表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王子様を放送します  作者: 竹 美津
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

128/692

じじいのお願い

「放置•••?」

「どういうことです?」


竜樹は、両隣のじいちゃんとばあちゃんの手を握り、足をぷらぷらさせているニリヤに、目をやりながら。自分がこの世界に来たばかりの頃の、ニリヤの状況を説明する。


「ネクターの乳母、オッターが起こした事件は、ご存知ですよね。あのように、キャナリ妃の意向を汲んだ侍女達が、ニリヤの世話を出来ないようにしていたんです。」


お風呂にも入ってなかったし、食事もなくて、ニリヤ王子が自分で思いついて、厨房で手伝いをして、賄いをもらっていたんですよ。

心ある侍従侍女達が、何とかしようとして、キャナリ妃の人事で辞めさせられたりしていたようです。だから、バレないように、お菓子をあげたり、部屋の持ち物を持ち去られないように、隠しておいたりして。王宮内が、割れていたんです。

多分、ニリヤがそんな事になっているのが外部にバレないよう、間に入って面会を何だかんだ言って断ってた者がいるんだと思います。


「そんな事が•••!テレビでオッターの罪が暴かれたのは見ましたし、リュビのドレス等が売りに出され、また回収されたのは知っていました。王宮でテレビで放送した以上の事件があったとは思っていましたが、ニリヤにそこまでの事があったとは!王様は、何故そんな事をお許しに!」

じいちゃんが、むうっと怒りを堪えて。


「王様は、家族で食事を定期的にしていたから気づけたはずなのに、と後悔していました。ニリヤが傷ついていて、部屋にいたい、と偽りの情報を耳にしていて。良かれと思ってそっとしていたのです。」

今は王様もその事を知り、前よりも頻繁に家族に時間をとっていますよ。


「そんな時に俺はニリヤと会って、ニリヤの師匠となって、リュビ妃様からも頼まれて、後見を担う事になりました。今は一緒に生活していますし、平民からの血をもつ王子が、何となく蔑ろにされるのを、どうにかしたいな、と思っています。」


キャナリ妃は、蟄居させられて実権は無くなったので、罪を犯した者達は処罰されたし、今王宮内では、そんな事はない。

王様がクレールじいちゃんや、ミゼリコルドばあちゃんに、それを言わなかったのは、どう説明しても、王宮の大きな醜聞になる為だとは思う。対外的に流したニュースと違う情報を、王様の口からは言えなかったのだろう。

「と、思います。でも俺は自由の人なので、言っちゃいます。王様が言えないから、俺が言います。そうして、ネクター。」


ネクターは、顔を青白くして、唇をまむまむしていた。オランネージュが、背中をなでなでしている。


「ネクターは、ニリヤがご飯貰ってなかった事、その頃は知らなかったんだよね。」


「し、知らなか、た。お茶会で、はじめて知ったけど、知った時も、あんまり、よく、分からなかった。今、言われて、ジェム達が、食べられなかった話とか、聞いたりもしたから、ご飯がないの、辛いって、思う。ごめんなさい。ニリヤ、ごめん•••。」

しおしおと項垂れるネクターに、ニリヤは。


「うん、いいよ!ねくたーにいさま、わるくない。わるいひとは、みんなやめちゃった!」

ニコニコと笑った。


「わ、私の母上が、たくさん悪い事したから、リュビ様だって、その•••。ご、ごめんなさい。ごめん•••。」

ポロリ。

涙が頬を伝って溢れる。

「なかないでぇ。ねくたーにいさま、わるくないよ。だいじょぶだよ。」

「で、でも。ニリヤの、お祖父様と、お祖母様も、ごめんなさい。私、私。」


「ネクターは、キャナリ妃に抱っこされた事ないんだよな。」

「う、う?うん。」


竜樹は、ネクターにも、わざとキャナリ妃のやった事を聞かせた。じいちゃんとばあちゃんの前で。

きっとそれを気にしているんだと思ったから、だから聞かせたのだ。

じいちゃんは、口をへの字に曲げて。ばあちゃんは、ハンカチを揉み揉み。


ふー、とため息を吐いたのは、じいちゃんだった。

「ネクター殿下。私に、謝ってくださるか。謝ってもリュビは帰ってこないが。」

びくん!と肩を揺らしたネクターは。

「は、はい。」


あなた、とばあちゃんが咎めるのを、じいちゃんはちろりと見て。

「もし、償いをしたいと言う事であれば、このじじいの言う事を、考えてみては頂けませんか?」

「は、はい?」


「フリーマーケットで売る、嵐桃のしぇいく?の販売を、私共にお手伝いさせてくださいませんか。じじいは、飲食店も持っておりまして、そこのやり方を参考にお教えする事ができます。人材も派遣できます。いや〜、お手伝いをすれば、孫のニリヤに会う機会も、増えるかな、という、ジジバカの甘い考えですが、どうですかな?」


キョトン、とネクターは目をまんまるくして。

「お手伝い、してくださるのですか?」


うむうむ、とじいちゃんは頷き。

「このじじいは、転んでもタダでは起きないのですよ。王子様の出すお店に関わる、など、平民の商会には、願ってもないチャンスですな。悪口を叩かれてでも、結びたい縁です。しかも、あの嵐桃。ギフトの御方様も絡んでいる。直接的にお金は、はっきり言って、思うほどには儲からないでしょう。産地の救済、という事情もありますからな。しかし、得られる信頼、そして新しい発想は、お金に変えられません。」


結構ずうずうしいお願いだと思うのですが、いかがですか?


