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王子様を放送します  作者: 竹 美津
本編

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408/692

葉の雫で、ロケ弁

更新時間遅くなりまして、すみませぬ。


「ロプ、おやつの、にんじんだよ。おたべ〜。」

「ラプにもあるよ。」

「ネプ、柿食べる?」


ニリヤ、ネクター、アルディ王子が、3ロバそれぞれに。自分達がロケ弁を食べるより先に、構ってやる。

アイリスが、ロバ達名前があるから、呼んであげて、と言ったので、よく見れば、首元にチョンとタグがあり、名前が書かれていた。


オランネージュが手綱を持つのがロプ、ネクターの引き車がラプ、ファング王太子に懐いた子はネプである。

途中で、おやつをあげてね、と一角ロバ貸し出し屋の店主から、袋を貰っていたので、今があげどき。


「ブヒン!」

「ブフフフ!」

「フッ、フン。」

それぞれ返事してくれて、モグモグおやつ。長い耳がゆるり、それぞれ違う比率の広さの、白い口周りが嬉しそうだ。


王子達にアイリス達が話しかけ、お茶屋でお弁当を食べる話になると、物見高い見物人達は皆、ホッとして。果実水の奢りを飲み干し、ニコニコ自分の用事を足しに去って行った。

(アイリスちゃんちなら、大丈夫)

(落ち着いて休めるよ)

(良かった)

なんだかんだ、心配して見守っていた民達なのである。


アイリスのお茶屋は、『葉の雫』。

果実水の屋台から、少しパカポコ歩いた先を左に曲がると、奥まり整えられた庭には芝生、低木が植わり、日差しを避けるタープの下には背もたれのないベンチが、いかようにも座れそうに長く2基。

店構えは煉瓦造りで、丸いショーウィンドウもあり、お茶の小さな缶が飾ってある。

緑と白の木のドアは、誰でも入れるようにウェルカム、開いている。中は薄暗く、所々にポポっと魔道具ランプが昼間から灯り、並んだ缶もシンプルで、落ち着いた雰囲気。


「ヘェ〜。それじゃ、情報屋のお仕事を検証する番組の、撮影中だったんだね。そんな時に、自分の欲で話しかけて、家に呼ぼうだなんて、ロビーも全くわがままだわねえ。」

アイリスが、試飲のお茶を手際よく用意しつつ。

葉の雫には、先程のお婆さんと、旦那さんのお爺さんがいて、王子達をはにかみながら歓迎してくれた。


「困ったよ、ほんとに。アイリスみたいに、下心がないのじゃないからね。行ったら何を約束させられるか、分からないし。」

店内の試飲スペースは、カウンターにちょうど3席。その後ろにテーブルと椅子もあり、本格的な寛ぎ空間。

オランネージュが言うのに、ウッ、と少し気まずい表情を見せるアイリスである。

「え〜と、全く下心がないか、って言われると、罪悪感あるな。お茶ってやっぱり嗜好品で、高い所から降りてくるものでもあるし、嗜んでる王子様達と話してみたかったのも、あるからな〜。」

ごめん、と正直。


アイリスと一緒にいた周りの子供達も、お昼に家に帰らなくて良いのだろうか、葉の雫店内に来て、丸椅子などを出し、思い思いに座ってニコニコしている。

ニリヤ、ネクター、アルディがロバ構いから帰って来たので、アイリスは浄化してやり、テーブルに促して座らせた。


「今、おしぼり出すからね。浄化だけだと、何となくスッキリしないでしょ。綺麗な水気のあるもので、手を拭くと、これから休むな、って気持ちに緩むのよ。ウチ、いつも出しているの。」


なかなか本格的な試飲のようである。

カウンターに座ったオランネージュとファングは、肘を付いて寛ぎ、高い椅子で足をプラプラ。

「アイリス達となら話するよ。」

「だよね。何でだろ、ロビーとは違う感じするものね。」

頷き合って、楽しそうに店内を見回す。商品が整然と、そして時に、こちゃっと、賑やかに並んでいるのって、何て素敵なんでしょう。どれを選ぼうか、ワクワクするというものである。


