。

かまってかまっては、かまわれてどうなるかな?


む、むむう。

「し、仕方ねぇな!電話、どこで受け取りゃいいんだ!」

『お城の門番さんの所に預けておくねー。ガーティの映像見せて顔を伝えておくからさ。明日きてー。』


それじゃあ、スフェール王太后様とかが待ってるから、また後日話そうねー。

最後にガーティがビビるような言葉をぶっ込んでおいて、竜樹は電話を切った。


「ガーティ、竜樹様とお話、これからもするのね。」

「ワルの目になるのね!」


女の子達が、じわ、と何だかさっきより、ガーティに気を許している。

ボボボ、と顔が赤らむのを感じたガーティは、う、ウルセェ!と呟いたが。

「竜樹と本当に話せたから、みかじめ料は勘弁してやる!!お前ら、金のいっぱい入った箱を、無造作に地面になんか置いてんじゃねぇよ!ちょっとだけ入れときゃいいんだ、見せ金なんてのはよ!ほら、財布に入れとけ!」

と突然アドバイスし出して、フンスフンス怒って、ホッとしてニコニコしてるポワンを連れて。

ガニ股で肩をいからせながら、お客さん蹴散らし帰っていった。


「何だったの、かしら?」

「ねー?」


後に残った女の子達は、安心しつつもはてなである。ガーティ、何がしたかったの?

そんな、ちょんとした女の子達に、くふふと微笑んで。シャトゥは楽しかったワル談義の一幕を、主人ミニュイに報告すべく、そこを立ち去った。

報告を聞いたミニュイが、大笑いして机に突っ伏したのは、シャトゥ以外誰も知らない。


「まあ良いわ、お金をお財布に入れて、続けましょう!」

「そうねそうね!」


女の子達は、お買い得情報を発信し続けて、売り切れたよう、って言いに来てくれたお店のお使いの男の子達のお知らせも取り入れながら、無事にやり切った。

懐中時計が鳴る時間頃には、売れてほくほくの店主さん達が、お印に、ありがとうね、なんてお金をチョコっとくれに来たりもして、触れ合いもでき、中々良い情報屋が出来たかもしれない。


情報屋のモルトゥは、くふん、と笑って、何にも言わなかったが。何だか楽しそうな目をして、女の子達を見ていた。

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