ぱち、ぱち、目を瞬いて。

「よ、良かったら、お手伝いお願いします。」

拭き、と濡れた頬をぬぐって、ネクターは了承した。

ばあちゃんも、ニッコリして、じいちゃんの背中に手を当てる。


「ネクター殿下。このじじいには、若い頃、飲んだくれの父というものがありましてな。」


商人に私を売り飛ばした癖に、酒代をせびりに来る、そして借金をしてはそれを私におっ被せてくる。商会の同僚に金をたかって迷惑をかける。

「本当に、こんな親、いるものか!と思ったものです。そして、親が親だからお前は信用できない、と言う人もいましたよ。その父は、血の繋がっていない、母の再婚相手だったのですが。」



だから私は、親が悪い事をやったからといって、子も悪いとは思いませんよ。

私が、そうされたくは、なかったですから。


「でも、お手伝いはさせて下さい。じじいは、ちゃっかりしておるのです。商人ですからな。」

ふふふ、と笑う。


「本当に•••?親が悪くても、子は悪くない?お祖父様、私は、母上と、血が繋がっているのです。似たらどうしよう、って、こわいなって、思います。」

みんなと仲良くできない性格の、母上だし。

私は、嫌われたくないです。


ショボ、としょぼくれるネクターの頭を、竜樹はくしゃくしゃに撫でてやった。


「大丈夫です。じじいも、父のした事で周りから色々言われましたが、それを気にしないで、仲良くしてくれる人ができました。所詮、会う人全員とは仲良くできないです。ネクター殿下は、ニリヤとは、仲良しではないですかな?」

「なかよし!なかよしなの!」

「私も仲良しだよ!」

ニリヤとオランネージュが、言い募る。


「リュビも、3人仲良しに、と、最後に伝えておりましたな。もし、ネクター殿下が、悪いと思っていたり、誰かと仲良くしたいと思うなら、3人で仲良くお国を守ってください。それが、リュビの願いで、そして、良いようになる方法だと、じじいは思います。」


じっと聞いていたネクターは、コクンと頷き。

「はい。•••はい、ありがとうございます、お祖父様。」

顔色が、ふわっと、血の気を取り戻した。


「お祖母様は、お願いありますか?」

「あら、ネクター殿下に?」

はい。

うんうん、頷く。


う〜ん。

ばあちゃんは、ハンカチを握ったまま、ちょっと顎に人差し指を当てて考えると。


「こんなわがまま、言っていいのかな、と思いますけれど。写真が欲しいです。」

「写真?」


ええ、ええ。

「新聞に、写真が載っているでしょう?あれ、いいなー記念になるなーと思っていて。ニリヤと一緒に撮った写真、もしできれば、お家に飾りたいわ。」

「それはいいな、ミゼ。あれは、撮るのにどれくらいかかるんですかな。結構、撮りたい者、多いと思いますな。フリーマーケットでやったら、売れませんか?」


「それは、写真館ですね•••!」

竜樹が手をパチンと合わせて。


「良いですね!記念写真、みんなで撮りましょう!フリーマーケットでも、商業スペースに設けたいです!子供ってすぐ大きくなっちゃうから、成長を記録してもおきたいですよね!」


さすが商人の、じいちゃんばあちゃんだ。竜樹は知っているはずなのに、思いつかなかった。


「素敵な背景スペースを設けて、女の子達は、お化粧直しができたり、ちょっとした花を飾ったり。フリーマーケットではこのくらいですかね。もし写真館を街に造るとしたら、衣装も綺麗なのを用意して、借りられるようにしたり。着替えるスペースも必要ですね。赤ちゃんを撮影するのに、ぬいぐるみや鈴を用意して、目線をカメラに合わせたり、なんていう技も必要でしたよ!」


まあ、まあ。

それ、とっても素敵ね!

ばあちゃんもじいちゃんも、ふわっと笑顔を見せる。


「そうしたら、それは私がやりましょう!」

オランネージュが、むふん、と胸を張った。

「私だけ、フリーマーケットで何にもやる事がなかったのです。それに、撮影、少しやってみたいかも!父上にお願いしてみます。」


うんうん。良いかもね。


「オランネージュ、猫ちゃんを撮影する、という手もあるよ。」

にこー、と竜樹が言うと。


「猫ちゃん!」

ニッコニコ!とオランネージュが笑った。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