アイリスは、おしぼり布を、魔道具ポットのぬるま湯で湿らせて、ギュッと絞った。ポットに新鮮な水を足し、沸かして、シュンシュンのを、絞った布にチョロロ、と加減して、ほわりんと丁度綻ぶ位にかける。

これで熱々のおしぼりが出来た。


あち、はちち。

出来立ての熱々おしぼりで。手や顔を拭き、サッパリすると、ググゥ〜!今度はお腹の欲求である。

アシスタントがロケ弁を配る。竜樹が、お弁当屋さんやろうかな、とフンフン料理長達と用意した、一人一個の、塗りの設え、黒に金のたんぽぽの綿毛の、美しい箱。

ハッ、と見とめて、アイリスが。

「うわぁ!何て素敵な箱なのかしら!王子様の食べるお弁当って、素敵なのねえ。」

憧れを含んだ声で感嘆する。


「いや、これは竜樹が張り切った結果だよ。撮影隊みんながこの箱なのでしょ?」

はい、そうですよ、とアシスタントが頷く。

「この箱は、洗って何度も使えるから、ちょっとお高いけどお値打ち!って言ってたね。」

「つかいすてより、ずっとおとく!ムダしないってゆった。」

「綺麗だから、私も好きだな。アルディがくれた塗りの箱も、宝物入れにしてるんだ!」

ファング王太子が、得意そう。

褒められた答案用紙、お父様やお母様、アルディからの手紙。思い浮かぶ宝物は、素敵な塗りの、サンダルをアルディ王子にプレゼントされた時の箱。


ぱかり。お弁当箱を開けば、彩りも豊かな、栗や干しあんず、飾り切りの野菜も入った、大きな肉団子の黒酢あんのお弁当。ゴマもパラリ。

レンコンのみじん切りも練り込まれた肉団子は、一度揚げられて、肉汁が閉じ込めてある。食感も楽しい。


アイリスの仲間の子供達には、パンに蜂蜜としょっぱいお肉を簡単に挟んだものが、おばあちゃんによって用意された。


「「「いただきま〜す!」」」


お箸でもぐもぐ。

ファング王太子も、慣れないけれど、滑らかな塗りのお箸は素敵で、気分が上がる。


「試飲のお茶は、スッキリした食事に合う、クセのないものを用意したわ!右から、雫ブレンドのハーブティー、肉に合う半発酵の黒茶、最近売り始めた、柑橘風味をつけた緑茶。」

小さな、一口分の、白地に雫模様がポッチリ入った、シンプルなカップは、取手も一つ一つ、繊細に出来ている。小さなものがズラリ、おもちゃのような可愛らしさ。


「食後には、甘い感じのお茶も出すわね。お砂糖が入ってないのに、甘い香りがしたり、味がするお茶よ。お食事のお茶も、お代わりあるから、どんどん言ってね。」


ありがとう、とモグモグしながら、慎重に飲んでみる王子達である。ニリヤはほっぺに黒酢あんが付いた。肉だんご、おいし。


「はーぶ、にがくないね。」

「確かに食事にあうね。サッパリしてる。」

「ええ、そうでしょう!沢山飲んでも大丈夫なハーブよ。味も飲みやすいの。」

アイリスはお茶が大好きなのか、ニコニコしながら皆を見守った。試飲が終わるまで、お昼を食べないで頑張る。お客さんにちゃんと、おもてなしをしたいから。そして、お店を切り盛りできるのが、祖父、祖母、アイリスしかいないからだ。


父と母は、お茶の買い付けに行ったまま、はや1年、帰っていない。

今、どこにいるのだろう。


「美味しいお茶っていえば、ピティエが飲ませてくれた、カフェインレスの玉露、思い出すね。あれは、お菓子とじっくり飲むお茶だけど。」

「かふぇいんれすとは、何なのだ?」

飲んだ事ないファング王太子が、疑問に。

「竜樹によれば、眠くならない、かくせいする成分だそうだ。それを、分離して、抜いたってやつだって。妊婦さんや子供も飲めるお茶なんだ。」

「えっ!?何ですって!?」


カフェインレス。お茶屋のアイリスが、食いつかない訳がない!


