従者の選考
「女性の目?」
「できたら編み物とかが得意な人がいい。何かの作品を作っている人なら、必要な所に必要なものを、っていう、バランス感覚ができてると思う。何しろ編集、編むって言うくらいだから、誰をとるかのとっかかりとしては、良くない?」
女性の目が必要なのは、見る人の半分は女性なのに、俺たち男ばっかりだろ。身軽でいいけど、1人くらい女の人がいてくれた方がいいかなって。
「それだけなんだけど。」
竜樹が言うのに、みんな、うんうん頷く。
「そういや従者も女性でも良かったと思うのに、男ばっかりだな。これは、あれか。」マルサがミランをチラッと見る。
「あー、それはですねー。まあ、同性な方が言いやすい事もあるだろう、というのもあるんですけれど。」
あるけれど?
「かつてのギフトの御方様で、最初にお仕えした異性の従者に、何というか依存されてしまう方がいらしたんですよね。」
心細い所に、何もかも面倒みてくれて、あれこれ優しくされたら、まぁそうもなりますよね。
「我が国としては、結婚されて落ち着かれて、などとありがたい反面、誰を最初に付かせるか、揉めるんですよ。お仕えした者が、自分や自分の家にだけ都合がいいように、ギフトの御方様を使われる事もありました。」
そんな事もあって、今では異性の従者はつけず、付く者もギフトの御方様について学んだ何人かの候補者、「自分達のいいように決して御方様を利用しない」と誓約した者が選ばれます。
これから竜樹様が選ばれる、編集の方も、そういう選抜をくぐり抜けた者、になりますね。
と、言う事は。
「たぶん、人事に時間がかかる、んだよね。女性を選ぶとなると。」
竜樹は、頭をポリポリ掻いた。
今日は短いですが、どうか許してくだされ。