ビーサンは王妃様案件
「ビーサンが履きたい!!」
靴は嫌だ!泳いだ後には!一回履いてた靴下も履きたくない!ムンムンムレムレなのだ。
竜樹は、暑かった今日の日、子供達とプールに行って帰りながら、ギュッと拳を握って力説した。
ビーサンが欲しいと思ったのは、もっと前にプールで泳いだ日だったけれど、なかなかそちらを仕事にする、気持ちの余裕が今までなかった。
「びーさんて何なのです?」
カメラを回しながら、ミランが聞いてくる。
ビーサン。ビーチサンダルである。
「川や海や気取らない日常で素足に履く、こんな、こんな履き物です!足下をサラッと、サッパリしたい!」
スマホで検索して見せると、ヘェ〜、と子供達も、スマホを持った竜樹の手をぐい、と低く目線に合うように引っ張って、覗き込む。
「へんな、かたちのおくつだねぇ。」
ニリヤが、まじまじと見つめて。
「足の指は、どうなるの?」
「親指と人差し指の間に挟むんだよ。」
ヘェ〜、と子供達はひとしきり見ると竜樹の手を離した。心は、寮に帰ってのアイスに飛んでいるのだ。
「この世界、貴族の女性は素足がタブーだって聞いたけど、何も無理矢理女性に履かせようとは思わないからさ!ビーサンもそうだけど、この国、つっかけサンダルもないでしょ。布団や洗濯物を干す時、ちょっとつっかけて、なんてのが、したいじゃ〜ん!何故か、みんな足下かっちりなんだもの。」
虫にくわれるとか、危険があるとか、理由があるの?
???
元々なかった世界のマルサやミランやタカラは、分からなかったが。
「いえ、虫は、虫除けがありますしね。その用途ですと、草むらを歩く訳ではないし•••。竜樹様が欲しいのであれば、試しに作ってもらいましょうか。」
「素足って、そんなに気持ちいいのですか。味わってみたいです。」
「俺たちは、何かあったら戦わなきゃだから、多分無理だがなぁ。」
マルサは残念そう。
何と。サムライは、草履で戦うよ?
と竜樹は思ったが、慣れない靴で動くのは、確かに護衛としては避けたいだろう。
「でもこれ、確実に王妃様案件だと思われますよ?」
「え、何故?」
スマホの、レディース、サンダルの文字と写真をつんつん、と突いて、ミランはニコッとする。
「この繊細で、美しいフォルム。素足を出してはならない、というタブーはありますけど、民たちには関係ありませんし、それに、竜樹様の発案のものは、人気ですからね。何としても裏技を使って、貴族の女性たちも楽しむのでは、と思いますね。」
「裏技?」
「王妃様にご相談すれば、分かりますよ。むしろ相談しないと、しょんぼりされます。」
ミランもタカラも、そしてマルサも、うんうん、と。
うん、まあ、偉大な女性には敬意を払い、相談させてもらいましょう。
寮で、酸味のある夏の果実、パイナップル味、を凍らせて砕いて、ミルクと凍らせたアイスをシャリっと食べて、一休み。の間に、こんな事、思いついたのだけど〜、と王妃様に連絡してもらった。
皆で昼寝して起きたら、椅子に座って王妃様付きの侍女がいて、ニコニコと目覚めを待っていた。
「あ、あ、お待たせしてすみません!」
「いえいえ、お休みだったら無理せず、と王妃様から言いつかっております。ふふふ、何だか、赤ちゃんも含めて子供達がいっぱい、って和みますわね。」
今日は短くてすみませぬ