「確かにお茶って、妊婦さんは沢山飲まない方が良いお茶、あるのよ!飲んで眠れなくなるから、夜飲まない方が良いお茶とか!鑑定ではそう出るし、確かに昔からそうなの!分離できるですって!?ウチでも出来るって事!?」


あ。

「それ、ピティエのお茶屋さんに紹介するから、話を通してくれない?」

ネクターが、眉を下げてアイリスに頼んだ。


商売になる事、無断で教えちゃダメ。ダメダメである。

「勿論よ!っていうか、紹介してもらえるの!?やったー!!妊婦さんでお茶飲みたい人や、夜ゆったりお茶飲みたい人、沢山いるわよ!子供向けとか!何でもっと広めないのかしら、私、初耳よ!?」

「ピティエは、小さな喫茶店で、時々美味しいお茶を出してる感じだからーーーあんまりがっつり商売っけ、ある風でもないしなあ。」

「やれるはんいで、じっくりって、いってたよ。」

「とーっても美味しいお菓子と、お茶のおみせなんだ!席が5つしか、ないの。」


「何ですって、何ですって!!ちょっと相談よ、大きな商売の匂いがするわ!ダメよそれ、テレビで言っちゃ!その、ピティエさんが、ちゃんと利益を確保するまで、ひみつよ!」


アイリス、王子達を通り越して、撮影隊の大人達をギン!と見る。

ウンウン、と頷く撮影隊に、ホッと息を吐いて。


「でもピティエは、皆に美味しいお茶を飲んでもらいたいから、教えてあげる、って言いそうだね。お店ではもう、妊婦さんも飲める緑茶、少しだけど、売ってるでしょう?人気出始めてるって、言ってたね。」

「かもしれないなー。あ、でもピティエのお兄様が何か考えてるかもか。それに、親戚の分離できるひとが、お仕事したりするかなあ。竜樹が、分離は色々お仕事考えてるみたいだったけど•••。」

王子達、ポロポロとこぼす。


「ダメよー!?聞かせないで!?お金が発生することは、モメるのよ!ちゃんとしないと!?美味しい話にたかるアリンコみたいに、よってたかって皆に使われちゃうわ、それも、ちゃんとした形じゃないままに!!」

「じゃあ、アイリスがやると良いよ。ピティエと相談して。」

「ねー。」


ねー、じゃないんである。

タハッ、とため息。

「ロビーや何かが、集るのも分かるわよ。全く甘い王子様達ね!」


オランネージュは、ニヤリと笑う。

「私達は、お国に甘みを配って回す役目の王子なんだもの。当然でしょ。まあ、配る人は、選んでるつもり。アイリスは、怒るくらいだから、ちゃんとするでしょ。」


途端に、しゅんとして、アイリスは顔を手で覆う。この先の事を思う。その、ピティエさんとの交渉だって。

「する•••つもりだけど、私、まだ子供よ。甘く見られて、ちゃんと扱ってもらえないの。お客様だって、中には、大人の人はいないの、って言う人もいるのよ。父と母、帰って来ないの。私、小ちゃい頃からお茶には詳しくて、誰にもお茶の知識では負けない、って思ってるくらいなのに。今はおばあちゃんもおじいちゃんもいるから良いけど、これから、どうしたらーーー。」


少女は大人になる。

けれどまだ、それを想像できないほど、そして成長が間に合わないほど、お店で自立するには、子供なのだ。


「子供なんだから、大人を頼れば良いよ。素性の良い、お茶問屋さんを間に入れようか。ピティエと相談して、一つ、カフェインレスの妊婦さんと子供向けお茶ブランドでも立てたら?人なら貸すけど。皆に良い事は、お国の為になるもんね。まあ、それもピティエとピティエのお兄様に相談だね。貴族向けじゃない、って事でしょ、アイリスのお茶屋でやるのは。」

「ししょうがいってた、かふぇいんれすだから、たぶん、ピティエ、ひとりじめしないよー。」


はあ〜っ。

大きなため息に、肩をグッと落とすアイリス。

自分のちっぽけな悩みなんて、この、お国を小さな身体で回す使命を帯びて生まれ育った、王子様達には、きっと、何でもない事なのだ。親のない、もっと厳しい環境だった子達とも、親しんでいるのだし。


