ポッポッポ
「あ、あの、竜樹様。寮まで戻られるなら、転移でお送りします!」
ロテュス王子は、感動の再会でほっぺをポッポ、涙をコロンと流していたが、竜樹と3王子達が帰ると聞いて、はわはわ寄ってきて申し出る。
「ありがとう、ロテュス王子殿下。でも、せっかく家族でやっと会えたんだから、ゆっくりしてほしいよ。ここに来た時の一角馬バスがあるだろうから、それに乗って帰るよ〜。」
竜樹が遠慮すると、ロテュス王子は更に言い募る。
「竜樹様たちは、お腹が空いていらっしゃるでしょう?パシフィストの王子様たちは、何か食べられたですか?私たちの為に、皆さん頑張ってくださったのだから、是非、送りたいです!」
見上げて、竜樹のあまり大きくはない手を、ギュッと握る。ポッポ、とまた頬が赤くなり、フス、と鼻息が漏れる。
ああ、エルフって、何て綺麗なんでしょうか。ロテュス王子は、虐げられていたやつれが幾らかあるものの、しっとりとした肌は、若さもあって、桃のように瑞々しい。
竜樹が、ホワッとニコニコしていると。
「私たちは、エルフ達のごはんは貰わなかったけど。」
「侍従のタカラが、おべんとう用意してくれてたよ。」
「ぱんとおにく、ちょっとだけおやさい、たべたの!」
3王子が腹減りじゃなくて、良かったよ。子供がお腹を空かせてるのは、良くない。
「ウンウン、そりゃ良かった。後は大人達だけだから、何とでもなりますよ。でもお気持ちありがとう、嬉しいよ、ロテュス殿下。」
「ーーー竜樹様、お腹がすくって、本当に情けない、つらいきもちになるのです。私は、それを、どうしても捨ておけません。だから、すぐにでも何か食べられるように、送らせて下さい。」
ロテュス王子の、ジュヴールでの扱いの、実感なのだろう。ふ、と眉尻を下げて、キュと顔を顰めて、といった風だったので、竜樹もそれ以上は拒まなかった。
リュミエール王も、「うむ、ロテュス、是非に送って差し上げて。」としたので、お礼を言い、頼んで寮に転移する事に。
「そしたら、お願いしますね。ロテュス殿下。殿下もお腹空いてるでしょう。寮で一緒にご飯食べましょうか。」
「はいっ!」
ニコ!とお互い、笑顔になった。
ロテュス王子は、改めて竜樹の手をキュム!と握って、何故か、ハフ、と息を吐いて、ちょっと憂いのある色っぽい目をして、ポッポッポ、と頬を赤らめた。
リュミエール王とヴェルテュー妃は、また何故か満々の笑顔で。エクラ王子が、はてなの顔のまま、竜樹とロテュス王子と、そしてエルフ王夫妻を交互に見ていた。
んむ? と竜樹と3王子は思ったが、やっぱりまだちょっと調子が悪いのかなぁ、なんて思って。竜樹は、撫で撫で、とロテュス王子の頭を撫でたし、3王子は背中や肩をぽんと叩いた。
ふふ、と嬉しそうに微笑みを返す、ロテュス王子なのだった。
短めでも、溜めずに日々更新したい気持ちです。お許しあれ〜




