ヤングコーン
「ヤングコーン?」
そうそう。
竜樹の手のひらより、若干大きいか、と思われる大きさのヤングコーンの、皮を剥いて、未熟なアイボリーの実だけにする。ヒゲは天ぷらに、実は素揚げして塩をひと振りに。
「ヤングコーンて、コーンの未熟な間引きの実なんだ。間引きの物も、勿体無い、食べよう、て嵐桃の時に調べて、農村部の人たちにも聞いてみた結果、色々教えてもらったんだけど。このヤングコーンも、農家でだけ食べてたんだって。でも消費が間に合わないから、今までは捨てたりもしてて。」
「へえ〜、コーンって、皮付きだと、こんな風なんですねえ。」
ミランがカメラを回しつつ。
王子達、アルディ王子、エフォール、ピティエにプレイヤード、新聞売りの子供達。そして元王女の姉エクレと妹シエル。全員できゃわきゃわヤングコーンの下拵え。
護衛のマルサも、ふぅ〜ん、なんてまじまじと、ヤングコーンの皮をむしる竜樹を眺めている。
寮の交流室は、コーンの皮だらけだ。
「ヤングコーン、お試しで送ってもらったんだ。時止めの倉庫にしまったそうだから、これから販売できるように、レシピをね。」
本当に、こんなものが商品になりましょうか?と農家さん達は疑問符を浮かべていた。美味しいのは、美味しいんだけれどねえ、なんて。
大丈夫、見栄えもするし、美味しいし、普及させましょう。竜樹は自分が食べたいのもあって、それはもう力説した。
「テレビ、ラジオ、教科書の就職試験が落ち着いたら、教会の子供達も連れて、近郊の農家に、農業体験遠足もいいよね。」
もちろん、テレビでも流して。
「農業体験?遠足?それって、面白いのか?」
マルサが、農業、大変そうだし。はてな?と首を傾げるが。
「一番面白い収穫を、ちょっとお手伝いして、そこで食べてみて、とか、きっと楽しいよ。元の世界にも観光農園なんてあったし。秋だったら、ぶどう狩りとか、梨狩りとか。」
今日は短くて、すみません。
ヤングコーン、甘くて美味しいです。




