見本の番組
『みんなでいっしょに遊ぼうよ、は〜じま〜るよ〜!』
キラキラキラリ ラン ラララ♪
いっしょにあそぼ あそぼうよ♪
にゃんたとみなととキラキラさん♪
みどりのもりの なかまたち♪
『え〜?!にゃんた、キラキラさんのぶんのおかし、たべちゃったの〜!?』
『う〜ん、がまんできなくて•••。』
『キラキラさん、かなしむよ〜。どうしよう?』
『こまった•••。』
『あ!それじゃ、おにいさんに、きいてみよう!』
『『おにいさ〜ん!』』
『は〜い!うたう たびびと、おにいさんだよ。にゃんた、おなかすいてたの?これは、かいけつしないと、たびにでられないな!』
『にゃ〜ん•••たのむよ、おにいさん。』
『むむ、むむむ。あっ、そうだ!もりのはずれに、くだものが、なってたはず!それを、にゃんた、とってくるんだよ!あまくて、おいしいんじゃない?』
『くだもの!にゃ〜ん、とりにいこう!』
『ぼくたち、もりのたんけんたいだ!』
『うたいながら、いこう!ちびっこたちも、ついてきて〜!』
わ、わ、わわわ♪
にゃんたはにゃーお♪
みなとは、たらったた♪
おにいさんは、らんらんらん♪
おててつないで、にっこりと♪
「うん。子供、踊ってるね。」
意見交換会、会場の子供達、小っちゃい子達が、毛氈の上で、おててをぶんぶん回しながら、見本番組の着ぐるみ、にゃんた達の真似をして踊っている。きゃきゃっ!と歓声が混じる。にゃん、にゃん、とスクリーンの着ぐるみ達を指さして、教えてくれる子もいる。
そうねーにゃんにゃんねー。うんうん。
「にゃんた•••!」
オランネージュの心にも、にゃんたは刺さったようだ。
「問題なく、子供向け番組は、ウケたようで良かった。」
竜樹がニッコリして子供達の様子を見ているが、主に男性達は、これ、何だ•••?という視線で、画面と子供達を見ながら声も出ていない。
女性達は、ニコッと手拍子などしてくれたりもする。
だが、中には優しく一緒に手拍子してくれる男性もいるし、女性でもびっくりして画面と子供に目が釘付けな人もいる。
にゃんた達がくだものを無事にとり、キラキラさんの所へ持って行った所で、お兄さんは旅に出て、さよなら〜をした。明日帰ってくるからね〜、と一泊2日の旅をするお兄さん。何だかんだ毎日みどりのもりにいるお兄さんなのだ。
「ちっちゃい子達、面白かったね〜。いい子のみんなに、楽しい番組ができるといいね〜。」
あーい!とお返事をする子も。
「お父さんお母さん達は、この番組、何時頃放送されているか、分かりますか?そう、お夕飯の支度をする、夕方です。子供達にテレビを見てもらいつつ、お母さん、或いはお父さんは、夕飯の支度をする。貴族の皆さんは、夕飯の支度はしないでしょうが、テレビが大衆に開けた時、庶民の視聴者層を無視しては作れません。」
「そして、あんまり小さい子に、お返事してくれないテレビをずっと見せるのは、どうかな?って声もあるようです。お父さんお母さんとの触れ合いが、とっても重要なので、ある程度お子さんが大きくなってから、うまくバランスを各家庭でとるのが良いでしょうね。」
ふんふん、と頷くお母さん達。
メモをとる男性もいる。
次は、コマどりアニメの、『こぐま物語』。
可愛らしく作られた人形を、ちょっとずつ動かして一枚一枚コマどりし、物語を作るのは根気がいる。今回のものは、メイキングまである、短い物語で、こぐまがはじめてのお友達を作って、ケンカして、仲直りするまで。
肖像画工房をリストラされたアニメーション制作を担う若手達が、ざわめき、その後声もなく、まじまじと見つめて。
国語の番組。
『ことばでぎゅ!』
アニメーションで名作文学の名文を歌にしたり。
算数の番組。
『はかせくんとさんすう』
幾つかあるりんごを、おんなじ数ずつ分けるには?はかせくんが、悩んで失敗しつつ、答えを導き出します。それを、式にすると•••?
