フリーマーケット開催です
「本日は快晴、雲一つない天気です!暑くなるかもしれませんが、絶好のフリーマーケット日和と言えるでしょう!」
スーリールが、生放送で広場のフリーマーケットの準備の様子をレポートしている。広場前大画面テレビで、放送しながらなので、音声がダブルで聞こえて、面白い。テレビを見ようといつものように集まった人達が、今、俺たちテレビに映ってる!とサワサワして、手を振っている。
「初の開催、フリーマーケット。広場では、魔法で、薄く覆いが空にかけられて、暑すぎる日光や、今日は降らないでしょうが雨を、遮るようになっています。フリーマーケットとは、何か?というと、見て下さい。みなさん、思い思いに、机にお店を広げていますね!ここでは一般の人が、参加料を払って場所と机を借り、いらなくなった、でも捨てるには勿体無い、家にある物や、自分たちで作ったものを、自由に売っていい事になっています!」
ちなみに、今回は、子供主体のフリーマーケットなのですよ!店員さんに、1名は、子供がいなくてはなりません。また、子供達の使わなくなった服やおもちゃ、それから子供達が工夫して作ったものなど、大歓迎です!売るものは子供関連に限らず、危険なものや毒物でなければ、なんでも結構です。会場での傷みや食中毒に気をつけてもらえば、自家製の食べ物や飲み物でもいいんですよ。
「こちらの、ピュールさんご一家に、話を伺ってみましょう。おはようございます!」
「「「おはようございます!」」」
クシャ、と藍色の癖っ毛の夫に、そっくりで父の腰くらいの背の息子、それから長くカールした、コーヒーとミルクの二色をした髪の妻が、緊張しながらも、ニコッと笑う。
「今日は、何を持っていらしたんですか?」
「息子の、ジャンティーの、小さかった時の服です。妻のボーが、可愛くて可愛くて、手放せない!って言っていたんですけど、誰かの役に立つかな?ってジャンティーが言うので、せっかくだから売ることにしました!」
「いいですね!工夫もしてらっしゃるんですよね!」
妻のボーが、照れ臭そうに、刺繍した服を見せる。
「やっぱり、使った服だから、シミなんかが少しあったりしたんだけど、綺麗に刺繍をポチッと入れたりして、より可愛くしてみました。これは、小さなシミに、てんとう虫を刺繍で入れています。」
「えー、シミだとはわからない!可愛いですね!」
「あとは色々あるんですけど、中でも子供の作ったものを、と言う事で、ジャンティーが作った、どんぐりのコマや、置き物なんかを、少し置いてます。」
「あら素敵。ジャンティー君、器用ねえ。このドングリは、お顔がついて、楽器隊になっているのね。他にも色々、可愛い置き物が!」
「そうなの。つくるの好きなの。頑張って、つくったから、みんな買ってください!」
「売れるといいですね!頑張って下さい!」
「「「は〜い!待ってま〜す!」」」
画面は、今度、商業スペースに切り替わる。
「今日は、商業スペースも設けられていて、飲み物や食べ物の屋台も出ています。フリーマーケット参加者の飲み物や食べ物もありますが、プロの味も味わえ、喉の渇きも癒せます。そして、今回は、明後日開かれるプール用の水着を売る、デザイナーのフィルさんのお店、シェリーが出張開店しています!とっても素敵な水着、必見ですよ!」
「スーリールさん、ぼくたち、わすれないで!」
カメラがパンして、ニリヤ王子や、新聞売りの子達の中から何人かが、報道、という赤い腕章をキリリとつけ、マイクを持って待っている。そこにはカメラを持ったミランも。
「あっ、すみません。そうなんです、今日は、ニリヤ殿下と新聞売りの子の有志が、子供報道員で、レポートしてくれるんですよね!」
「はい!そうです!」
「ぼくたち、ほうどういんは。」
「子供目線で、このフリーマーケットを、生放送で、時々レポートします!」
「今日のテレビは、一日中音楽を流しながら、ときどきぼくたちのレポートが流れます。良く売れているところや、かくれた名品など、はりきってレポートしますので、お楽しみに!」
「吟遊詩人のみなさんは、テレビでながす音楽に、ごきょうりょくください!一曲銀貨1枚ですけど、出演料が出ます。テレビで流れたら、みんな見てくれるかも。チャンスと思って、来てみてください。広場前大画面下の舞台で待ってます。よろしくお願いします。」
「今日は、他にも魅力的な商業スペースの出店があるのですよね?」
スーリールの言葉に、ニリヤが、ふむ!と意気込んで。
「はい!まずは、ネクターにいさまの、あらしももの、シェイクのおみせ。つめたくって、あまくって、おいしい〜んです!あらしナシや、あらしプラムのシェイクもあります!こおらせたかじつを、ミルクやヨーグルトとなめらかにくだいて、ストローでのむんですよ!」
ニリヤに対して、腰を曲げて視線を合わせながら、スーリールが合いの手を入れる。
「それは、美味しそうですね!それから?」
「オランネージュにいさまの、しゃしんかん!これは、だいこんざつがよそうされるので、にかしょにあります!ぎんかいちまいで、かぞくのしゃしんや、じぶんのきねんしゃしんが、とってもらえます!まってるあいだ、かがみがあって、おけしょうなおしたり、ふくをととのえたり。かしだしのおはなをもってとったりも、できますよ!こどものせいちょうや、なかのいいともだちのきねん、ふうふで、こいびとのすがた、うつくしいじぶんのいまこのときを、しゃしんでのこしませんか!」
