陽炎の月9日から12日 アルディ王子2
さて、しばし後、やっと家族4人は落ち着いて。
涙の海の再会を、ニッコリ見守る家族以外の者の存在に、改めてはたと意識が向き。気恥ずかしい思いで微笑み合いながら、ブレイブ王は、ルルー魔法療法師と護衛のクルーに声をかけた。
「ルルー魔法療法師よ。良くワイルドウルフに参られた。今も続く丁寧な治療を、本当にありがたく思っている。仕事で参られ、アルディに付いて下さるとは思うが、せっかくだからこの国を楽しんでいけるといい。足りぬものがあれば、何なりと。」
「ご厚意ありがとうございます、ルルーと申します。アルディ王子殿下が、楽しくおぼん休みを迎えられますよう、力添えできれば嬉しく思います。ワイルドウルフのお国は、皆活発で、賑わいのある良いお国ですね。こちらの治療チームとも、深くお話ができればと楽しみに参りました。」
毎日診ているアルディ王子が、温かく迎えられて、ルルーも嬉しい。
うむうむ。
ブレイブ王、ぐすぐすしてアルディに抱きついているラーヴ王妃も、そしてファング王太子も。ルルーに口々にお礼を言い、また、今後とも頼みますと、重々に頼んだ。
「クルー、我が息子アルディを、守ってくれて助かっている。今まで良くやってくれた。国にいるうちは、護衛も交代しながら、休みを取ると良い。」
クルーも、耳をピッとはためかせて、真面目な顔しながらも、口角上げて、胸に手を当てて。
「お言葉、ありがとう存じます。私は、おぼん中も、アルディ王子殿下に付かせていただきたく存じますが、もし叶うならば、1日だけ、兄に会いたく思います。」
「うむうむ、そうか。会ってくると良い。」
ルルーとクルーの2人とも、アルディ王子の側に付くのが仕事だから、お土産贈呈の時も、同じ室内にいた。ルルーには侍従が椅子を出して座って控え、クルーは仕事柄、きちっと立って。
「お土産、開けてみて下さい!こっちの黒い箱が、お父様。赤い箱が、お母様。黒に金、赤い紐の箱が、兄様です!」
漆塗りの箱に、ワンポイント、螺鈿の狼が渋い。
竜樹が、アルディ王子のお土産に、一つプラスしない?とニンニンしつつ漆塗りの箱を持ち出した時。子供達も、わわわと集まって、ピカピカ!つるつる!なないろ!とほわほわ騒いだ。
「たからばこ、みたいね!」
「こんなの、見た事ないぜ!」
「触ると、指紋がつくんだぞ〜。」
にひひ、と竜樹が言うと、ピッと皆、手を引っ込めた。まあまあ、見てごらんよ、綺麗なものは、単純に、綺麗でしょう?と、布を使って大事に持って、子供達の目に見せて。
「これも、この国の地方にあったんだよ。前々から頼んでおいたんだ。王様と王妃様の分、それからアルディ王子のご家族の分ね。」
中のお土産より、箱の方が大分豪華になってしまったが、どちらも喜ばれるだろう。渡されたアルディ王子は、そこに自分の分の小さめな箱を見て、くふ、と笑い声をもらす。
「おおお、これは箱も美しいな!」
「本当、艶があって、七色に光る狼の絵があって•••。」
「綺麗だね•••。」
むふん!
アルディ王子は、得意気に。
しゅるしゅる、と皆が紐を解いていくのを、待った。
^_^ しばらくアルディ王子たちに、お付き合いください。




