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王子様を放送します  作者: 竹 美津
本編

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コウキと文と千沙ちゃんと 1


『コウキ♡と文♡と千沙ちゃん♡と』


バン!とアオリで映る、カッコいい女優、鏑木文かぶらぎふみ28歳。


そして、今度は真正面から、地味でフニャっとした顔で映る、畠中幸樹ハタナカコウキ20歳。


てへへ!と笑って可愛い、小学1年生、娘の千沙ちゃん7歳。


この2人と1人が出会ったのは、お互いが大学の1年、千沙ちゃんが幼稚園年長さんの時。

コウキと文は、教養課程で講義が一緒になっていたので、同じ教室内には存在していた、というにすぎない。出会いらしき出会いでもない。


ただ、文は女優だったので、教室内で注目を集めていたから、コウキは文を認識していた。

その時のコウキの文に対する気持ちは、(やっぱり女優さんになるだけあって、とても魅力的な人だなあ。)(そしてとても、忙しそうだなあ。)というものだった。


憧れを持ってはいたが、コウキから文には、特に何のアプローチもせず、時折、素敵だな、と授業中に横顔をチラリと見るくらい。

でも、あんまり見るのは憚られる。他の大学生達もチラリチラリ、ジーッと、人によっては、懐っこく話をしに行ったりして、人の視線が絶えない、文の身の回りだった。


(あんまり見ちゃ、失礼だよな。気も休まらないだろうし。勉強しに来てるんだし。)

とコウキ。


⭐︎ナレーション

おいおい、それじゃ全然、出会いにならないだろ!


⭐︎文

でも、そういう所が、コウキさんの良い所だと思います!


⭐︎ガヤ

ヒューヒュー!


文は高校生の頃から女優をし、一旦は学びの道ではなく、仕事をとった。

だが、演じながら、自分には知識が足りない、知りたい学びたいという気持ちを抑えきれず、勉強して大学を受験し、見事入学した。


⭐︎文

いざ念願の大学生ライフ!勉強も頑張るけど、千沙ちゃんのお母さんとしても、頑張らなきゃ!

しかし周りの大学生の子達は、若くて、ぴちぴちして、可愛いわねぇ!

目の白い所が、青白くて透明感があって、キラキラしてるわ。


⭐︎ナレーション

そんな年上の気持ちの文だったので、親しくなった子達には、文お姉さんとして、敬われていたのであった!


そしてその頃、千沙ちゃんは、お父さんお母さんが事故で亡くなって、会えなくなったのが小さな胸に痛くて、いつもグスグス泣いていた。


⭐︎千沙ちゃん

こころが、ケガしてた!


そんなある日。千沙ちゃんが幼稚園に行きたくないと、文から離れなかった朝。仕方がないと、大学に千沙ちゃんを連れてきた文であったが。


『千沙ちゃん!千沙ちゃん!』


必死に文は千沙ちゃんを呼んだ。少し目を離した時に、千沙ちゃんは迷子になってしまったのだ。1時間探しても、千沙ちゃんはどこにもいない。


どうしよう、情報を公にして探した方が良いのか、と慌てる文に、ここで同じ大学の中でもイケメンと噂の結城悟が、爽やかに話しかけた!


『どうしたの〜文さん!』

『私の娘、千沙ちゃんていう、これくらいの背の、幼稚園生の子が迷子になって。見かけなかった?』


すると結城は、ああ、と頷き。

『畠中から、迷子がいるよ、って皆にメッセージ来てたよ。』

『うそ、どこ!!』


結城は、ぴぴ、とメッセージを送り、すぐに返信が来た。

『大学の門の所にいるって。どこに行くにも、門を出入りするだろうから、そこで千沙ちゃん?と待ってるんだって。』


大急ぎで門へ向かう文。

と、ついでに結城。


『あ、文お母さん!』

『千沙ちゃん!良かった、良かった〜!』

ホッとする文と千沙ちゃん。

そこに立っていたのは、後に文の夫となるコウキ。と何人かの女子大生達。


女子大生達は、お母さん見つかって良かったね〜、とすぐに、ちゃっかり仲良くなった結城と去って行った。コウキが、小さな女の子と自分だけだと、怖がられるかな、と近くにいた学生にお願いして、いてもらったのだ。


『千沙、文お母さんがいなくなっちゃったから、泣いてたの。そしたら、コウキお兄ちゃんが、迷子なのか〜、みんなに聞いてみるね、門の所で待ってよう、ってしてくれた。』

『ありがとうございます、ありがとうございます!』


心から感謝する文。

千沙ちゃんは、今までのしょんぼりから、一転、ニコニコとした表情になって。

『今日は、コウキお兄ちゃんのおうちでご飯たべる!』

と言った。


え?


もしや怪しい大学生?訝る文に、コウキは。

『えーと、千沙ちゃんとちょこっとお話したんだけど、俺、両親と血が繋がっていなくて、養子なんです。千沙ちゃん、そういうおうちの事、知りたいんですって。あの、俺、実家から通ってるんだけど、お母さんが良いって言ったら、ウチの家族と一緒にご飯しようね、って。無理にじゃ、ないですよ!』


大丈夫なのかな。と文は思ったが、正直、子育て情報は欲しい。

千沙ちゃんはコウキになつききって、抱きついて『行きた〜い!行きた〜い!』と言うし、文は迷った。まだコウキを怪しんでいたのである。


『急にそんな事を言っても、困っちゃいますよね。もし良かったら、ウチの母と話だけしてみませんか?あの、スマホで。』

コウキは、その場で母マリコと通話し、文に自分のスマホを渡した。

話しているうちに、何となくコウキの家に行く事になり、一応マネージャーにコウキの家の住所を連絡もさせてもらい、本当に普通の夕飯を(その頃はまだ家にいた竜樹と、コウキが作った)食べ。千沙ちゃんはコウキや妹の高校生サチとも仲良くなって、養子けっこうあるある、別に普通に、楽しくやってるよぉ、と撫でられて、少し安心したのだった。


⭐︎千沙ちゃん

竜樹お兄ちゃんとサチちゃんとコウキお父さんと仲良くなって、こころのケガが、少し、なぐさまった?なぐさめられた!


母マリコと連絡先を交換した文は、それから何度も畠中家に行き、千沙ちゃんと夕飯をご馳走になる事に。


⭐︎文

最初仲良くなったのは、マリコさんとだったのよね。


⭐︎コウキ

俺は、ただの弟ポジションでした。


⭐︎ナレーション

2人が意識し合うようになったのは?


それはねーー。

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