オーブも一緒、代表で
フードゥル国の、カルネ王太子が謝罪したい旨、竜樹に連絡がきた。
王様からの言伝で、宰相のホロウが、わざわざ寮に誘いにきた。
「フードゥル国のカルネ王太子は、本来なら自分が竜樹様のいる所へ頭を下げに行かねばならないが、一緒にいる子供達に、また嫌な思いをさせては本末転倒だから、と。ハルサ王様にも、この国の子供達を辛い目に合わせた謝罪がしたく、もし許されるならば、ハルサ王様と一緒に、会って謝罪をさせていただけないか、と。丁重にお申し出になりました。」
「カルネ王太子様?王女達の尻拭いに、一つ位の高い方がみえたんだね。ホロウ宰相から見て、彼はどんな方ですか?」
竜樹が、おやつの、あまじょっぱいポテトを食べるニリヤの口を、コシコシ拭いてやりながら、ホロウ宰相に為人を聞いてみる。
「私は、直接お会いしたのは先程の一時だけですので、詳しくはわかりませんが。お申し出を聞いて、まずは常識的な、誠実な方かな、と思いました。」
「へー。お会いしても、大丈夫そうかな?」
「どうでしょうね。他から入った情報ですと、カルネ王太子殿下は、次代の王の責任をきちんと理解され、地味なお仕事もしっかりするし、また、部下からの求心力もあり、心熱い人物とも聞かれます。王族として、厳しい所はおありですが、理由なく厳しさを押し付けるような事はなさらない、とも。」
ふん、ふん。
「ホロウ宰相がそう言うなら、お会いしてみようかな。国同士の仲を悪くしたい訳でもないしね。」
竜樹がお手拭きで、ポテトのタレのベタベタを拭いて、立ち上がると。
「ぼくもいく!」
「私も!」
「私も行くよ!」
ニリヤ、ネクター、オランネージュの3王子が、ガタガタと椅子から降りて、もぐもぐしながら手を挙げた。
「私たち、子供の代表だもの。」
「お話、聞きたいよ。」
「しりたいの。」
3人はこの国の王子だから、皆に助けてもらいながら、子供達を守れるように、代表するんだよ。
王子様って何するの?子供達の疑問に、いつか、竜樹が言った事があった。覚えてたんだな、ニコリとして。
「分かった。皆、この間の、悪い冗談言った王女殿下たちの、お兄さんがごめんねって謝りに来てるから、王子達に代表して聞いてきてもらうので、いいかな?」
「「「良いよー!」」」
「頼むぜ!」
「聞いてきてー。」
後をラフィネに任せて、竜樹と3王子は、ホロウ宰相の後から、靴を履き玄関を過ぎ、寮の外に出た。
「ココッコ!コココッコ!」
オーブが竜樹達の後を、くっついてくる。
「オーブ!いじわるおうじょさまたちの、おにいさんが、ごめんしにきたよ!」
「私たち、聞いてくるね!」
「ココ?コココ!」
バッサーバタタタタ!
「うわ。」
ニリヤの頭の上に、オーブは乗って、ふくっとしゃがみ、まぁるく落ち着いた。
「オーブも行く?」
「ココ!」
行くのね。分かったよー。
王様の待つ応接室へ。
王様はソファに座っていたが、竜樹達が来ると立ち上がって出迎えた。
「竜樹殿、良く来て下さった!本来なら、私達王族が、ギフトの御方様に憂いのないように、国同士の関係を調整しなければならないのだが。申し訳ない。」
しかし、来ていただいて、実は助かった。
ソファに王様自ら誘導してくれる。3王子も、トコトコと、脇のソファに座った。オーブはニリヤの頭上で、大人しくしている。
「直接謝りに来た王太子を、空の手で帰すのは、やはり、少々。ピシャリとやるべきか、とも思ったのだが、それを覚悟でいらしている。話だけでも聞いてみたい。昨夜、最小限の供を連れて、飛びトカゲにて強行軍でいらした。私たち王族の出迎えもご無用と、まずはエクレ殿下とシエル殿下を叱ったらしい。」
王女殿下達は、カルネ王太子にこっぴどく叱られて、萎れていると。
ふ、と息を吐いて。
「それでも、竜樹殿が会いたくないなら、今からでも私だけが会う形にできる。無理強いはせぬよ。本当にお会いして、よろしいか?」
「良いですよ。俺も、ちょっと思う所があるから、会ってみたいです。」
そうか。ならば、ご一緒しよう。
ハルサ王様は、ソファに深く背もたれて、また背を起こすと。
「それで、オランネージュ、ネクター、ニリヤは、何故一緒に来たのかな?これから、少々、大人の話であるぞ。」
ニヤリ、3人の顔を見回して。
「私たち、子供の代表です!」
「ちゃんと、謝るの、聞いて皆に報告します!」
「いじわるだめよ、するの!」
ふふふ、ふ!
「子供達の代表か。ならば、良い子に聞いているのだぞ。」
「「「はい!」」」
「オーブ殿も、よろしく頼みますよ。」
「ココ!」
今日は短いですが、お許しくだされ




