まてまて〜
シュウウィン!
転移にて、帰ってきた竜樹達。3王子も手を握り合って、ロテュス王子は竜樹の手をポッポ、ギュッと握って。
「あ〜、何度味わっても、なんか驚く。転移ってつくづく便利だなぁ。」
寮の庭に、あっという間に立っている面々である。竜樹がしみじみしていると、3王子はロテュス王子を促して、トコトコ寮の中へ。
「ししょうと、ロテュスでんかのごはん、もらお!」
「マルサ叔父様も!」
「タカラとミラン達も、ご飯すると良いよ。」
タカラとミランの侍従ズは、(ミランは半分カメラマンだが)ニコ、として。
「ありがとうございます。僭越ながら末席で、いただきますね。」
「私も、末席で。」
一日中共に行動する特別な侍従ズは、仕えている方が許せば、食事を一緒にする事もある。ざっくばらんに、遠慮なく。
「ただいま〜!」
「帰ってきたよ〜!」
「エルフ、はげましてきた!」
靴を脱いで靴箱に入れ、まずはオランネージュ、ネクター、ニリヤが寮の玄関からトト、とあがる。
ロテュス王子も見よう見まねで、竜樹達大人がゆっくりと上がってくるのに合わせて、靴箱に脱いだ靴をしまい、寮の廊下に足を踏み入れた。
「あ。」
「あれ?」
「あかちゃん、だ!」
寮の廊下に、よちよち歩きぽっこりお腹の、赤ちゃん。ちいちゃな水色の甚平を着て、目をまん丸にして、こちらを見た。
「あれ〜?ら、ラマン?何でここに?って、あー!」
竜樹が面倒見している、16の地方教会孤児院のうち、アンクル地方の子だ。
何で寮に?ムムム。いや、何となく、チリ魔法院長とエルフ魔法使いのトップ、何て言ったっけ、そう、ファマローのやらかしの香りが。
「ラマン!」
「あーい!」
おててを上げて、はーいが出来るのである。ニコニコ、よちよちとこちらにやってくるので、竜樹は、しゃがんで両手を差し広げ、ラマンを迎えた。親指をちゅむちゅむしつつ、人見知りもせずに、ラマンは竜樹の腕の中におさまった。
「ラマン、やっと会えたね!竜樹父さんと寮の皆に、会いにきたの?転移してきたのかい?ん?」
「あーい! ムフー!」
うんうん、そうかそうか。
抱き上げて、背中をポンポン撫で撫ですれば、竜樹と顔を見合わせてキャキャ、と笑う。
「あい、じゃあお兄ちゃん達の所に、連れて行ってくださ〜い。ほら、ラマン、つかまえちゃうぞ、まて〜まてまて〜!」
「キャ〜!やいや、やぁ〜!」
まてというと待たないのが、赤ちゃんという生き物。超嬉しそうに、トテ!トテ!と交流室に入っていった。まてまて〜と言いつつ、竜樹達はのんびりと追いかけて。
「あ、お帰り〜!」
床に座り込んで、ジェム達が大きな紙に何か書き込んでいた。エフォールが手紙のもとの考えを書いた時に使った紙と、同じものだ。
皆が一斉に顔を上げて。
「「「おかえりなさい〜!」」」
キャキャイ!
「ぅお、何だか大勢だね!ただいま〜!」
「「「ただいま!」」」
交流室には、いつものジェム達に加えて、地方教会孤児院の子達が、全部ではないけれど、集まって床の紙を囲んでいた。
交流室は満杯、子供達だけでなく、当然見守る為だろう、面倒見の大人達も増えていた。




