表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王子様を放送します  作者: 竹 美津
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

330/692

とくべつのかんけい

オグルの栄光を描いたニュイの絵が続く。

国同士が戦を始めてしまい、その初戦、今にもぶつかる、という所で。光と雷の魔法をもって両国の軍の兵士達や軍馬を麻痺させ立ち往生、無力化させたオグル。この特別展のチケットにもなった、救いあるオグルの魅力満載な絵である。

他にも、戦いになる前に暗躍するオグル。口で権力者を言い負かして。時には脅し、時には甘い利益を思いもよらない案で出して、そして時には互いの恨みつらみを国同士の戦いなんかにせず、直接打ち当たれ!と空気抜きに無理やり喧嘩させ。

その、ありとあらゆる場面を、ニュイが鮮やかに描く。他の画家の絵もあるが、どうやってもニュイの絵の存在感には、敵わない。

そして、ニュイが描いたもので。人々の争いにウンザリしている、画面が暗い、疲れたオグルの絵もある。ローズ姫が、後ろから手を肩にかけ、今にも大丈夫?と言いそうな表情。

オグルの絶望感漂うその絵なのだが、何も言う事が出来ない、心が波立ち、鼓動が速くなるような引力がある。

それらの様々な絵は、ニュイが、オグルの私生活を、本当にごく近くで、じっと見つめていたのだ、と思わせる。


『オグルの栄光の絵を描いたニュイじゃが、その最高傑作は、死ぬ1年前に描かれた。この大きな絵が、それじゃよ。オグルが自分の息子、生まれたばかりの赤ん坊を抱いて、微笑む絵じゃ。光が射し、明るく、清らかで、じんわり胸が温かくなるようじゃろ?オグルの苦労も、ニュイの芸術も、この絵で昇華、高みへと飛んだってことじゃな、そして結実、実った!』


『どこかに恋の苦しみをのせた、若い時代とは違い、オグルの幸せをニュイも幸せと心から思う、しみじみとした温かい愛情をもって、描かれた。恋心が、深い愛に変わったんじゃな。まるでエルフの愛し方のようなニュイの愛情は、どこかでオグルに届いたらしい。オグルは、ニュイが死んだ後、自分の生きている間は、ニュイ以外の画家が描いた絵を、認めなかったという。まあ、認めんでも画家は勝手に描いちゃうんじゃが。モデルになって、とかを断ってたらしい、と子孫の本に残っとる。ローズ姫とはまた違う、結ばれて、恋人になるより、もっと特別な関係、というのが、2人の間には、あったかもしれんねぇ。』


「とくべつな、かんけい。ぼくと、ししょうも、とくべつな、かんけい?」


ニリヤが振り返って竜樹を見た。


竜樹は、分かりやすくガイドして欲しかったのと、子供達にどんなガイドをするか知りたかったので、ニリヤ達と同じ、子供用のイヤホンガイドを聞いていた。聞くタイミングもニリヤと同じくらいだったので、ニリヤが何でそんな事を言い出したか、分かった。


むぐぐ。笑っちゃ悪いから、真面目な顔をして、腕組み応える。


「うんうん。ニリヤと俺は、弟子と師匠の関係だから、とってもとくべつだな!」


パッ!笑顔が咲いて、ウフフとニリヤは竜樹に抱きついた。ポフポフ、と竜樹は小さな背中をとんとんしてやる。


「わ、私は?」

ネクターが、お口をまむまむさせながら、聞いてくる。オランネージュも。

「そうだよ、ね、ね。私だって、特別でしょ?」


「うん。ネクターも、オランネージュも、特別に仲良しだよ〜。それに、ニリヤのリュビお母さんから、3人仲良くね、面倒みてね、ってとくべつに頼まれたんだものなあ。」

「うん!」むふ。

「そうだよね〜!ずっと一緒だよね!」ムフフ。

ぎゅむぎゅむと2人も抱きついてくる。


「わ、私は?」

ひこ、ひこ、とお耳と尻尾を揺らす、アルディ王子。目が期待に瞬いている。


「アルディ、俺の、初めての獣人の仲良しだな!とくべつだね!」

ムフン!鼻息フンと、竜樹の横に抱きつくアルディである。


それを見ていた、エルフのロテュス王子は。手を胸の前で組んで、ポポッと頬を赤らめた。

「私も、竜樹様に、とくべつって言ってもらえるように、なりたい!」

囁きは、特別な想い。受けて黒髪のエクラ王子は、ロテュス王子を見上げて心配そうな顔をし。

カリス王子は、ひゅん、と鼻を鳴らして眉を寄せ、ロテュス王子に寄り添って。

ウィエ王女は、ムムッとして、クルクルカールをクシャッと掴むと、竜樹をキッと見上げて睨み、口を開いた。


「竜樹様!それってどうかと思います!みんな特別は、誰でもおんなじ、って事でしょ!誰か、一番、特別に、代わりに死んじゃっても良いくらい好きな人は、いないの!?特別なニリヤ王子と、特別なアルディ王子が喧嘩したら、一体どっちの味方をするのよ!?」


あ、あの。なるべく小さい声でね、ね。

ボンの囁きも、必死だが。

ロテュス兄さまを守ろうとする、ウィエ王女だって、必死なのだ。








オグルをオルグって間違えてました!

たまにやるのよね、こういうまちがい。

あれっ、と思った方、すみませぬ、直しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