微笑みの包囲網
ふふふ。ふっふふふ。
体育館の救助本部では、甚平と浴衣を着た、お助け近隣国の留学生やら外交官やらが、エルフ達への必要なものの聞き込み、テレビ電話での物資の依頼にひと段落、お茶のカップを持って集まってきた。最初、物資の依頼などの基地は王宮の一室で、とされていたのだが、もう体育館に行ってしまった方が早い、と途中で変更し、テレビ電話を持って集まった次第である。
羽毛で笑顔、スヤァなバーニー君と、それをツンツンとつつく竜樹達を見て、皆、優しく笑っている。
「バーニー君は、こちらに来て大活躍で。私達の間を繋いで、必要な物資の優先順位と、各国が供出しやすい物資を聞いて調整、買うものでは大まかな予算を仮でとり、商人ならどこが良いか条件出して指定したり。それらを私たちに連携させながら飛び回っていましたから、疲れたんでしょうね。」
オランネージュのフレ叔父様、ヴェリテ国からの外交官のフレ・ヴェリテが、にふふ!と笑って竜樹に話しかけた。
「上から指揮、指示するのじゃなく、補助して促してまとめる。有能な仕事仲間がいると、仕事がくるくると音楽みたいに回りますね。何とも言えない興奮と心地良さが味わえましたよ。」
みんな、何がしか、バーニー君に親近感を抱いたらしい。外交官や留学生達は、他国の第二子以降の王族達も多い。やんごとない人達に好かれる、バーニー君である。
「ええ、ええ。バーニーさん、最初はバラバラだった動きの私たちを、先ずは、うまく繋げて下さったの。助かったわ!今は、私たちも要領が分かったし、転移魔法陣を仮に、この体育館に物資を運ぶ都合だけで作ってみて、実際に各国から運んでみる、という段階ですから。バーニーさんは休んでいても大丈夫でしたのよ。」
うふふ。
フレ叔父様の妹、赤い瞳が魅力の留学生、ナナン・ヴェリテも、お手伝い。バーニー君にお世話になったらしい。
そしてエルフ達も、せっせと自分達の為に働くバーニー君を、そっと休ませてやろうという気になった。
微笑みの包囲網。
「でもまあ、そろそろ起きても、良いのじゃないかな?」
うんうん。包囲網の総意を得て、竜樹が起こす。
「バーニー君。お昼過ぎてるけど、おはよう?お〜い、起きて〜!」
す〜、す〜。スヤァ。す、す?
「ん、んむ?」
パチ!
「おはよう〜。」
フリフリ、と竜樹がバーニー君の目の前で、手を振る。
ガバリ。キョロキョロ。ふわっ!
「うわぁぁぁ!寝てしまったぁああ!」
うん。寝てしまったんだよ、君は。
「気持ち良かった?」
「ものすっっっごく、気持ち良かったです!寝起きも爽やか!何ですかこの羽毛!布団にして売れますよ!眠れない人達や、眠りが浅い人達、疲れの酷い人達が、どれだけいると思います!?大枚叩いて買います!あっ、オーブ様!」
この羽毛、定期的に売る事はできませんかね?大量じゃなくて良いんです!エルフ達の、丁寧な手仕事で、成立するぐらい。予約販売でーーー。
コクリ、良いでしょう。頷くオーブである。
「ありがとうございます!まずは私も、買いますから!」
うん。バーニー君、君には神鳥羽毛布団、とっても必要と思うよ。