理科の番組。
『たのしい理科』
虫や植物の観察、超ミクロの世界をどアップで!種の発芽の様子を、定点カメラで。
社会の番組。
『はたらくひと』
色々な職業の人を、ピックアップ!
今回は、風鈴作りの工房に勤める人に注目。女性職人さんもいるよ。
炉に溶けたガラスが、ぐつぐつしている映像は必見。冬でも暑いよ。
歴史の番組。
『かわいくわかる歴史』
カクカクした絵と、かわいいマスコットのネズミ達で綴る、歴史の物語。
音楽の番組。
『ミュージ・コスモス』
壊れた世界から漏れ出た音達を集めて、演奏しながら、世界の有名な音楽達をエンジン・アルバムに。全部集めたら、世界のひび割れが直る、かも?
工作、美術の番組。
『つくっておもしろ!』
身の回りにあるもので、楽しく工作!
『びびびじゅつ』
有名絵画、デザイン、器などを、来歴をコミカルなドラマで。じっくりと映像で細部を映しつつ、特徴も語る。
体育の番組。
『できる?たいいく!』
体育の時間が苦手な、運動音痴なイクオ。今日は、逆上がりをするコツを、体育系兄貴達に習う。イクオは果たして、逆上がりできるか?
料理の番組。
『りょうりでゴー⭐︎』
シングルマザーでお母さんが働いている剛は、いつもお腹を空かせている。自分でなんとかできないか?と考えていたら、お料理の妖精が現れた!お母さんの弟、フリーターの楽おじさんに見てもらいながら、簡単なお料理を教えてくれる妖精。剛はお母さんにも褒められる。包丁やIH調理器を使う時は、大人の人についていてもらってね。
家事の番組。
『ほんの少し、おてつだい』
将来女性サッカー選手になりたいサリナ。行きたい高校では、寮生活をするんだって。お家のお手伝いをしてこなかったサリナだけど、高校に行ったら、自分のお部屋は、自分で気持ちよくしたい。
お手伝いをする事で、その準備ができるかも!チームメイト達も巻き込んで、するぞ、お手伝い!
この辺りになってくると、観ている方も疲れてくる。子供達は、お昼寝も。侍女さん達が、毛布をそーっとかけてくれている。
最後にぶっ込み。
「これから流す番組は、教育番組と言っても、大人向けです。数学の、伝説的な教授が、大学で面白く分かりやすく講義し教えてくれる、というもので、私にもわからない所がある、高度な数学です。こういうものも、あるよーと参考の番組です。」
数学の番組。
『天野教授の特別授業ーー数学に遊ぶ』
高度な数学を天野教授が、実際の生徒達を目の前に講義してくれて。
数学の見本番組の進むうちに、すたっ!と立って、口をあんぐりしながら、どんどんスクリーンに近づいてくる男性と、女性が一人ずつ。護衛がスーッと側により、お席でどうぞ、と言うも。
「待って、みてるから、黙って、講義が!」
「ああ!素晴らしい講義!そういう事だったんだ!」
「あの、どうしました?」
竜樹も護衛を挟んで寄る。番組が終わっても、興奮して、はーっ、と息を吐き、髪をグシャグシャにかき混ぜながらスクリーンを見つめている。
うん、数学好きな文官さんと、数学好きな無職の(貴族の娘さんは大抵無職だが)娘さんだった。
こういう番組も、密かに需要があるのかもなあ。
「お疲れ様です、皆さん。たくさん番組観るのも、疲れますよね。少しお茶にしましょう。生クリームとカスタードのシュークリームを、食べてみて下さい。米粉で作ってあります。周りの人と、番組についておしゃべりしてみて。この後、質疑応答、意見交換があります。質問する事を、皆さん、考えてみて下さい。」
頭を使うと甘いものが食べたくなる。
みんなゆっくり食べながら、話しながら、頭を整理してみてね!
ちなみにシュークリームは、大好評であった。