「分かった•••力を貸して下さい。せっかくなら、皆がちゃんとした、おいしいお茶が飲めるように、出来ると良いわね。」

何だか疲れたようなその言葉、ふにゃっとした笑顔に。

王子達は顔を見合わせて、お弁当の肉団子を頬張りながら、嬉しそうに、テヘヘっと笑い合った。



「アイリスが負けちゃうくらいに話が、できるなんて、やっぱり王子様は凄いんだねえ。」

お茶と、パンをもらってモグモグ食べていた子供達のうち、メガネのクリクリ巻き毛の男の子が、感心している。彼はリブレ、本屋の息子である。


「本当本当。この辺りの子供達の、ロビーお嬢様の取り巻き達まで、一斉にやっつけて手下にしたアイリスでも!やっぱりお国の頭の王子様には、勝てないね。」

リブレの双子の弟、メガネなしのシグネが、ニシシシ、と笑う。


「アイリスたん、ちゅごいのよ。みんなを、おはなちだけで、けっとうに、ださせなかっちゃの!」

ええ?どゆこと?


話を聞けばこういう事らしい。

ロビーお嬢様は、財力を当てにして、手下の男子取り巻き達を使って、わがまま放題に君臨していた。鼻ぺちゃの女の子、金物屋の娘、ミニョンをいじめてみたり、リブレが大事にしている本を取り上げてみたり、シグネがロビーを賛美するよう、力づくで仕向けたり。

そしてまたその男子達は男子達で、縄張りをもって、小競り合いなんかをしていて、全くもって普通に、穏やかに暮らしていきたい子供達からすれば、やりにくい集団が出来上がっていたのである。


アイリスは、仲良くしているリブレや、シグネ、ミニョンを虐げられて、頭にきた。戦争ごっこをしている、勘違いの男子達なんて、と憤慨した。またその中に、父親の仕事の付き合い上、仕方なく言う事をきかせられている者などが多数いたのも、我慢ならなかったのである。


「だから、アイリスたんは、ロビーたんにゆったの。そうあたりで、けっとうだ、って。それで、かっちゃほうが、このまちの、リーダーだ!いうこちょを、きいちぇもらう!って。」


アイリスの手駒は、リブレ、シグネ、ミニョンに、どちらの派閥にも入っていなかった事なかれ男子スライス、そして冷めた目でロビーお嬢様を見ている女子達。

男子達は勝利を確信していたが。


「アイリス、男子達の弱点情報を女子から集めて、それを駆使して、イタズラをばらして親父さんにとっ捕まえて説教させたり、店番させたり、お使いに行かせたり、とにかく男子達を全員、決闘に行かせなかったんだ。」

男子達はそれぞれ、自分が行かなくても。他の皆が戦ってくれるだろうと思っていた。


誰も味方のいないそこで、ワナワナ怒りに震えるロビーお嬢様に、不戦勝を言い渡して。

「この街の子供達のリーダーは、私よ!今後、ロビーは私に従ってもらいます!」

とやったのである。


「ロビーお嬢様は、卑怯だ、こんなの有り得ない!って地団駄ふんだんだけど、アイリスは賢いから、教会の司祭様を味方につけて、見届け人をやってもらってた。だから勝負はくつがえらなかった。それからこの街は、アイリスをリーダーにすることで、おだやかでやりやすい街になったよ。皆、男子達も最初はブーブー言ってたけど、アイリス面倒見良いし、困った事の相談にも乗ってくれるし、ロビーより断然みとめてるんだ。」

何やってるんだ、司祭様。

そして、アイリス、本当にこの街の子供達、皆のリーダーだったのである。


オランネージュは、目をパチ、パチ、しながら聞いていたけれど、聞き終わると、くっ、うっふふふふ!と嬉しそうに笑った。

「この街のリーダーになら、安心して庶民向けのお茶事業を、任せられそうだね!」

「笑わないでよ!•••でも、ごめんなさい。ロビー、私達に負けてから、オランネージュ王子様のお妃になる!ってそこらじゅうで言い出したのよ。何言ってるんだ、って思ってたけど、本気だったなんてねえ。権力の魅力に、一度失ってから、余計に執着しちゃったのかも。」


