王妃様に謁見
「良く来てくれたわね。セードゥル侯爵家のアルグ、プリムヴェール夫人。ベルジェ伯爵フィアーバ、センプリチェ夫人。そして運命の恋人達、ジャンドルにコリエ。」
フィアーバは冷や汗を絶賛生産中である。妻のセンプリチェは、はふ、はふ、と青息吐息だ。伯爵家でも、なかなか王妃様直々に、謁見があるなどということはない。大勢の中の1人でなら兎も角。一生なくても良かったかもしれない。のに。
有言実行の息子ジャンドルが、コリエとの結婚を実現する為に、最強のカードを切ってきたのだ。もっと、穏やかな、段階を踏んだなんかあるだろ!と、フィアーバは言いたい。過呼吸気味で肺が痛い。
ジャンドルは落ち着いて、穏やかな笑みを浮かべている。強心臓である。
コリエはキュッと口を結んで、神妙な顔だ。
逃げ出したいマルグリット王妃との謁見であるが、焦りに周りに目が入らないし、呼ばれて頭を下げてすぐに、とても上機嫌な王妃直々に、頭を上げるよう言われ、そして先ほどの言葉である。
何故、ウチより高位なセードゥル侯爵家夫妻が一緒に呼ばれているのかは、そして何故ニッコリと笑顔でいるのかは、まだ、まだ、考えたくない。
「今日は、ギフトの御方様、竜樹様も来て下さったの。2人の結婚式に、関係しますもの。微力ですけれど、テレビ放送の件もあるから、王子達、オランネージュ、ネクター、ニリヤも同席よ。良い子にしていると約束しているから、良いかしら。」
「勿論、ようございます。ギフトの御方様、殿下方も、どうぞよろしくお願い致します。」
ニコニコと、セードゥル侯爵家のアルグが返事をする。この場合、一番高位な侯爵のアルグが返事をすべきなのである。そして下の者は、そっと頷くのみ。
「ありがとう。良かったわね、オランネージュ、ネクター、ニリヤ。」
「はい、母上。私たちも良い結婚式になるよう、協力するから、よろしくね。」
「お手伝い、します。」
「てれび、するのー。」
おててを振り上げて同意する殿下達は、可愛いが、今は頭に入ってこない。あれ?でも、放送って?
「ベルジェ伯爵、何だか息が苦しそう。大丈夫?突然の事で、お祝いだけれど驚いてしまったわね。」
ニコニコしていたマルグリット王妃が、す、と眉を寄せて聞いてくれたので。
「いえ、いえいえ!だ、大丈夫です!そうですね、と、突然で、あの、あまりまだ、どういうことか、把握しておりませんで•••。」
フィアーバがどさくさで自身の戸惑いを述べると、妻のセンプリチェも、コクコク、コク!と頷いている。
今日は短くてすみませぬ




