帰ってきたよ
「ふぇ〜お腹すいたよ〜!」
竜樹はぐんにゃり、お腹を押さえた。
空腹に弱いのだ。何か食べねば。
体育館で応援していた3王子が、心配顔でパタパタ駆け寄ってくる。
「ししょう〜!」
「竜樹〜!」
「エルフのみんな、助かったよね!」
竜樹は手を挙げて応え、腹にぶつかってきた3王子をギュッとした。
「うん、みんな助けてきたよ。もう大丈夫だよぉ〜。」
ジュヴールにエルフ奪還しに行った、竜樹達とエルフ魔法使いとリュミエール王、ロテュス王子、エクラ王子、そしてスーリール達テレビクルー。
種子のエルフ達を助け、ジュヴールの中央を握り、各国の管理官達に任せて、体育館に帰ってみれば、大幅にお昼を過ぎていた。
リュミエール王は長く拘束されていたので、かなり痩せていたが、ジュヴールにお叱りの一幕を乗り切って、少し興奮しているよう。体育館で待っていた、妻のヴェルテュー妃の元へ、ロテュス王子とエクラ王子の手を握って連れて、ささっと歩み寄った。
「ヴェル、ヴェルテュー!やっと会えた。酷い思いをさせた、どうか許しておくれ。」
「いいえ、いいえ!子供も貴方も、無事でいてくれて、本当に良かった!」
抱き合うエルフ王一家に、竜樹達もじんわり。
何か、消化に良いものを用意しましょう、とボランティアが速足で、厨房代わりにしている体育館の庭、テントへ向かう。
種子のエルフ達は、縁者達に大事にされ、今夜お風呂でゆっくり温めてあげる予定だそうだ。エルフ達は転移ができるので、今はお風呂の元プールを覚えたから、簡単に連れて行ける。
種子達の目が覚め、ゆるりと身体がほぐされる時期は未定だが、今動けているエルフ達が安心して過ごせば、徐々に良い影響を与えるだろう。
ボランティアは食事を貰わない、と決めたので、竜樹達は帰る事にする。
「俺たちは、今日はもう、寮に帰りますね。まずはゆっくりされて、それから今後の事を考えましょう。」
「ありがとう、竜樹殿。エルフは受けた恩は忘れない。どうか当てにしておいておくれ。」
竜樹が困難に出会った時の頼みの綱が、また一つできた。
短いですが、お許しあれ!