それもあって、心配で見守ってたんだ。ロビーの思う通りにならなくて、本当に良かった。だって、オランネージュ王子様のこと、本当に好きでお妃になりたい訳じゃ、ないじゃない。


「そんなの、ダメよ。」

優しい、あの魅力的な笑顔のアイリスに、オランネージュは少し、頬を赤らめた。


「アイリスたん、おべんちょうちて、がくえんのしょうがくせい?になりちゃいのよね!あたまいいから、きっちょ、なれる!」

ミニョンは、アイリスが大好きなのか、くふくふ嬉しそう。


「学園?」

ああ〜、とアイリスは頬をポッとさせて。

「学園に奨学生が迎えられる、って決まったでしょう?これから勉強してみてで、わからないけど、あの、王子様達とお話したい、って思ったみたいに、貴族の人たちとお茶の話が出来たら、お店に役立つかな、って思って。行きたいなぁ、って。」

リブレやシグネの本屋のお父さん、近所の読み書きできる人に聞いたり、図書館で、独学したりで、学んでるの。


恥ずかしそうなアイリス。

王子達からすれば、アイリスの勉強なんて、本当に遊びみたいに思えるだろう。でも、それでも、笑われても、やりたい事をやってみたい。

おばあちゃんとおじいちゃんも、リブレ達も応援してくれている。


「じゃあ、オランネージュにいさまと、いっしょのがくえん、いけるかもだね!アイリス!」

ニコニコ、としたニリヤに、オランネージュとアイリスは、え?とお互い、顔を見合った。


にこ。オランネージュの笑顔。

に、にここ。頬赤らめつつ、アイリスの笑顔。


「じゃあ、学園仲間になるかもしれないし、私達、文通しようよ!」

「ええっ!?」


ムフフフ、と笑うオランネージュは、モグリ、と上品に肉団子を食べ切って。

「嫌なの?違うよね?私と文通してたら、学園の試験情報の、ちょっと良いとこも手に入るよ。情報、重要でしょう?」

「い、良いのかしら。助かるけれど。」


はい、とお箸を置いて、手を差し出す。躊躇って、アイリスは、オランネージュの手を取り、ぎゅ、ぎゅっと、お互いがんばろーねの握手をした。



ゆっくり休んで、じゃあね、と一角ロバの引き車、王子達は新聞社に向かう。アイリス達はお店の前で、姿が見えなくなるまで手を振って、見送ってくれた。

王子達の護衛達の鞄には、こんな事もあろうかと預けていた、お小遣いで払って買った、お土産の甘いお茶や、飲みやすいお茶が、ホクホクと入っている。


「•••オランネージュ。君、アイリスのこと、結構気に入っているだろう?」

パカポコ、パカポコ。

ロバののんびりした足音に、ファング王太子のヒソヒソ声。

あ、これ、オフレコね、と撮影隊は聞こえないの耳になった。


「子供達を情報戦でいなすなんて、なかなか有望な子じゃない?アイリス。」

くふっ!とオランネージュは応える。

「アイリス、やさしいから、おきさきよいねー。」

ニリヤは、一足飛びである。

ネクターも、うんうんしてるし、アルディは、え?え? 話が今分かって、ポポッと頬を赤らめた。


「分からないけどさ。アイリス、お茶屋さんも一生懸命で、全く私の妃になりたいなんて言わなかったし。」


ウンウン。

「じゃあ友達?」

ファング王太子は、ん?とちょっと黒い笑顔である。


「言ったろう?」

飄々と。

「私のお妃は、私が良いなぁ、って思う、容姿も、そして性格も素敵な子でなくちゃいけないんだ!家庭は円満に限るからね!アイリスは、全く私の好みの子だね!頭も良いし、それに笑顔が、可愛いじゃない!」


将来、お茶屋さんからお妃様が出るかもしれない。

オフレコオフレコ。

未来のお妃候補との文通を、ちゃっかり決めた役得のオランネージュと、ロバをパカポコ王子達は、今度こそ新聞社へ。



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