「ええーっ!?それは良いですね!私も写真、とってみたいです!プロの写真家が、ブロマイドみたいに撮ってくれるとか。」
「はい!あと、きょうはとくべつに、こどもしんぶんをはっこうしています。ぼくたちや、しんぶんうりのこたちでつくりました!いつものひろばの、やたいのおいしいところちずや、テレビのあんけーとに、こじんでかえるみらいのテレビのはなし、ワイルドウルフから、じゅうじんとのえんかつなかんけいをつくるために、はけんされた、こーでぃねーたーのこと。こどもでもよみやすく、おとなにもよみごたえある、ないようなので、ぜひかってね。もじを、ならいはじめたひとにも、オススメ!いっしょにこないだできた、おかしやさんのおかしもうってます。」
「どんな新聞か、読んでみたいですね!お菓子も、魅力的!」
「おかしといえば、きょうかいからは、たいやきと、べびーかすてらと、もじびすけっとのやたいが、でてます!たいやきは、あんこや、かすたーど、あんずいりあんこ、ごまいりあん、しろいおまめあん、キャベツとまよねーずとひきにくのはいった、しょっぱい、おこのみたいやきもあります。べびーかすてらは、おとなも、1さいくらいのあかちゃんもたべられる、バナナいりの、やさしいあまさ。あかちゃんがたべられない、はちみつは、はいらないやりかたでつくりましたので、あんしん!ほかほかが、おいしいです。もじびすけっとは、かるくたべられて、べんきょうにもなるから、おみやげにおすすめです!」
「あんず入り餡、食べてみたい!ベビーカステラも、ちょっと気になります。今日はレポート、沢山ですね。頑張って下さい!」
「はーい!いっぱいみんなにきくから、まっててね!」
「子供報道員の皆さんでした。私たちは、サポートにまわり、交代で時にはレポートもしつつ、子供報道員と一緒にフリーマーケットを盛り上げていきます!是非のご来場を、お待ちしています!では本日も、みなさん、よろしくお願いしま〜す!」
「ししょう!がんばったよ!よくできた〜?」
ニリヤがカメラに映らない所にいた竜樹に、振り返ってニパッと笑った。
「良く出来た!頑張った、頑張った!みんなレポート、早口でなく、遅くもなく、はっきり分かりやすかったし、長い説明も、ちゃんと言えてたぞ!」
と竜樹が言えば、子供報道員の皆は、てへへ、と照れ笑いして。クシャクシャと竜樹に順繰りに頭を撫でられた。
スーリールも、上手でしたよ〜この調子!と褒めてくれて、はーい!と元気いっぱいの報道員達だ。
『皆さん、準備は出来ましたか?準備中、幾つか注意事項をお話しますね。準備しながら聞いて下さい。私は司会の、マルク・パージュです。よろしくお願いします。』
司会は、バラン王兄殿下の婚約者で、低く落ち着いた、まあるい声のパージュさん。ちょこちょこ週刊王子達のナレーションをやっていたが、満を持して司会としての初お目見えだ。
まだ出来てない〜!なんてワタワタしている人もいながら、わ〜っパチパチパチ!と準備が出来た人や、買い物待ちのテレビ前で集まっている人達が、拍手。
テレビには、上品で落ち着いた、オフホワイトのワンピースを着て、舞台の端でマイクに向かうパージュさんのアップ。響く声で、まずは注意事項を話していく。
『皆さん、フリーマーケットを楽しむため、困った事があったら、黄色の、運営、と腕章をした係に、気軽に相談してみてください。ここ、広場前大画面下の、本部にいます。会場もたくさん係が巡回していますよ。』
竜樹も、運営、の腕章を貰っている。
『心配事を減らしておきましょう。おトイレの事をお話しますね。おトイレは、広場近くのお店にご協力いただき、借りられるようになっています。どの商店も、快く貸してくださり、ありがとうございます。』
お辞儀をして、指を一本立てる。
『一点注意が。おトイレを借りるには、お礼として、銅貨1枚からでもいいので、任意のお金を、お店毎に用意してある、お礼箱に入れて下さいね。綺麗なトイレを維持するにも、経費がかかっています。もしよければ、ついでにお店の商品も見て行かれると、いいと思います。どのお店も、今日だけのお買い得、特別商品があるそうですよ!』
おお、そうなんだ。ヘェ〜、と、所々から声。
『おトイレが借りられるお店は、本部と、広場の四方に建てられた地図にも、載っています。また、混み合うと思いますので、なるべく行きたくなる前に、早めにおトイレに並んで下さい。お子さん達は、我慢しにくいと思うので、順番譲り合ってお願いします。』
『そして、やむなく無料でおトイレを借りたい人は、かなり混み合いが予想されますが、1箇所3個室だけ、臨時のおトイレが出来ています。広場の大画面テレビから見て、反対側の西側にあります。』
『赤ちゃんのオムツ代え場所は、広場の四方それぞれにあります。迷子の案内所も、本部にあります。落とし物も本部まで。大画面テレビを目印に、来てみてください。』
『注意事項は以上です。そろそろ準備も終わりましたか?良いですね?それでは、第一回、王都子供フリーマーケットを開催します。』
わわわわ〜っ!
