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王妃様にご相談

「私を頼って下さって、嬉しいですわ。そういう訳ですのね。」


王妃様に伺ってみよう、何故なら先日の騒動で、王妃様が人事権を握ったから。

ミランが話を通してくれて、悪い子達はさすがに着替えて、夕飯を王妃様と第一王子オランネージュととる事になった。竜樹とニリヤ、マルサとチリの4人が同席し、ミランとタカラが王妃の侍女達と控えている。

チームニリヤ、全員が王妃(と第一王子)の前に揃った。


「ニリヤ王子を、ひいては平民王子をみんなに認めさせたい。とても良いと思います。理想として、王子たち兄弟が助け合って国を盛り立てていけたら、と私は思うのだけど。」

ニリヤと、オランネージュを優しく見遣る。


「母上様の育ったお国では、ご兄弟が仲良く国を守ってらっしゃるのでしたね。」

ニリヤより頭一つ分大きいオランネージュ王子が、目を細めて応え、パンをちぎりつつ。


「ええ、そうよ。私の生まれた国は、田舎の小さい国ですから、人員の余分などないの。その分、人の距離が近くて、みんなで協力して、仲良く暮らしていたわ。」


「私、できれば母上様のお国のおじ様やお祖父様達に、お会いしたいです。」

「お会いできる時がきたらね。」


ニリヤもモグモグ、パンとスープを食べている。悪い子は一旦やったら気が済んだのか、今は随分と良い子である。


「ニリヤ王子。お母様、リュビ妃の事を、大事でしょうから、良かったらで良いのだけど。お母様の代わり、とまではいかなくても、何かあったら頼ってちょうだいね。」

私の事を、王妃でなく、マルグリットと呼んでね。


「まるぐりっと、さま?」

「そうよニリヤ。」

「ときどき、みんなで、いっしょごはん、いいですか?」

「勿論よ。一緒、しましょう。」


「私も、一緒するよ。」

オランネージュ王子も、鳥じゃない獣のお肉を口に入れ飲み込んだ後、にこりと笑った。


「絶対、王子たちが仲良くして、役割分担した方がトクですよね。今の王様だってそうなんじゃないですか?」

竜樹もムグムグごっくんした。獣の肉は、親しみのある、豚っぽい味だ。


「そうなのよ。」

王妃は匙をスープに入れたまま、掬わずちょこちょこと動かした。

こちらでの食事は、格式ばった席でもなければ、おかずはワンプレートに盛り合わせてあり、スープも同時に出される。


「兄弟仲こそ悪くはないけれど、マルサだって、もっと活躍できる地位に就いていてくれたら、本人もやり甲斐があるでしょうし、王の負担も責務も、幾分かは減ったでしょう。王兄のバランも、音楽に入れ込むのも良いですけれど、もう少し国政に興味をもってくれたなら。」

そして、それを下の者たちが、所詮王にならない者だと、軽くみることがなければ、良いのですけれど。


音楽?

良い事聞いた。

「バラン?王兄様は、音楽に造詣が深いのですか?」


「造詣も深いでしょうが、演奏も何でもするわね。とても素敵なの。素敵なのだけど、本当に興味が音楽だけなの。」

貴族達をまとめる役割を、少しでももってくれたら。その力が充分あるのに、と思うから、期待してしまうのよね。

すす、匙のスープを啜った。


そういう人、いるよね。

それは、それを生かすしかないのでは。


「音楽もテレビに凄く必要なんです。今度バラン様を紹介していただけませんか?」

「いいわよ。本人も、音楽の事なら、喜んで関わってくれるのじゃないかしら。」

今度また夕食会を開いて、引き合わせましょう。


「それと、編集?に、編み物の上手な女性でしたわね。」

「やっぱり選抜には時間かかりますか?揉めたり?」


それについては、解決策が一つあります。

かたり、匙を、空いたスープ皿の横に置いて。


「既婚者を選べば良いのよ。」


えっ。


あっ。


「えええええ!すご、凄く恥ずかしい!女性を入れるってなったら、独身の可愛い子だと自然に思ってた!!」


この、男どもの、アホさ加減よ。

チームニリヤは、顔を見合わせて、恥いることしきりである。


ほほほほほ。

「殿方って、そういう所ありますわよね。既婚者も、年配の女性も、女性のうちよ。私だってそうよ。是非、意見を取り入れてほしいわ。」

上品に笑いながら、めっ、と竜樹を睨んでみせた。

オランネージュ王子も、クスクス笑っている。


そうだよねそうそう、そうでした。

特に、子供をもつ女性なんて、凄くいいアドバイザーになり得る。


「編み物が上手で、既婚者。しかも夫が、騎士団に入っているわ。どちらも実直な人柄だから、マルサが留守の時にも夫の方は守りになるでしょうし。私の侍女なの。ーーーメルラ・フルーレ、こちらへ。」

「はい。王妃様。」


側に控えていた侍女の1人、赤毛のまとめ髪、丸メガネが面長に似合う落ち着いた女性が、そっと進んで、王妃様の後ろに立った。


「どうかしら?メルラ。貴女の夫、ルディといったかしら。相談をしてからでしょうけれど、編集とやらをやってみない?」

「ああ、ルディか。奴なら真面目で信用できる奴だ。」

マルサのお墨付き。


メルラは、きっぱりと。


「王妃様。私は。」


子供が苦手なのです。


「ですから、お断りーーー。」

「ニリヤの事を気にかけて、私に内緒で、リュビの部屋周りをうろついて。ニリヤにお菓子をあげたり服を取られないよう隠す指示をしたのは、誰だったかしら?」


ムグッ。

「そ、それは、ついでといいますか。たまたま見かけて、みかねまして。たまたま、菓子を持っていたので、それでーーーー。」


「あ。おかし、もらった。」


ニリヤが、メルラを見て、思い出した。

「ときどき、くれたの。おいしい、おかし。みつかったら、だめなの。」


しぃー、ね。


小さい人差し指を立てて、唇に当てる。

みんなが今聞いてるよ。

竜樹は思ったが、ニリヤの頭を撫でて黙っていた。


「わ、私は、子供が苦手というか、ハッキリ言って子供が嫌いというか!なので!ニリヤ様にお仕えできません!」


「メルラさん。苦手とか嫌いとかあるでしょうが。まあまあ参考に、俺のいた国のテレビ番組、観てみませんか?」

王妃様とオランネージュ様も、是非。


「お時間、あります?」


はじめてするおつかい番組、みちゃう?

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