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王子様を放送します  作者: 竹 美津
本編

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デニッシュ作りつつ

「ふー。しかし無事に話し終わって、良かった。」


ノノカ神殿長とファヴール教皇との話し合いを終え、昼ごはん前、今は寮に戻って、桃のパイならぬ、ミニサイズの桃カスタードデニッシュを作っている。四角く切った生地の真ん中に桃フィリングとカスタードを置いて、三角に折りたたむ。発酵が終わったら、表面に切れ込みを入れる。焼いた時に具がのぞいて、美味しそうにじゅくじゅくするはず。


「緊張でも、されましたか?そんな風には見えませんでしたが。」

ミランが、久々にカメラで撮影しておらず、竜樹に話しかける。


「そうだねえ。今回は、どうしても通したい案件だったからねえ。」

失敗したくないと思うと、緊張するよねえ。うんうん、とフィリングを詰め詰め。

「しっぱい、したくないと、きんちょうするの?」

サンが、竜樹にまとわりついて、見上げて聞いてくる。

「そうだよー。そんな時ほど、焦っちゃダメなんだけどな!」

そしてよく見せようとして、嘘もついちゃダメだ。いずれバレる。

ニカ!と竜樹が笑えば、サンもニコ、と笑う。


「私は、きっとあの教皇様は、竜樹様の案を受けるだろうな、と思っていましたよ。」

ミランはうんうんと頷く。

「えっ、そうでしたか?」

タカラは、落ち着いてお茶など淹れていたが、実はどうなるかとソワソワしていたらしい。


「うん。あの人良い人そうだったもんね。」

竜樹が言えば、マルサが。

「そうかぁ?何だか色々と文句言ってたろ。」

神様のメッセージ読んだら、コロッといってたけど。


「あのくらい何でもないよ。教皇様は、自分の指示で、たくさんの教会に属する人たちを動かさなきゃだから、現実的な案かどうかは、確認したいだろ。」

「そうでしょうね。あの教皇様は、叩き上げで、出身は平民の方なんです。あの地位に着くには、それはそれはやり手じゃなければ、無理でしょうね。」


そして、聖職に就く前は、あの方は孤児で、見なりもボロボロ、食べられなくてガリガリだったそうですから。竜樹様の案を通したい気持ちも、もちろんあったでしょう。そしてそれがどんなに難しいかも知っていたかと。


「そうなんだね。何だか若い頃は、やんちゃだったりしそうな人だったなぁ。」

「よくご存知ですね。先代教皇の懐刀として、数々の逸話があるそうですよ。」

マジか。そんなすごいおじじいさまだったのか。

ニカリ、と竜樹の脳内で、ファヴール教皇が不敵に笑った。


「お腹減った〜!」

「「減った〜!」」


「おー。お帰り。お仕事ご苦労様。」

新聞売りの子達が帰って来て、一気に賑やかになる。今日のお昼ご飯は、何だろう?






話の都合で短くてすいません。

毎日更新は無理だった!でもできるだけ頑張ります。

明日はニリヤのじいちゃま話の予定です。

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