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王子様を放送します  作者: 竹 美津
本編

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305/692

とーちゃとかーちゃは仲良しです

「とーちゃ、おかーちゃ、なかよし?」


エルフのリュミエール王や、体育館のエルフ達と話している間、黙って竜樹の側にいた、ヴィオロ地方の教会の子、クー。そばかすも可愛い、赤い髪がくしゃくしゃの天然パーマ、5歳の男の子である。

ラフィネ母さんがお話に加わり、ジェムが2人を誇ったら、それを見ていて一言、言った。

竜樹は、愛しい心をもって、クーを見た。


クーは、仲の悪い夫婦の間に挟まって、いつもしょんぼりしていた子供だった。


「とーちゃ、おかーちゃ、いっぱいケンカ。クー、いやなの。」と。

教会に行って司祭に話したのは、子供ながらに、なかなか頭の良い事だった。家が教会のすぐ近くで、良く母がお祈りに行っていた事もあって、クーは、優しい司祭に、普段から親しんでいた。


司祭に呼び出された父と母は、家の中の事をクーにばらされて、2人今度は意見を合わせてクーを叱った。司祭が宥めて夫婦の話を聞けば、稼ぎが悪いの、家の中の事が乱雑だの、どこの夫婦にもあるような愚痴が、話せば話すほどヒートアップして語られた。

面食らった司祭だったが、クーのしょんぼり具合を見て、落ち着かせようと、一時的に、クーとお母さんを預かるから、少しお二人、離れて暮らしてみては?と提案し。

いやいや、と父は顔を振り。


「クーは、父さんが良いよな。」


「クーは、お母さんの方に来るわよね。」


2人を見上げて、クーは。

司祭に縋りついて。

「クー、ケンカいや。とーちゃも、おかーちゃも、いや。」


必死で言った本心の、その一言で、夫婦は教会にクーを預けて、憤懣やる方ない、といった様子で、右と左に別れて去った。

一時的に、という事だったはずなのに、結局どちらも、まだクーを迎えに来ない。風の噂ではどちらも再婚したらしい。


竜樹は夢で、クーの父方母方の祖母と祖父、4人との写真を預かって、クーを頼まれて。ではクーは俺がいただきましょう、と、教会の孤児院で本式に受け入れ、他の子と同じように養子とした。


体育館のエルフ達とお話し中だけれども、初めて夢じゃなくテレビ電話の画面でもなく、竜樹とラフィネ母さんと会ったクーには、それはとっても大事で、聞いておかねばならなかった事なのだろう。

竜樹はそう思って。


「竜樹父さんと、ラフィネ母さんは、仲良しだよー。ねー?」

と、握手、の手を差し出して、ラフィネ母さんにニッコリした。


ラフィネもニッコリして。

跪き、ふわっと、腕を開いて。

竜樹に、ハグ、ハグ、とゆるく抱きつき、背中をポンポンとした。

「そうよ、竜樹父さんとラフィネ母さんは、仲良しよ!」


ぱっちり。

小さい目を見開いて、ちょっとポポッとなった竜樹。少し良い匂いもして。

勿論ラフィネも、クーの事情を知っているからだ。竜樹からすぐ離れて、おずおずと、2人の間に入ってくるクーを挟んで、竜樹もラフィネも、もう一回ハグ、っとした。


クーは、むふ、と満面、笑って。

「なかよし。ねー。」

と竜樹とラフィネに、ふくふくした頬を見せた。


「アハハ。少し照れるな〜。」

「てれる?」

「ウンウン。竜樹父さんは、ちょっと、はずかし!」

ギュッと今度はクーを抱きしめて、皆が、ふふふ、とか、ハハハ、とか笑ってる。

クーが欲しかったものは、今ここにあって、それはとても幸せなのだった。


「な、仲良しなのですね。竜樹様と、ラフィネさん。お父さんと、お母さん。」


俯いて、何故かしょんぼりしたロテュス王子。


「わ、私、竜樹様と、結婚したかった••••••。」


ええ!?とジェム達が驚いて、そうして。

ロテュス王子の頬を、涙がコロコロ、と滑り落ちた。

涙は丸く、粒となって、低いテーブルの上を、カッーン、コン、コロロ。と転がって落ちそうになった。

ロテュス王子がそれを、手で受けて。


涙が、固まった?


ロテュス王子は、黙って俯いて、その涙の粒をじい、と眺めていたが。

ふいに顔を上げて、ニッコリすると。

竜樹の麦茶のコップに、ぽちゃん、と涙を入れた。


えーと。

竜樹は、どうしたら良いのかな、と思いつつ、麦茶のコップを、持ち上げて飲む仕草をして見せた。


ウン、ウン。

ニコニコしたロテュス王子が頷くので、竜樹は涙入りの麦茶を、グイッと飲んだ。


カッ ポワワワン


光は竜樹の身体から。


護衛のマルサが、あ、という顔をしていた。







ボーイズラブにチェック入れときました。

ロテュス王子はまだ男性になるか女性になるか、わからないけど、曖昧ながらラブの匂いがするかな、と。

匂いがするくらいで、ガッツリボーイズラブは、書かない、と思います。

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