パチパチパチパチ!!!
竜樹もニリヤも、嵐桃シェイクを準備しているネクターも、写真館のオランネージュも。子供新聞販売所のジェム達とアルディ王子も、売り場に一般参加のエフォールも。みんなみんな、満面の笑顔と少しの緊張、湧き上がる興奮と共に、フリーマーケットの、開催である!
「じゃあ、しゅざいしてくる!」
「行ってらっしゃい!」
ニリヤ達、報道員は、週刊王子用のカメラマンのミランと、護衛と、スーリール達ニュース隊を引き連れ、会場へと繰り出した。
ジェム達は、子供新聞の記者もやるので、まずは自分の所の子供新聞の売れ行きを取材先に選んでいる。
竜樹は、まずは吟遊詩人達の出演の舞台の様子を見る事にした。
リュートを背にした吟遊詩人達だけではなく、色々な楽器を持った人や、中には女性の歌姫さんなんかも、集まっているみたいだ。
誰が最初に、曲を聴かせてくれるのだろうか。バラン王兄が、「秋の競演会の練習になるね!申込書も配れるし。」と言って、パージュさんが見える位置、吟遊詩人達の中に入り、出演者の名前を聞いてメモし、誘導を始める。
『続々と吟遊詩人の方達、楽器がお得意な方達、素敵な歌姫さん達がみえています。どなたが最初に曲を披露して下さいますか?』
チラリ、チラチラ、とお互い見合った出演者達は、並んだ順繰りでいいんじゃ、喧嘩になるし、などと言っていたが。
「あ、そうだ。ギフトの御方様に、異世界の歌を聴かせて欲しい!」
え!?
サラっと美しい緑の長髪の、1人の吟遊詩人が、はいっ!と手を挙げて、そんな事を言い出した。
「それは、良いね!良いね!」
「一度、異世界の歌、聴いてみたかったんだぁ!」
「すっごく興味ある!」
音楽の人たちは、みんなバラン王兄かよ!
『あらあら。皆さん、最初はギフトの御方様に、異世界の歌を聴かせて欲しいようです。竜樹様、お願い出来ますか?』
パージュさん!俺じゃなくて良いのに。
まぁでも、最初に恥っかきで歌うのも、皆がやりやすくなって、いいか。
竜樹はお祭りの雰囲気を壊したくなくて、いっちょやったる事にした。
マイクを渡されて。
『私で良ければ、お耳汚しに。プロじゃないので、ご容赦を。』
そして、歌った歌は。
昔、歌われていた、クジラの陽気な歌を歌った。
みんな、ポカン、として、い、る、ね。
『お粗末様でした。私のいた世界では、クジラっていうデッカい魚は、歌を歌うと言われているんですよ。皆さん、どうぞ素敵な歌を、お願いします!』
ペコリ。次がやり易くなったであろう。
・・・わっ!!!
パチパチ拍手、いやそんな、良いから良いから。
「初めて聞く感じの曲だった!」
「でも、楽しい曲だよね!」
「なんか、夢広がるけど、ちょっと切ない所もあって、いいね!」
「旅するクジラ、歌を歌う!」
わあ、わあ。
いやいやそんな良くないから。素人のアカペラなんて、たかが知れているから!!みんな、ギフトの御方フィルターだよ!!
「竜樹君!是非後で、スマホで原曲を聴かせてくれたまえ!」
バラン王兄が言って、えええ原曲が!?聞けるとか!と騒然となる。
「皆さん、まずは歌を!皆さんの歌を!原曲は、後で聴かせますから!」
おおおおお!
パチパチパチパチ!
拍手喝采である。
『竜樹様、素敵な歌、ありがとうございました!ではお次は?』
パージュさん。
マジ助かる。
結局バラン王兄が次に歌って、後はじゃんけんで決めた。
その様子もテレビに流れたので、ジャンケン大会みたいになっていた。




