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王子様を放送します  作者: 竹 美津
本編

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110/691

5000いいね×2

ぱっ ひらりひら。


白い花、真ん中が十字に赤い小さな一輪、竜樹の横をひらひらと。


「かみさまの、おはなだ!」

ニリヤが、キャッと喜んでお花を拾う。オランネージュとネクター、ジェム達が、うわぁと囲んで、マジマジと見る。竜樹の顔を、見上げて、神様、何だって?と聞くが、アルディ王子や、エフォール、は、はてな?な顔をしている。


「5000いいね、追加されました。」


神々の庭に、メッセージが届いている。


メディコー

『私は 医療の神 メディコー。

カラダすきゃなー 素晴らしい。

ぜんそくの 治療も 良くぞ

気付いてくれた。

5000いいね 送っておいた。

ところで。』


竜樹

『ありがとうございます!

はい。ところで?』


メディコー

『造血の魔法は

どうなっとるのかね。

それから 身体のなかにできる

悪いできものの 治療は?

私は お前たち 人を

病に 伏せる 者たちを

それを 救おうとする

治療師の者たちを

いじらしく かわいく 思っている。

怪我や 病気で 血が足りぬ者に

早く 朗報を 知らせてやりたい。

できもので 虚しく 命を

散らす者に 救いを。』


竜樹

『今、お試し治療で、

治療師さん達が、頑張っています。

時間がかかって、すみません。

情報は、渡してあるので、

順番に、やっていくと思います。

造血は、血が増え過ぎても、

身体に良くないので、慎重に

しています。

カラダすきゃなーができたから、

悪いできものには、対処ができるかと

思います。』


メディコー

『造血の魔法 一気には

かけられぬな。

血の分の栄養も とりながら

やらねばならぬ。

血の 増え過ぎは

心配せずともよい。

指の怪我の治癒で かけ過ぎて

余分な指ができたりせぬように

血も 増え過ぎは しない。

気にせず やってみなさい。』


竜樹

『貴重な情報、

ありがとうございます!

さっそく、治療師さん達に

伝えます!』


ランセ

『やあ 情報の神 ランセだよ。

新聞も 楽しく読んでるよ。

郵便とも あいまって

テレビも 新聞も ますます

広がりそうだね!

電話も 広がるといいかも?

まぁ 色々 やってみてごらん。

いつも 見守っているよ。

私からも 5000いいね

送っておこう。

新聞 面白いからね。』


竜樹

『ありがとうございます!

いつも、助かってます。』


ランセ

『良かった 良かった。

では またね。』


「5000いいね、追加されました。」


「かみさま、なにゆってた?」

「うん?見てみる?こんなお話したよー。」

子供達に、スマホの画面を見せると、読める子と、まだ読めない子とで、反応が違った。竜樹が、指で画面を追いながら読んでみせると、アルディに付いていた治療師ルルーが、一際大きな声で、ふわぁあああ!と叫んで、みんながビクッとした。


「神様が•••教えてくださった!!」

「こちらからは、あまり何でもは聞けないけど、ありがたい事だよね!」

竜樹が、うんうんと頷くと、ルルーは、手を胸の前で組んで、膝をついて祈りを捧げた。

「ありがたい、ありがたい事です!これで、血が足りない事にも、対処できます!竜樹様の世界のように、輸血はできなくとも、この世界のやり方で!」


うんうん、と竜樹は再び、頷く。


「なんで、かみさまに、なんでもきけないの?」

ニリヤが不思議そうに聞いてきた。

「•••そうだな。神様と話できるんだったら、色々教えてもらったら、すごくトクするんじゃねぇの?」

ジェムが、驚きのドングリ目で、フンス!と鼻息吐きながら言う。


「何でも結果を聞いちゃったら、みんな、生きていくのが、つまんないだろ。どうしようかなー、どうしたらいいかなー、って、自分でも考えて、人にも聞いて、何とか見つけてやっていくのが、自分でやったって気がするじゃない?神様は答えを言う係じゃないし。多分、教えられるならとっくに教えてるし。」


「•••私、何で病気や下半身麻痺なったんだろ、って神様に思った事あるけど。」

エフォールが、ポツリ、と言って、アルディ王子が、その側で、ハッとして、うん、とエフォールの顔を見詰める。

「神様も、思い通りには、ならないのかもなんだね。だって、かわいく思ってるって、言ったもの。私たちのこと。」

「うん、うん、そうだよね。それで、喜んでたね!カラダすきゃなーとか、ぜんそくとかの、治療のこと。」

ぶんぶん!とアルディ王子の尻尾が揺れる。

「やっぱり、ちょっとは、何で私、病気や麻痺なんだろって気持ちもあるけど、でも、神様は、見ていてくれてるんだね。自分たちで、がんばるところを。」

「うん、うん、見守ってる、って言ってた!」


「この世界の神様は、人と近いから、時にはちょっとだけ、こんなふうにヒントくれたりもしてね。」

ふふふ、と竜樹が笑う。


ほぇー、とジェムは、まだ何だか分かりかねる顔をしていたが。

「神様が、全部ジェムの書く新聞の記事決めて教えてくれたら、ちょっと待ってよ!って思わない?自分で調べたくない?」と竜樹が言えば、

「ええええ!それは、ーーーそうかも。」と、やっと何か了解した。


ミランは、微笑みながらカメラで撮っていた。

神にあまり何でもは聞かない、と、わきまえている竜樹だからこそ、神があちらから言葉を掛けて下さるのだろう、とミランは思っている。

神の言葉を私したら、どんなに恐ろしい事があるだろう。この世の全ての病や怪我を、神が無くしてくれたとしたら、一体人はどうなるだろう。良いようでいて、恐ろしいような。

人が弱い所を無くした時、弱さを大事にする柔らかい心を無くしてしまわないか。何をしても失われはしないと、思い上がりはしないだろうか。

そんな風にも、ミランは思うのだ。


エフォールやアルディ王子を、何とか治って欲しいと思う心と、神に想いをはせるその事とは、二つ矛盾しているようで結び付き合って、ミランの中でぐるぐるとしている。

カメラで撮る、そうしていく事で、ぐるぐるはどうなっていくのか。

ミランはそれを、見たい、やっていきたいと、子供達の未来を優しく思うと共に、願っている。



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