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毒をぬく

第二側妃には、ハーレムらしく全身のメンテナンスを毎日ゆったりとやってもらって、適当に褒めてくれる、害のないお茶会仲間の取り巻きを仕込もう。監視役にもなるし。

また、あんまり暇をつくってまたおかしな事を考え出しそうだったら、竜樹の世界のファッション雑誌でも投影してやろう。

王様と密談の竜樹である。


そう、スマホ画面の同期は、チリの頑張りによって実現しているのである。そして、少しだったらチリが魔法で整えた魔石に、データの移動も可能となった。どのデータを移動して流すかは、竜樹の良心にかかっている。webページはリンクを保たず、1ページづつでないとコピー出来なかったが、電子書籍そのものは、買った物が移動できた。移動すると竜樹のスマホからは消えるので、誰も見ていなくても、著作権は守れていると思いたい。そして、移動先の魔石から、コピーはできない。

何故だか塩梅のいいこの仕様も、神様チックな制限力が影響してるのではないか、と竜樹は思っている。


今は、王様達と映像が見られるよう、大きい布に魔石を要所に散りばめている所である。魔石はこの国で豊富に採れるものだそうで、また魔力が空になったものを人力や、魔力の多い場所に建てられた神殿にお供えする事で、充填する事もできるから、長く使えるお手軽便利エネルギー源なのだそうだ。 


「高貴な方に俺の世界のファッションや美容から、こう、良いところを抽出してもらって。何の役にも立たないと、また拗ねてしまうかもしれないから、そっちを引っ張ってもらう事にして。センスは良いんですか?第二側妃様って。」


「特に良くもなく悪くもなく、といったところだな。周りに、新しい異世界のデザインに興味ある、熱意があって人の扱いが上手い者を宛がおう。野心は少々あっても良いが、予算も鑑みて作ってくれそうな、頭のいい奴がいい。探させておく。」


「そうして王様が気にかけている、という演技を、忘れない事ですね。」

うんざりして、王様は、ガックリ。


「私は、舞台役者ではないんだがな。」

「世の中の夫は、ある意味偉大な役者であらねばなりません。と、私の父が申しておりました。」

時々でいいんですよ。時々で。

そうして、王妃様とは本音で労わりあってください。共闘する同志なんですから。


「ああ、王妃は、仕事仲間としても妻としても、これ以上ないと思っている。•••王といえど、家庭を築くとなれば、情けない一人の男であるな。」



今回の事で、日々家族が顔を合わせて元気を確かめる必要を感じたよ。これからは、家族で晩餐する回数を増やそうと思う。お茶の回数もな。

「どうか竜樹殿もニリヤも、出来る限りでいいから、団欒に加わっておくれ。」

そう言って、王様は仕事へ行った。


「さて、今日はこれからどうするかー。」

「•••。」

へにょ、とした口のミランが、ニリヤを抱っこして席から立たせる。

部屋に一旦戻るか、と先導して歩き始めて、黙々と。部屋に戻り、ニリヤをいつものあっさりした服に着替えさせ。


「私がこんな事を言うのは、僭越だと分かっていますが、飲み込めません。」

ショボンと手指を揉んだ。


「•••竜樹様は、第二側妃様を、とっちめて下さると思っていました。」

そしてグッと手を握ると、


「ニリヤ様に酷い事をしたのに、褒められて終わるなんて!何かとても悔しい!」


なははは。竜樹は笑ってソファにあるクッションをぽんぽん、と叩く。ニリヤが駆け寄って、竜樹の隣りに座った。


「勧善懲悪は気持ちいいけど、相手を敵にして戦い続けるのって力いるだろ?関係性は終わらないし。やり返してもやり返しても、いつまでも嫌がらせされるの、その応酬いやでしょ?」


持ち上げて丸め込んで毒を抜いてしまえー。


「毒を抜く、ですか。」

「責任任せられるって事は、裁量を任されるって事だろ。仕事しない方がいい人って、存在するよ。だけどそういう人を、いない事にはできない。」


あーでも、平民出の王子が軽んじられてるのは、何とかしなきゃね。

周りの力ある人が、強引に解決しようと思えば、王様に奏上できたかもしれないけど、やっぱり平民出の王子の地位を軽くみてるとこがあったから、それが普通だったから、仕方ないでみんな見逃していたところってないかな。


ぎくり、ミランもマルサも、これまでで初めて言われた事に、身をすくませた。

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